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ワイ、朝起きたら花になってて草(✿)

作者: 〆さばのまな板

"わたしのしょうらいのゆめは

おはなやさんになることです!"


これは、幼き日の私の将来の夢。

そしてこれが...


「✿」


今の私である。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


気がついたら、

私は真っ暗でなにもない空間に居た。


「ここはどこですか?誰か居ませんか!?」


私は必死に声を出し、周りに呼びかける。


「なんだ?」「綺麗な声...」

「うるせーよ寝てんだから邪魔するな!」


...予想外に沢山の反応が帰って来てびっくりしたがとりあえず今の状況を確認しなければ。

私が次の言葉を投げかけようとしたその時。


「また新しい人が来たの?

いらっしゃい、ここはお花屋さんだよ!」


どこからともなく先程とは違った声が聞こえた。私はその声の主話しかけてみる。


「お花屋さん?どうして私はそんな所に...それに、いくら目を開けても真っ暗でなにも見えないのでとりあえず電気を付けて頂いてもよろしいでしょうか?」


「残念だけど、真っ暗で何も見えないのは私達も同じなのよ。それにほら、私達も貴女と同じで身体はおろか指1本動かすことも出来ないんだ。」


そう言われて私も身体を動かそうとしてみるが確かに全く動かすことが出来ない。


「ね?動かせないでしょ?何でかって?それはねぇ...私達は花になってしまっているからなのです!」


...は?私は今花になっている?

そんなこと信じられるはずがない。


「冗談を言うのはやめてください!」


「冗談なんかじゃないよ〜。ほら、そろそろお店も開店する頃だろうし周りの音を聞いて確かめてみればいいさ。」


彼女がそう言うと同時に、

辺りに優しいベルの音が鳴り響いた。


〜⏰〜


「ね?言った通りここはお花屋さんだったでしょ?」


どうやら確かにここはお花屋さんで私達は花になってしまっているらしい...しかも試してみたところどうやら私達の声は人には届かない様だ。


「まあ私達も自分達がなんの花なのかわからないんだけどね〜。買われた時に店員さんがその花の名前を呼んでくれるから、唯一その時だけ自分がなんの花なのか分かるって訳さ。」


「なるほど...」


「まあ、軽く推測は出来るんだけどね。

ほら、今日買われていったマリーゴールドの娘いたでしょ?あの娘ここに来た時からずっと「あの娘の声は私のより綺麗でムカつく」だの「アイツは私より美人だから嫌い」だの言ってて凄く嫉妬深い娘だったの。だから嫉妬が花言葉の花のどれかだとは思ってたんだけどやっぱりそうだったって感じ。」


「なるほど...つまり私達も私達の性格に応じた花言葉の花になっている可能性が高いってことですか?」


「多分そういうことなんだろうね。

まあ実際に買われるまでは分かんないしそれまで何も出来ないし、私達を買ってくれる人が現れるまで気長に待つしかないよね!」


「えぇ...」


困惑してしまったが、今のままの私達には何をする事も出来ないし買ってくれる人が出てくるまでこうして待つことしか出来ないというのは確かだった。


「まあ、ずっとこのまま待つのも暇だし何かお話しようよ!君は花になっちゃう前はどんな娘だったのかな?」


「私は...普通の高校生でした。

今日本当は卒業式だったはずなのに朝起きたら急にこんなことになっちゃってて。

お父さんもお母さんも弟も卒業を喜んでくれて、折角帰ったらお祝いしようって言ってくれてたのに...」


「仲のいい家族だったんだね!羨ましいな〜」


「貴方はどうだったんですか?花になっちゃう前にどんなことをしてたんですか?」


「私はね...まあ彼氏に浮気されて自暴自棄になったまま寝てたらいつの間にか花になっちゃってた感じだよ。」


「...すみませんそんなこと聞いてしまって...」


「大丈夫大丈夫!はじめに聞いたのはこっちだし!さあ、まだまだいろんなこと話そうよ!」


そうして私達は買い手がつくまでいろいろな話をして次第に仲良くなっていった...。


〜⏰〜


いつもの様に私達が話していると突然、身体が持ち上げられたような感覚がした。


「あっ、私今から買われるみたい...」


「良かったじゃん!さて、君は一体なんの花なんだろうね?」


・ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー・

『お買い上げありがとうございます!

「真っ赤なカーネーション」、大切にしてあげてくださいね!』


『はい、ありがとうございます!』


『ありがとうございました!またのご来店をお待ちしております!』

・ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー・


「カーネーションか〜。

君、家族の事を...特にお母さんのことを本当に愛していたんだね!」


「そうなのかな...」


「そうだよ!その人の性格に合う花言葉の花になるんだからね!離れ離れになっちゃうけど、これからも元気で暮らすんだよ〜。」


「私も!今までありがとう!またどこかで会おうね!」


そのまま私は買ってくれた男の子に連れられて、初めてお花屋さんの外へと出た。



「...貴方に安らぎを。」


〜⏰〜


『ただいま〜』


どうやら彼は帰宅したらしい。

私はこれからどうなるのだろう...不安だけれど人に戻る方法も分かるかもしれないし色々と楽しm


【おかえり〜】



...お母さん?



その瞬間、私はいつの間にか忘れていた記憶を全て思い出した。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ー卒業式 当日ー

『行ってきます!』


【行ってらっしゃい!楽しんでくるのよ!】


いつもの通学路、けれどもこの道を歩くのは今日で最後。今日が卒業式ということもあり少し浮かれていたのかもしれない...私は前から飛び出してきた車に轢かれ、そのまま死んでしまった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「そっか...私死んじゃってたんだ...」


『はいコレ、今日は母の日でしょ?

買ってきた!プレゼントね!』


【まあ!ありがとう翔!そうだ、折角だからお姉ちゃんの前に飾ってあげてもいい?】


『もちろん!』


【ありがとうね!】


そのまま私は仏壇の前らしき所まで運ばれた。


【咲良...今日は翔がお母さんの為にってこんなに綺麗なカーネーションを買ってきてくれたの、貴女にもお裾分けしなきゃね。咲良...貴女が居なくなっちゃってから10年間、色んなことがあったけれど、

私は今でも貴女のことを愛しています。】


〜Fin〜

ヨンデクレテアリガトウ!!

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