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嗚呼、愛しの北京飯店  作者: 稲田心楽
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 よだれ鶏──四川料理の一つで、中国名は“口水鶏”。茹でた鶏肉に唐辛子、花椒、ラー油の入った辛いタレで食べる。口水鶏の口水は“よだれ”を意味する事から“よだれ鶏”と呼ばれ、人気が高まっている。



「めちゃくちゃ美味しそうだよね」


「私、食べるの初めて」



 黄金色の角皿にむね肉が盛られていて、刻みニンニクが混ざった茶色のタレがかかっている。



「上に乗っているのはかいわれ大根かな?」


「そう見たいね」



 私は、均等に切られたむね肉とかいわれ大根を黒い箸でつまんで口の中に入れた。



「美味すぎるだろうっ!」


「ほんとっ! 白いご飯に絶対合うわよね」



 淡白なむね肉に、パンチの効いたニンニクダレが抜群の相性である。かいわれ大根がシャキシャキと口の中に良いリズムを与えてくれて、あとを引く美味しさとなっている。



 私は、中華丼のご飯と餡を混ざて食べた。



「美味いよ。白菜が凄く甘くて、餡も北京飯店より少し上品だけど美味しい」


「紹介して良かったわ。炒飯も食べてみて」



 そう言うと、よだれ鶏用に持ってきてくれた黒い取り皿に炒飯を少し入れてくれた。



「美味いっ! 凄くパラパラだよね。それでいてパサパサしてない」



 一見何の変哲もない炒飯だが、匠の技が凝縮されている。卵と賽の目に切られた焼豚、そして、細かく刻まれた白ネギのみだ。たったそれだけの具材だが、とても深い味わいである。味付けも申し分ない。化学調味料の舌にさわる感覚などもない。これはもはや芸術の域まで高められた最高の炒飯だ。



「あなたの中華丼もちょうだい。この間食べたけど、あまりにも美味しそうに食べてるから」


「いいよ。いくらでも食べて」



 私は器ごと彼女に渡した。



「美味しいわね。こんなのお家では絶対作れないわよね」


「それいつも思う。炒飯なんて出来そうだけど、不可能なレベルだしな」


「そう。私が作る炒飯なんて均等に混ざってないから、白いご飯の部分とか目立つし」


「難しいよね。こんなパラパラにならないし」



 彼女と話しをしていると、若き大将がカウンターの向こうから話しかけてきた。



「家庭でも出来る炒飯の美味しい作り方教えましょうか?」


「えっ! 教えて頂けるの? 嬉しい!」


「家庭の火力や中華鍋がなくても出来ますよ」


「普通のフライパンでできるんですか?」


「はい。ちょっとした工夫で」



 彼は丁寧に教えてくれた。まずはご飯の下処理からだ。当然ご飯の下処理なんて初めての話しである。



 冷やご飯を水洗いする──パラパラにならないのは、“ぬめり”が原因。事前に洗えばそれは直ぐに解決。ただし、洗った後は水気を取る事を忘れてはいけない。



 材料──冷やご飯(茶碗山盛り)、卵一個、ロースハム、青ネギの小口切り、しょうが微塵切り、塩、胡椒、しょうゆ。



「全部家にあるものだわ。明日出来るかも」


「そうですね。簡単に手に入る食材かと」


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