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キッチンに白い四人掛けのテーブルがあり、すでに幾つか料理が置かれていた。かぼちゃの煮物、イワシの味醂干し、ポテトサラダ、きゅうりと茄子の漬物である。
「掛けて待っててくれる? 唐揚げがまだなの」
「手伝うよ。何すればいい?」
「じゃあ、お味噌汁をよそってくれる?」
「分かった」
棚にあった木のお椀を取り出して味噌汁をよそった。大根の味噌だ。私が好きだと言ったから作ってくれたんだろう。小口切りの青ネギをちらしてテーブルに運んだ。
「実はお土産はケーキなんだ。冷蔵庫に入れておくよ」
「食後のデザートね。ありがとう」
彼女は家庭用の電気フライヤーで唐揚げを作ってくれていた。どれも大好物ばかりだし、自宅では絶対に作らない煮物類も用意してくれていた。
「出来たわ。唐揚げとか久々に作った」
「ありがとう。めちゃくちゃ美味そうだ」
こんがりと狐色に揚がった唐揚げが十個ほどバスケットに盛られ、テーブルに置かれた。どれも美味いそうだけれど、見るからにカリッと仕上がっている唐揚げに目を奪われた。
「ビールで乾杯だね」
丸いグラスに買ってきたビールを注いだ。グラス二つで一本の缶ビールがちょうどなくなった。
「乾杯!」
「暑い中、ご苦労様。乾杯!」
私は早速唐揚げを食べた。とてもジューシーで、下味がしっかり付いている。
「唐揚げ、めちゃくちゃ美味いっ!」
「子供が小さい時はしょっちゅう作ったわ」
「そうなんだ。これは子供大好きなやつだよね」
彼女はニコッと笑って空のグラスにビールを注いでくれた。
「ありがとう。かぼちゃの煮物も甘くて美味しい。上に乗っかってるのは生姜?」
「うん、すりおろした生姜がいいでしょ?」
「うん。野暮ったい感じに喝を入れるような役割かな」
「そんな感じ。料理番組でやっていたから」
私は、テツ君からもらったレシピを彼女に見せた。
「こんなのくれるお店ある? もう常連を超えてるんじゃない?」
「大将は蕎麦で忙しいけど」
「でも、町中華でフライドポテトってすごくない?」
「しかも180円。多分、山盛りだと思う」
「パセリをふりかけるんだね。これって、青のりでも美味しいんじゃない?」
流石だと思った。青のりとか間違いなく美味いだろう。ポテチの青のり味みたいなことか──。




