スーパーMax契約
この話は前話を読んで理解してから読むことをオススメします。
※この話だけ読んでも理解しにくいかもしれません。
スーパーMax契約と2way契約
■スーパーMax契約について
Max契約はリーグ在籍年数で金額の上限が決まっているが、条件をつけてクリアすることでリーグ在籍年数の条件が緩和されるもので、ケビン・デュラントルールとも言う。
デュラントが、オクラホマシティ・サンダーからゴールデンステイト・ウォリアーズに移籍した時に、リーグの勢力図を塗り替えるほどで、強すぎるチームを生んでしまいました。
こういったことが横行すると競争力がなくなり、つまらないリーグになることを恐れ、条件付きでMax契約可能なリーグ在籍年数の短縮を認めて、移籍するより所属チームと再契約し易い環境を作るために2017年に制定されました。
■スーパーMax契約の契約基準
◎スーパーMax契約を締結する権利を有する最低条件。
現所属チームにドラフト指名されてルーキー契約を締結した選手、またはルーキー契約中にトレードで現所属チームに移籍してきた選手。
①直近3シーズンで2回、または契約する前のシーズンでオールNBAチームに選出(1stチーム、2ndチーム、3rdチームのどれでもOK)
②直近3シーズンで2回、または契約する前のシーズンで最優秀守備選手賞を受賞
③直近3シーズンで2回、または契約する前のシーズンでMVPを受賞
以上3つのうち、どれか1つ該当すればスーパーMax契約を利用できます。
Max契約ではサラリーキャップの35%の年俸で契約できるのはリーグ在籍10年以上が条件ですが、スーパーMax契約ではリーグ在籍7~9年でもサラリーキャップの35%の契約が可能になるのです。
ヤニス・アデトクンボは来季オフの時点でもリーグ在籍10年未満ですが、スーパーMax契約条件の①②③全てをクリアしているので、2020-21シーズン(今季)オフにバックスとはサラリーキャップ35%の最大5年契約を結ぶことが可能です。
現在はその契約延長交渉中で、交渉期限はシーズン開幕前日までとなっています。
もちろんアデトクンボは今季終了後にバックスとスーパーMax契約することも可能ですが、その場合は完全FAとして他チームとMax契約も可能となるので、契約延長が出来なかった場合はシーズン中に見返りを求めてトレードを模索することになる可能性が高くなるのです。
アデトクンボとバックスの『Xデー』は開幕前日です。
今オフにレイカーズと5年1億9000万ドルの契約延長を締結したアンソニー・デイビスは最低条件をクリアしていないのでオールNBA1stチームに選出されましたが、スーパーMax契約はできません。
※戦力集中を回避するため、スーパーMax契約は1チームに1名しか契約出来ない。
◎トレードで3人目のMax契約選手を連れてくることも禁止されている。
ではよく聞く【ビッグ3】は何故結成できるのかというと、誰か1人がMax契約に近いがMax契約ではない額の契約を受け入れるから可能になるという抜け道があります。
ドゥエイン・ウェイドの所属するマイアミ・ヒートにレブロン・ジェームス、クリス・ボッシュの同期2人が移籍して結成したビッグ3の場合、レブロンがMax契約でない契約を受け入れたことで可能になりました。
ケビン・デュラントがウォリアーズに移籍してきた時はMax契約でしたが、クレイ・トンプソンの契約延長のタイミングとデュラントのプレイヤーオプションが同じ年のオフにあった時に、デュラントが減俸を受け入れてトンプソンのMax契約を可能にしました。
デュラントはウォリアーズとはMaxではない2年契約を締結して、ブルックリン・ネッツ移籍時はMax契約を結びました。
ネッツは怪我で1シーズンを棒にふるのを理解していながらも契約を締結したのです。
■2way契約について
渡辺雄太がグリズリーズと結んだ契約ということは知られているので、詳細を書きたいと思います。
Gリーグが完全にNBAの下部組織となったことで、2017年に誕生した制度です。
ドラフトで指名されなかった選手が、NBAの狭き門(チームロスター12人+インジャリーリスト3人=最大15人)を目指すための制度。
2way契約選手は1チームに2人までしか在籍できないが上記の最大15人の枠とは別になります。
詳細
契約したNBAチームと提携Gリーグチームとのダブル所属となります。
普段はGリーグチームにて活動し、NBAチームからコールアップされるとNBAチームに帯同する。NBAチームには最大45日帯同できます。
普通にGリーグで試合をしながらコールアップ(呼び出し)を待つのと何が違うのかと言うと、Gリーグ所属の場合、NBAで試合に出場するためには10日間契約か本契約を締結しなければなりません。
10日間契約は1シーズンに選手1人に1チーム2回しか出来ませんし、2回目の10日間契約後には本契約を締結しないといけない規則があります。
本契約はロスターに入ってしまうのでチームにはリスクがあるので2回目の10日間契約を躊躇する場合が多いのです。
2way契約だと最大45日間と限度はありますが、いつでもコールアップが可能ですし、NBAでの経験も積めます。
2way契約は最大2年しか契約できません。
2way契約選手はロスターに含まれません。
渡辺君はグリズリーズと2年の2way契約が終了したので、完全FAとなっていますが、現在は契約を勝ち取るためにラプターズのキャンプに参加しています。