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嗚呼、愛しの北京飯店  作者: 稲田心楽
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6

 

「偏る?」


「自分の得意な事しかやらなくなってしまうんで。今回、こちらにお付き合い頂いたのも修業の一環でして」



 美味しい料理を提供する事、継続してそれをする事の大変さを知った。私達は、簡単に評価しがちだが、お店に来てもらう為の努力は日々行われているんだと感じた。



 私は、出してもらったマヨネーズの小皿にエビを投入して口の中に入れた。



「美味いす。エビチリにマヨネーズ、これから鉄板になりそうです」



 彼等のように上手く言葉には出来ないが、自分なりに心の中で分析してみた。エビチリ自体、とても味の濃いものだ。ニンニクも入っているし、パンチ力も十分だ。ご飯のお供として既に完成されている。そこに敢えてマヨネーズを付ける。結果、死ぬほど美味い。これは、すでに完成されているカレーライスにとろけるチーズをふりかけるような感じではないだろうか──。頭がクラクラしてきた。この辺が限界といったところか──。



「ありがとうございます。お客さん、絶対好きだろうなと思って」


「いやいや、いつも気を遣ってもらってるのが分かるから、こちらこそ感謝ですよ」


「本当にご贔屓にして頂いてるんで。これからもよろしくお願いします」


「いやいや、北京飯店がなかったら生きていけませんよ。ちょっと大袈裟かな」



 私の冗談でテツ君も若大将も笑っている。いつもは一人で北京飯店で昼食だが、こんな風に食べる昼食も悪くない。



「若大将、企業秘密は百も承知でお聞きしたいんですけど……」


「何でしょう?」


「自宅で簡単にエビチリソースって作れます?」


「いいですよ。お教えします。今日お付き合い頂いたお礼に」



 エビチリソース──材料は、長ネギ、ニンニクチューブ[市販]、ケチャップ、水、お酢、砂糖、豆板醤、鶏がらスープの素[市販]、酒、塩。



 長ネギは微塵切り、ケチャップ大さじ2、水100ml、お酢小さじ1、砂糖大さじ2分の1、豆板醤小さじ2、鶏がらスープの素[市販]小さじ2、酒大さじ1、塩少々。



「今言ったのは二人分です。簡単でしょ?」



 私はすかさずスマホのメモ帳に保存した。出来る人は必ず言う。『簡単でしょ』と。それがそうもいかないのが現実だ。



「あっ、あと水溶き片栗も。忘れてました」


「水溶き片栗粉ですね。ありがとうございます」


「お客さん、水溶き片栗はダマになりやすいので、少しずつ回しながら投入してください」


「テツ君、ありがとう。それだけは避けたいすね」



 中華の達人にエビチリを教わった。早速、週末に彼女を家に招いて、エビチリを作りたいと思う。ダマにならないように何とか普通レベルに仕上げたい。



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