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嗚呼、愛しの北京飯店  作者: 稲田心楽
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3

 

 北京セット──小海老の天ぷら、肉団子、唐揚げ、揚げ餃子、蟹玉等が入ったオールスター。小海老の天ぷらが激アツである。



 北京セットの話しはまたの機会にして、目の前の味噌チャーシューである。白髪ネギが中央に盛り付けられていて、赤い何かを纏っているように見える。おそらく、ラー油と七味唐辛子で和えた白髪ネギであろう。そしてメンマだ。これがまた良い仕事をする。食感が変わるし、なくてはならない脇役だ。



 脇役といえば、この“なると”である。白地にピンク色の渦が何とも言えないノスタルジックな雰囲気を醸し出す。何回も食べた事はあるが、一体何なのかは全く知らない。味もあるのかないのかよくわからないし、やや粉っぽく感じるのは私だけだろうか──。




 なると──魚肉のすり身が主原料のかまぼこ。一般的なかまぼこよりつなぎが多く使用されていて、単体で食べる事はほとんだない。付け合わせや、調理の素材として用いられる。



 私は、まずレンゲでスープを掬った。



『美味いっ! この味噌スープ、最高だ」



 見た目よりあっさりしていて、あとからほんのり辛味が押し寄せてくる。いやらしい辛さではなく、寧ろ心地よい。何度でも啜りたくなる味わいだ。



 私ははみ出していたチャーシューを、スープにダイブさせて五秒待った。



『そろそろいいだろう』



 周りの白い油が少し溶けてより美味しく食べられると何かの食レポで聞いた事があったので真似をしてみた。



「美味いっ!』



 北京飯店の料理は見た目とは違うパターンが多い。全てではないが多い気がする。このチャーシューも、無骨で分かりやすい味かと思えば全く違う。しっかりとした形を保っているにも関わらず、口の中に入れるととろけていく。ほんの少しだけ肉を食べている感はあるが、そのバランスが何とも言えない。味も凄く濃そうなビジュアルだが、これまた丁度良い。たまに、塩辛くて食べられないチャーシューに出会う事があるが、このチャーシューは違う。もちろんガツンとくる味わいだが、しつこくなく何処か上品である。その何処か上品なチャーシューを白いライスの上に乗せて、ライスを巻いて食べたいと思う私は下品ではあるが──。



 私は白髪ネギと麺を同時にお箸で掴み、麺を勢いよく啜った。



『美味いに決まっている!』



 北京飯店の黄色い卵麺だ。いつも食べている五目そばに使っている麺より若干縮れているように感じたが気のせいだろうか──。白髪ネギが、シャキシャキとアクセントを与えて、麺とのハーモニーも最高である。この白髪ネギがあるのとないのとでは全然違うものになるだろう。そして、七味の辛さが食欲を更に増幅させる。私はラーメンには青いネギより白いネギ派だ。ラーメンの種類よって変わるかもしれないが、青いネギは入れ過ぎるとスープの風味がよく分からなくなってしまう気がする。あと、もやしも出来るなら入っていないラーメンを好む。もやしの水分がスープに染み込んで、薄くなったり、もやしの風味が強いスープになってしまうのが好みではない。もちろん、それらが好きな人も多いだろう。食も人も千差万別だ。価値観を共有できる人と食事が出来れば、美味さも倍増する。そしてそれは当たり前の事ではなく、とても幸福な事と言える。



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