屋根を同じに
第二話 節約する金と贅沢な愛
実は俺、今困ってる事がある。段々と貯蓄が減っていってるんだ。
今までは話し相手もおらず、減るお金に見てみぬふりをしていたが、そろそろきつい。
色々節約をしてなんとか凌いでたがもう限界。
せめてあの廃墟同然の家じゃなくて、もっと町工場に近いところに引っ越せれば、少しは節約になるのだが。
そう言うわけで例のおっさんに相談をしてみた。
「実はさ、、そろそろ貯蓄がつきそうで、生活が危ういんよ」
おっさんは言った。
「なるほど、残りいくらぐらいだ。」
「大体二千円ぐらい」
「そりゃまずい。あと数ヶ月で飯も食えなくなる」
「なんとか町工場の近くに引っ越したいんだよね。後土地も売れたら売りたいし」
「そうか、、俺の家に来るか?」
「え?いいの?」
「ああいいとも。1人で寂しかったんだ」
そうしておじさんとの同棲が始まった。
同居初日
おじさんと盛大なパーティーをした
「これで君も我が家の家族だ」
そう言われた。震災後初めてできた家族。
ずっと仲良くしていこうと心に誓った。
休日には家事を教えてもらった。
「いいかーうどんはな。12分茹でるのがちょうどいいんだ」
「違う!それじゃ指切るよ。いいか?手は猫の手だ」
「よしよしいいぞ。洋服をうまくたためるじゃないか」
そうして楽しい同居生活が始まった。
同じ頃、町工場では新しい事業が始まる。
「これからはラジオで情報を集める時代だ!」
社長の声が響きわたる。
「だからこれからは、安くて長持ちするラジオが売れる」そう宣言された。
俺は人事異動により技術部に異動。格安ラジオの設計を任された。
「製造部から移動しました。前田実と言います!よろしくお願いします」
「よろしく。俺は技術部部長の矢内幸雄。2人しかいないけどこれからラジオ開発に取り組もうな」
そう言うわけで開発はスタート。だけど計画書の内容は厳しいものだった。
真空管式のラジオなんだけど、何より価格が安すぎる。どうやって達成するんだこれ、、、
そういうわけでまた悩みが増えた。おじさんに相談しよう。