extra edition 2 セレーネ
「それじゃあごゆっくり~」
披露宴がお開きになり、私はサミーニャとデスランをテオス別館にある すぺいんの間 に閉じ込めた。
ふぅ。これで私の仕事は一段落ね。
数日後、サミーニャとデスランは私達の家に遊びにやって来た。どうやら新居はうちの近所にしたらしい。
・・・二人は独身寮に住んでいたのよね。ごめんなさい。そこまで考えていなかったわ。
エロースとデスランは私がサミーニャと話したいのを察して、向こうでバースの面倒を見てくれている。私は飲み物を用意するとサミーニャの隣に座り、根掘り葉掘り聞く体勢をとった。
色々と情報(スターリピットでのデート後のあれやこれや)を仕入れつつ先日の披露宴の話になる。
「サミーニャはなんであんなに悲鳴を上げていたの?」
「だって、デスランが急に俺の事を抱えるんだぜ?こう、ぐわぁんって!抱き上げられる方にも心の準備ってもんがあるだろ」
サミーニャ、そんな口をつき出しちゃって。
「やだもぉなんて可愛いのかしら」
私は思わずサミーニャに抱き付いた。サミーニャは文句を言いながらもきちんと抱き締め返してくれるのよね。ほんのり赤くなった耳も可愛いわ♪
「そうだ。あのあと、初夜だったでしょ?次の日辛くなかった?私は結構大変だったんだけど」
「うん?なんの話だ?」
「え?なんのって、しなかったの?」
「だから何を?」
サミーニャは本気で分からないのか首を傾げた。キョトンとした顔がまた可愛いわ。ってそうじゃない!
「初夜よ初夜!初めてのアレ!もう、何度言わせるのよ!!」
「あー、そう言うこと。したよ。でもあの日は初めてじゃなくて二回目だったな」
「はぁあ!?」
「それに、俺は自動で回復されるから初めての時も全然辛くなかったし。
初めては、ほら、神具でデスランと直に触れるようになっただろ?そんな状態で二人しかいない部屋でくっついてたらそのまま、な。
って!何言わせんだよっ///」
サミーニャが顔を赤らめながら何か言ってるけど、全然入ってこなかった。
「──サミーニャ、それ、本当なの?」
「ああ。やっぱ俺の部屋じゃ不味かったよな。デスランは大丈夫だってしか言わねぇんだよ?まぁ、そんなに騒いでないから隣に音は漏れて無いと思うけどな」
なんでそんなにあっけらかんと言ってるの?前はもっと恥ずかしがってたのに。
急に頭がクラッとしてテーブルに突っ伏した。
「へ?セレーネ大丈夫か!?」
「うう。サミーニャ~。貴女(の貞操)を守れなくてごめんね」
「は?急になんだ?え!?泣いてんの!?ちょっと兄貴!!」
「なぁに?」
「セレーネがおかしい!」
「え?セレーネ大丈夫?どこか痛いの?」
エロースの問い掛けに私は頭を横に振る。ごめんなさい。理由を言いたいのに涙が止まらないの。
「サミーニャ、セレーネは具合が悪そうなのでそろそろ帰りましょうか」
「そうだな。セレーネ、ちゃんと休めよ」
ぐすん。心配かけてごめんなさい。
私はソファの左側に座らされ、エロースは右側に座った。彼は右手でバースの揺りかごを揺らしながら、左手で私の右手を握る。私を見つめながらにこっと笑い、両手が幸せで嬉しいと言った。
うふふ。慰め方がなんとも彼らしい。お陰でだいぶ落ち着いたわ。
「ねぇ、セレーネは何を聞いて悲しくなっちゃったの?」
「サミーニャから結びの儀の後が初めてじゃないって聞いて。二回目だったんだって」
「へぇ?そうなんだぁ」
「エロースはなんでそんなに平気なの!?初めては結びの儀の後でしょう!」
「ふふ。セレーネは純愛神だからね。性欲は僕の専門だもんね」
キッと睨むと怒らないでとばかりに繋いだ手の甲にキスを落としてきた。
「ねぇセレーネ。デスランはやあぁっっっとサミーニャに直接触れる事が出来る様になったんだから、募る思いが爆発しても仕方がないでしょう?しかもあの日が二回目って、デスランはよく我慢したものだと思うよ。僕ならもっと襲っちゃうなぁ」
エロースは私の手の甲をスリスリと撫でながらデスランを擁護する。やっぱり男同士、何か分かり合ってるみたい。
「それに、あの二人の事だから無理矢理じゃないって、純愛神のセレーネが一番解ってるよねぇ?それで許してあげてよ」
「うぅ・・・」
「そもそも神は自分の欲に忠実なんだからさぁ。そうだ、セレーネはウチの両親がなんで僕が生まれた後に結婚したか知ってる?」
「アフロディーテ様のお腹にエロースが居たからでしょ?」
「お腹に居たって結婚は出来るでしょ?なんで僕の誕生を待っていたかと言うと、僕の父親が誰か、生まれるまで判らなかったからだよ。父親候補はオリュンピュアの神だけじゃなくて他の世界の中心に住む神もだし、自分の統べる世界の人間にまで手を出してたからね」
「・・・え?」
「ウチの母さんはそれだけ奔放だったってこと。何なら結婚するまで清い関係だった神は今のところ僕とセレーネだけだよ」
エロースはクスクス笑ってるけど。ちょっと待って、え、ええ!?あの生真面目なヘスティア様もってこと?嘘よね?嘘じゃないの!?
「僕は身も心もセレーネに捧げたから、セレーネの理想に頑張って合わせたんだ。性愛神なのによく耐えたと思わない?途中で何度も挫折しそうになったけどさ。
性欲の溜まった僕の、ちょっと過激ないたずらの犠牲になってたサミーニャは可哀想だったかな。理由を言って謝ったら笑って許してくれたけどね」
「──何よ。私の愛を重い重いって文句を言ってたのに、蓋を開けたらエロースの方がよっぽど重いじゃない」
我慢してるんだろうなって思っていたけれど、ここまでなんて思わなかったわ。
「ふふふ、どうだろうね?さて、夫婦の絆も深まったことだし、そろそろ僕も本領発揮したいんだけど?」
揺りかごを揺らしていたはずの手が、私の頬に添えられていた。しかも左手はなぜか右手と一緒に握られている。いつの間に!?
「ほ、本領発揮ってなにかしら?」
思わず仰け反りながら尋ねた私の言葉に、私を見つめる目が細められた。
「セレーネは僕がなんの神か分かってる?バースがお腹に居る時から今日までずぅっと我慢してたんだからね?一切外で発散してないんだよ?すごくない?まぁ、結婚前程きつくは無かったけど」
エロースはじりじりと寄ってくる。
唇を舐める姿が相変わらず色っぽいなぁ。じゃなくて!!
「ちょ、ちょっと待って、バースが「もう寝たよ」っっっ!?わ、私お風呂まだ「一緒に入ろうか」っっっ!!きゃっ!!!」
そうだそうしようって私の事を横抱きにする彼、、、。どうやら逃げられないようです。
エロースお願い!
明日があるから激しいのだけは勘弁してくださいっ!!




