第1話
場面毎に話を分けているので、各話の文量が異なります。
(大体1,300~3,000字)
平均化出来ず申し訳ありません。
サミーニャはいつもの如く、輪廻転生の作業をしている。
アンビバレンスから誤って連れてこられる魂は日々数百を超えていた頃から比べればだいぶ減り、異世界転生の作業は落ち着いていた。
彼女はふと目線を壁に向け、掛け時計を見上げる。
──ふぅ、そろそろセレーネが来る頃合いか。こいつらで今日の作業は終わりだな。
彼女が今日の最後と決めた作業を終え、うーんと身体を伸ばしていると扉がノックされた。相手が誰かは判っているので入れと入室を許可する。
「サミーニャ様、セレーネ様がいらっしゃいました」
「わかった。今日はこれで終わりにすっからクロウディも帰れよ」
「はい。お先に失礼致します」
「あっそうだ、明日は休みだからな?この前みてぇに間違えて休日出勤なんてするんじゃねぇぞ」
「サミーニャ様も暇だからと休日出勤しては駄目ですよ?」
「う、うん、わかってるって」
サミーニャは部下を帰宅させると作業室から出て、セレーネの待つ事務室へ向かった。
「わりぃ、待たせたな」
「お疲れ様。いいのよ、私は今暇人だもの」
セレーネはそう言って、その大きなお腹を愛おしそうに撫でた。
「そろそろだっけ」
「そうよ。うふふ。サミーニャは叔母さんになるのよね」
「はは。絶対にオバサンなんて呼ばせねぇよ?」
二人はコロコロと笑いながらクロウディが帰り際に用意した麦茶で喉を潤した。
「あの子のお茶、いつ飲んでも美味しいわよね」
「だろ?うちのクロウディは仕事でもなんでも優秀だからな」
「だからサミーニャの補佐は一人で足りるのね」
「俺の所は他の神様と比べりゃ仕事量がかなり少ねぇしな」
「そう言えば、最近あの世界が落ち着いたって聞いたわよ?」
「うん。アンビバレンスはゼウスのじっちゃんがどうにか制御出来たからな。つってもまだまだ異世界転生待ちの奴はいるけど。でも、とんでもねぇ量だった昔に比べりゃ他の世界より多いなってくらいには減ってきたな」
「ふぅん。じゃあそろそろサミーニャ達も結婚ね」
「けっ、けっこんなんてまだっ!」
「あらぁ。動揺しちゃって可愛い」
「なんだ!?人妻の余裕ってやつか!?」
「うふふ。もう、兄妹揃って初心なんだから。ホント、いじり甲斐があるわよね」
「っ!!俺はともかく、兄貴は初心じゃねぇだろ?数多の天使と浮き名を流してたじゃねぇか」
「それがねぇ、本人にそんなつもりはなくってただ回りが勝手にエロース様好きーってやってただけらしいわよ?
彼、手を出したのは後にも先にも私だけなんだって。初夜の時に告白されたわ。性愛神なのに僕も初めてだって」
「うわぁ!兄貴の色事なんて聞きたくなーい!」
「人の純愛を重いだの鬱陶しいだのって散々な言い様だったのに、性愛神のくせに一途だなんてどっちが重いのよ!って話よね」
「──ハァ、どっちもどっちでご馳走さまです」
サミーニャはがっくりと肩を落とす。
「もぅ!ホントこの手の話題にはノリが悪いんだから!」
「そんなこと言われたって」
「うふふふ。まぁ、それは置いておいて。どうするの?デスランと結婚の話とかしていないの?」
「し、してないよっ!あいつはあいつで忙しいし!」
「あら、忙しい事を理由にして話をしていないの?」
「べ、別にそう言う訳じゃねぇけど」
「愛し合う二人が結ばれるのは必然なのよ?」
「愛し合うって!?///」
サミーニャは湯気が出そうな程顔を真っ赤に染めた。
「サミーニャとデスランは愛し合っているでしょう?違うの?」
「俺は、その、好きだけど・・・。アイツが俺の事をどう思ってるかは知らない・・・」
「確かにデスランは好きだ!とか愛してる!とか言う情熱的なタイプじゃないわね。いつも無表情だし」
「うん」
サミーニャは先程とは打って代わって背後が暗くなりそうな程落ち込んだ。
「アイツ、そう言う感情がねぇんだよ。俺と兄貴がじゃれてて不機嫌になるのは、自分のモノが他人にオモチャにされてて不愉快なだけだし」
「そうかしら?」
「そうだよ」
サミーニャ、それは嫉妬っていう立派な感情なのよ?ホント、負の感情にとことん疎いわよね。
でも、デスランもデスランよね。いくら死神だからって正の感情を表に出すのが下手すぎよ。さっさと愛してるの一言でも言って繋ぎ止めないと横から掻っ攫われるわよ?私の義妹は誰が見ても魅力的で可愛いんだから。
もう。可愛いサミーニャの為にも純愛神たる私が一肌脱ぎますか!
セレーネはサミーニャを心行くまでいじり倒すと、じゃあまたねと言って事務室を出ていった。