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第5話



 デスランが転移門の前でサミーニャを待っている。今日は二人が待ちに待ったデートの日だ。

 待ち合わせ時間より少し前にサミーニャはやって来た。


「デスランお待たせ」


「おはようございます。俺はさっき来たところですよ。サミーニャも待ち合わせ時間より早いですね」


「えへへ。待ちきれなくてさ。なぁ、この格好どうかな。変じゃない?」


 サミーニャはその場でひらりと回転した。

 今日の装いはセレーネ&エロースプロデュースの()()()。コンセプトは清楚で可憐なお嬢様(?)だ。

 ミモレ丈の白いワンピースに淡いピンクのカーディガンを合わせ、足元はレースで縁取られたクルーソックスにヒールの低いキャラメル色のストラップ付きラウンドトゥのパンプスを履いた。斜めに掛けているポシェットは靴とお揃いのキャラメル色。いつも適当に下ろしているフワフワの髪は編み込みのハーフアップに纏められ、ぷっくりとした唇には紅を引きその存在を主張している。


「──いつも以上に可愛らしいです。絶対に俺の側から離れないでくださいね」


 デスランは可愛い過ぎるサミーニャを直視出来ず、彼女の頭の少し上を見ながら答えた。目が泳いでいるとも言う。


「うん?うん、分かった。その、デスランもいつもと雰囲気が違うな。カッコいい///」


 サミーニャは頬を赤く染めながらデスランを見上げた。


 デスランはいつもオールバックに固めている髪を無造作に流し、服もいつものかっちりとした物ではなく青系チェック柄のシャツにブラウンの細身のパンツ、歩きやすそうな黒の紐靴とカジュアルな出で立ち。そして革製のボディバッグを斜めに掛けている。流石にいつもの手袋は嵌めていない。


「それは、その、今日は仕事ではなくデートなので」


 デスランはそう言うとほんのり顔を赤らめた。


「そ、そうだよな。デートだもんな」


「ええ」


 二人は互いに俯き暫し沈黙する。


「そ、そうだ!」


「なんでしょう」


 ガバッと顔を上げたサミーニャにデスランも視線を上げる。


「スターリピットで神名を呼ぶ訳にはいかねぇから、俺のことは“ミーニャ”って呼んでくれ」


「わかりました。ミーニャですね。じゃあ俺の事は“スラン”と呼んでください」


「スランか。わかった!」


 二人は渾名を馴染ませる為に口の中でブツブツと唱える。


「──ミーニャ、そろそろ行きませんか?」


「そうだな。あ、スラン。その、手を出してくれ」


「手ですか?はいどうぞ」


 デスランは首を傾げつつサミーニャへ手を差し出した。


「ふぅー。よしっ!行こう!」


 サミーニャは気合いを入れるとデスランの手に自分の手を重ね、彼を引っ張り転移門へと歩き出した。デスランは唖然とした顔で彼女に掴まれた手を見ている。


 そのまま二人は転移門を潜った。



  ***



 その一部始終を建物の影から見ている者達がいた。それはセレーネ、モアテ、クロウディ。


 あーもう!そこはデスランから手を取りに行きなさいよ!!なんでサミーニャ主導なのよ!恋人は手を繋ぐのよって教えたのは私だけどっ!!

 それにしても、渾名で呼び合うなんて新鮮ね。私も今度エロースと人間の世界に遊びに行こうかしら。


「よし、これでいいわ。それじゃあ後は頼むわね。向こうに着いたら手筈通りに」


 セレーネが神力を使ってモアテ(堕天使)とクロウディ(天使)をスターリピットでの一般人種(人間)に変える。


「わかりました」

「行って参ります」


 二人はサミーニャとデスランの後を追うように転移門を潜った。


 うふふ。二人のデートはどうなるのかしらね?楽しみだわ♪



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