僕の罪
僕が高校一年生の夏、姉が死んだ
違う、僕が殺したんだ
7月31日、夏休みはこれからという時期なので夜でも蒸し暑い。
今日は、僕の姉のお葬式が終わって家に帰ってきた。
なぜか泣けなかった。
確かに姉がいなくなってしまったのは悲しくて、つらくて、泣きたいと思う。
でも泣けなかった、僕に泣く資格なんてない
姉を殺したも同然の僕が、泣いていいわけが無いだろう。
もし、時間を戻せるならその時は…
2日前
ブーブー
僕のスマホにメッセージが届いた
「あおくん、部活終わった?お姉ちゃん駅前のカフェ行くんだけど良かったら一緒に行かない?」
内容を見ると、どうやら姉からのようだ。
高校一年生になったのに僕のことを、あおくんと呼ぶのはやめて欲しいと思いながらも、僕は
「行く、10分ぐらいで着く」と返事を返す。
スマホで時刻を見ると午後1時
「暑いなぁ」
僕はスマホをポケットに入れ、姉との集合場所に向かう。
姉の名前は、陶山陽菜。
姉とは仲がいい。よく2人で遊びに行ったり、今日みたいにカフェでゆっくりすることもある。
なので集合場所をわざわざ言わなくても、いつもの場所と決まっている。
僕は真っ直ぐに目的地の方へ歩く。
「あ、いた」
僕は目的地の場所に着くと、当たりを見渡し姉の姿を探すと、姉はすぐに見つかった。
「お姉ちゃん」
僕は声をかけながら、青になったばかりの信号を渡ろうとする。
姉はすぐに僕に気づき笑顔を向けるが、姉の視線が僕の右側に泳ぐ。
すると姉の顔が怖張り「あおくん!」
ドン
「え...」
姉が僕まで走り、僕の体を押したのだ。
急なことに困惑していると、僕の視界の右からトラックが走ってくるのがわかった。
僕の、視界がスローモーションになる。
「え、このままじゃ...」
僕の思ったことと、全く同じことが起こった。
トラックはスピードを落とすことなく、姉を跳ね飛ばした。
ガンッ
鈍い音がしたと思うと僕は、コンクリートの上に尻から落ちる。痛みは感じない。それよりも別のことで不安がどんどん高まっていく。
僕は見た。姉が確かに轢かれるのを。
姉の姿を探そうと僕は視線を左に向ける。
「お姉ちゃん?」
僕は、人が血溜まりの中で人が倒れているのを見つける。
間違えようがない、顔こそ見えないがあの服は姉が来ていたものだ。真っ白のワンピース。姉のお気に入りだったものだ。
それが今、真っ赤に染っている。
「きゃー!」
「救急車だ!救急車を呼べ!」
なんて言葉が周りから聞こえてくる。
僕は横たわった姉をただ見つめることしか出来なかった。
―これが僕にあった2日前の出来事