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嗚呼、愛しの北京飯店  作者: 稲田心楽
63/88

3

 

「おはよう御座います」


「沢田さん、ざる蕎麦三つでしたね」



 赤いポロシャツを着た若者が店に入ってきた。おそらく、宅配サービスの人だろう。



「大将、ざる蕎麦三つ上がってますか?」


「貼り紙をして冷蔵庫の横に並べてあるよ」


「はいよ」



 奥に両開きにの冷蔵庫が見える。その横にステンレスの調理台があり、ざる蕎麦専用であろう容器が幾つかあった。



「すいません。あと、サービスでとり天を渡して頂けますか?」


「分かりました。あと、林さんの分とまとめて行きます」



 宅配サービスのお兄さんは、スマホを見ながら何かを確認しているようだった。



「それではよろしくお願いします」


「20分以内に完了します。タブレットで確認よろしくお願いします」


「はいよ」



 ものの2、3分といったところか──宅配サービスのお兄さんは店を出て行った。



「すいません。もう出来るんで」



「いえいえ。慌てていませんので」



 今までは、出来上がったらテツ君が出前の配達をして、大将が調理場を一人でまかなっていた。当然、テツ君が帰ってくるまで次の出前分はさばけない訳だから、効率は悪い。宅配サービスの人も、今のお兄さんだけでなく、次から次へと来店しては配達してくれるんだろう。結構前からあったサービスだろうが、テツ君、大将にとっては最高の循環だと思う。



「お待たせしました。ハンバーグ定食です」


「すっ凄い!」



 お待ちかねのハンバーグ定食がきた。チーズと目玉焼きのダブルである。ソースはデミグラスだ。ステンレス製ラグビーボール型のお皿の中央にハンバーグが盛られている。絵に描いたようなチーズのとろけ具合、それだけでも十分だが、その上に半熟の目玉焼きが綺麗に乗っかっている。私は自分の右手でハンバーグの寸法を測った。



『デカすぎだろ』



 限界まで広げた小指と親指を3センチほどはみ出すほどの丸型ハンバーグである。そして、千切りキャベツ、マカロニサラダ、茹でたインゲン豆、プチトマトが昭和レトロなステンレスのお皿の上を彩っている。



「すいません。お味噌汁です」


「あっ、すいません」



 いつものミニスープではない。今日はお味噌汁だった。しかも、具はもやしとネギである。もやしの味噌汁って飲んだ記憶がない。珍しい部類に入る具材ではないだろうか──。そして、平皿にライスがメガ盛りとまでは言わないが、普通の成人男性なら大体お腹いっぱいになるぐらいの量だ。



 私は、まず味噌汁を飲んだ。



『うっ美味い』



 初めての味だ──もやしの風味がお味噌と混ざってとても美味しい。もやしはクタクタになっていたが、独特の歯触りは失われてはいない。私的には、お味噌汁の具ランキング第2位だ。



 そして、メインのハンバーグを食べようと思うが、崩すのがもったいないぐらい見事なビジュアルである。まずは目玉焼きをどうするかだ。私は好きなものは先に食べるタイプではあるが、今回はとりあえず、目玉焼きを千切りキャベツの上に移動させた。








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