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嗚呼、愛しの北京飯店  作者: 稲田心楽
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4

 

「すいません。またうっかりしていました。お好みでどうぞ」


「ありがとうございます」



 いつものが出された。マヨネーズという最終兵器だ。



 私は、出されたマヨネーズをどう使うかを考えてみた。普通に考えれば、豚肉の表面に塗り、そしてライスの上にダイブである。想像しただけでもよだれが溢れる。私は所謂マヨネーズ信者ではない。そうではないとずっと思ってきたが、どうやら幹部レベルかもしれない。私は、こんがりと焦げ目の付いている豚肉にマヨネーズを塗り、その上に千切りキャベツを乗せて、さらにその上にライスを乗せ、包み込むように巻いて口の中に放りこんだ。



『アメージングだな』



 口の中がキャパオーバー寸前だが、玉葱の味噌汁を飲んだ。



『甘くて美味しいっ!』



 彼女に口酸っぱく野菜を摂取するように言われてから、最近では、野菜の甘味を感じ取れるようになってきた。この玉葱の甘味が味噌汁に溶け込んで、とても味わい深い。シンプルに玉葱だけの味噌汁も今度自宅で作ってみる事にしよう。



 そして、中華サラダだ。たまに、スーパーのお惣菜コーナーで目にする。どうしても食べたいと思う時が何故かある。それもかなりの頻度で。何処にそんな魅力がるのか分からないが、私はこれが大好きだ。



『さっぱりして美味いっ!』



 細切りのきゅうりがとても良い歯触りで、このお酢の効いた味が清涼感を与えてくれる。そして、同じように細切りのロースハムの塩気がとても良いバランスで全体をまとめているように感じる。春雨も胡麻油の風味が効いていていくらでも食べられる。



「これもどうですか?」


「何ですか?」


「セロリのピクルスなんですが、苦手じゃないなら」


「ありがとうございます。セロリ、食べた事ないですが頂きます」



 餃子ダレの小さなお皿が出された。1センチぐらいの大きさだろうか、食べやすそうなサイズである。私は、セロリとかクレソンとか所謂お洒落な名前の野菜をほとんど食べた事がない。セロリに関しては一度も食べた事がない。私はお皿を鼻の近くまでもってきて匂いを嗅いだ。



「大丈夫ですよ。子供だったら無理かもしれないすけど」


「十分大人だしね。食べてみるよ」



 せっかくサービスで出してくれたものに対して失礼であるが、生まれて初めて食べるセロリがどんな香りなのか知りたかった。ベースはピクルスだから、らっきょうのような感じなんだろうか──。恐る恐る口の中に入れた。



「えっ、美味しい!」


「でしょ? ピクルス液の調合さえ覚えたら作れますよ」


「セロリじゃなくてもいいよね」


「もちろん。きゅうりとか手に入りやすい野菜で」


「箸休めにいいね」


「バンズ買ってきて、ハンバーガーにも出来ますよ」


「それ、最高だね」


「後でレシピ教えますんで」


「ありがとう」



 シャキシャキとした歯応えのセロリ──多少の苦味と青臭さはあったが、それがセロリという野菜の個性なんだろう。意外にもいけるクチだった。彼女にこの事を報告したらきっとこう言うだろう。



『あなた、成長したわね』と。





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