謎のスライム
やぁ、諸君。
初めましての人は初めまして。そうでない人も今回は初めましてだ。
僕は「ロングマイクロレンジ」、気軽にレンジと呼んでくれたまえ。
JP鯖でギルド無所属、フリーの情報屋モドキをやっている。
主に、攻略情報まとめサイトの管理人や、攻略系配信者なんかに情報を売るプレイをしているぞ。
好きなクラスはアサシン系。メインジョブはシノビをやってるが、一通りのジョブはコンプ済みだ。
所持しているアーティファクトは『印す全智の薬指』『The nightless moon(短剣)』の2つ。どちらも初発見、初入手は僕の手によるものだ。
多くの攻略サイトではこれらの入手法は未確定または未定となっていると思うが、それは僕と共同発見者との契約で、共同発見者がそれぞれ10個売り切るまでは情報公開しない約束なんだ。
特に『印す全智の薬指』なんかは、優秀な情報系アーティファクトだから欲しがる人も多いかもしれないが、個人商店「マオマオ娘娘」で買うか、自力で発見してくれ。
さてさて、自己紹介と宣伝も済んだことだし、記念すべきこのサイト1つ目のマル秘攻略情報を発表したいと思う。第一回のマル秘情報はとあるダンジョンについてだ。
と、この情報を語る前に、少し僕のプレイの様子を紹介したい。僕は情報屋というロールプレイをするにあたり、僕は普段NPCとの会話を細かくチェックしている。
会話済みのNPCや自動生成NPCとは会話をしないという人も多いかもしれないが、サブクエストやミニクエストがAIによって自動生成されるこのゲームにおいて、彼らNPCの行動も新たにクエストが生成される時、更新されることがある。
当然、目ざといプレイヤーは美味しいクエストやアーティファクトクエストなんが発生しないか目を光らせているから、クエストが生成されても数時間もすればその報酬から発生条件まで解明され、半日も経てばそのクエストについての動画が上がるのは周知の事実だろう。
そんな目ざといプレイヤーの例に漏れず、僕自身も色々な街でクエストを探していたのだが、最近一つ気になることを見つけた。
すべてのプレイヤーが最初に訪れる街、「港町ラスト・ポート」において、行動が更新されてもあるモンスターへの言及については変更がないということだ。
そのあるモンスターへの言及とは、「何故かスライムが集まる洞窟がある」「極稀に強いスライムが湧いて街の人間では手出しできない」「弱いはずのスライムが時折妙に手強くなる」というもの。
これらのNPCの発言を聞いて、分かる人にはすぐ分かると思うがこれはレアモンスター【キングスライム】について言っている。
【キングスライム】は最初のダンジョン「スライムの洞窟」において、単一プレイヤーもしくはPTが、30分内に1000匹のスライムを倒すとPOPする条件湧きのレアモンスターだ。
その強さは、このゲームがサービス開始した直後ではストーリーボスに匹敵すると言われゲーム序盤においてはかなりの強敵として設定されていた。また、確定ドロップのレジェンダリーアイテム「スライムキングの王冠」は当時としては貴重なテイム系アイテムだったことも合わさり、「このゲームのエンドコンテンツは最初のダンジョン」だなんて冗談も言われていた。
今では、レベル上限上昇によるインフレや、より上位のテイム系アイテムの登場も相まって【キングスライム】討伐PTなんてものは見なくなってしまったのは少し悲しい。
と、感傷に浸るのもここまでにしておいて、本題に戻ろう。
運営も、序盤のやりごたえ要素として【キングスライム】を想定していたせいか、こいつへ言及しているNPCはかなり多い。
そんな中で、NPCの発言をまとめていた時、とあるNPCの発言に違和感を覚えた。
そのセリフを要約するとこうだ。
「酒場の残飯をスライムに食わせて処理していたら、いつの間にか凶暴になってて襲いかかってきたから慌てて冒険者に討伐してもらった」
そもそも、日本のゲーム常識においてはスライムは雑魚モンスターの筆頭だ。このゲームでも例に漏れず、低レベルで非アクティブモンスターとして出現する。
そのスライムがNPCに襲いかかるというのも不可思議な話ではないだろうか。
もちろん、NPCの発言すべてがシステムの説明を為している訳ではなく、フレイバー要素もあるだろう。
だが、NPCのスライムに対してであろう言及が一向に更新されない。そして、NPCに能動的に襲いかかるスライムの発言。なによりも、長年の僕自身のゲームプレイヤーとしての勘。
これらが、【キングスライム】とは別のレアモンスターの存在を肯定しているように感じたのだ。
情報は鮮度が命だ。
攻略系配信者は初登場の情報に対しては高値で買ってくれるが、二番手三番手だと例え確度が高い情報でも中々いい値段を付けてはくれない。
この謎のレアモンスターの存在を予見した僕はすぐさま検証に移行した。
その検証過程と結果は次回の更新で紹介しよう。