子と夜空を仰ぎながら(二人の俺 ”自己嫌悪編”)
本投稿では、創作詩 ”二人の俺” を発表します。今回は、強度行動障害(ADHDの二次障害で暴力・脱走・引きこもりなどの症状)が激しかった10歳当時の息子が穏やかになった束の間の会話をモチーフにして、「私自身の内面に存在する2つの人格の葛藤」を二部作の詩(自己嫌悪編&自己愛編)にアレンジしました。そのうち、本作は第一部「自己嫌悪編」です。
自閉症の子は闇夜に浮かぶ三日月を見つめていた。
私:きれいだね。
子:お父さん?・・・
子:生まれ変わったら、またお母さんと結婚する?
私:えっ、どうかあ?・・・
私:そうしたくても、たぶんできないだろうな!
子:・・・
私:なぜかと言うと、俺は次の人生では女に生まれたいからなんだ。
子:ん?・・・
子:それじゃ、お父さんが女に生まれ変わったとして、そのときお母さんが男に生まれ変わっていたらどうする?
私:もし、再びお前が私たちの子供として生まれてきてくれるなら、またお母さんと結婚したいな!
私:でも、お母さんがどう思っているか、わかんないよ。
子:・・・
私:神様はおそらくそうさせてくれないんじゃないかな・・・
子:えっ・・・
子:どうして?
私:・・・
私: 神様だって、他にもいろいろやらなきゃってことがあるからね。
子:・・・
私:お母さんには内緒だよ。
終わり
脚注: ・・・は「数秒間の無言」を示す。