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金はない。だが心はある
「実!早く逃げろ」
「実ちゃん逃げて!!」
「親父!お袋!お袋!!」
俺がいつも行っている店がある。
定食屋 桜興
ここでいつもざるそばを食う。工場の同僚とそばをすするのはいつもうまい。
「あー生き返るー」
そしてある日、俺はあるおっさんと相席になった。
黙ってそばをすすってると、おっさんは涙をさっと流していた。
気になって聞いた。
「おっさん。どうして泣いてるんだい。」
おっさんは言った。
「みんな、あの震災で大変だったろ?俺もな、かみさん亡くしたんだよ。仕事もないしな。どうしよう」
俺はいった。
「俺もそうだ。お袋も親父も火事で逝ったよ。おかげでギリギリ蕎麦屋に行くしかない。実は瓦礫の中で今も生活してる。少しは直したけどな、、」
おっさんは最後に名前を名乗り、席から立ち去った
それから、毎週の様に蕎麦屋で話をするようになった。
おっさんは話が面白く頭がいい。話したいといつも思うようになった。
明日はどんな話をしてくれるのだろう。