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幻夢界創世記  作者: 天狼
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英雄誕生

世界が出来て、1000年ほど過ぎた頃。


群雄割拠にもならない、まだ小勢力の乱立時代。


一人の英雄が現れる。


「レグルス・ファーン・ビンセント」


とある小国の騎士として、彼は出現した。


瞬く間に、近隣諸国や小勢力を統合し、わずか20年ほどで彼は大陸の半分を統合する。


しかし、彼は一騎士として玉座に上がる事はなかった。



彼は月の女神の加護を受け、魔女の妻を持ち、二人の仲間と共に活躍した。


大陸の半分を治める大国の英雄を加護する女神。


神を信仰するものは月の女神を第一とするのは自然の流れだろう。



しかし、その勢力に対抗するものもまた、大きな力を持つのはこれもまた自然な流れである。


恨み、恐怖、嫉妬、羨望。


人の暗い闇を司る魔王が英雄を倒すために動き出す。



レグルスには二人の息子がいる。


双子の兄、「ブラメス・バーン」と弟の「カイン・ファーヴ」である。


弟のカインは初陣も早く、武勇に秀で器量もなかなかで「後継者は弟のカインではないか?」との噂が飛び交うくらい、出来が良かった。


兄のブラメスは思慮深く、控えめではっきり言って地味である。



二人が18才の年、太陽神からお告げがあった。


「太陽の巫女をビンセント家の後継者の妻とする。」と、いうものである。


それまで後継者問題に一切発言しなかったレグルスがこの話を受けて、初めてブラメスを後継者とすることを宣言。



実は、レグルスには自分の功績があまりにも大き過ぎる為、騎士としての武勇に関する後継者としてカインに。


ビンセント家として、家督の後継者をブラメスにと考えていた。


政治の効力としての縁組ならば、当然ブラメスに白羽の矢が立つ。


前線に出ていないブラメスにはその事は十分言い含めており、また、ブラメスもそれが一番良いと考えていた。


実力は充分過ぎるほど、英雄の後継者の器があるが、カインの性格は素直過ぎる。政治の駆け引きの実態がわかっていない。



今回の太陽神のお告げには、様々な思惑が絡んでいる。


素直に受け取れば、月と太陽の加護をビンセント家に与え、王国を発展させるに盤石の状態にするお祝いと考えられる。


だが、王国には月の女神の信仰が抜きんでており、他の神々の信仰は横一線といったところ。


太陽神の加護が増えてもさほど、ビンセント家の利益にはならない。


太陽神が月の女神の足を引っ張る可能性すらある。


ましてや、英雄の後継者の結婚という今後政治的に最大の切り札となりうるカードを切らされるのだ。


今回の縁談は英雄の本当の後継者の為にも、自分が受けるべきだろう。



レグルスにも、ブラメスにも油断があった。


カインには何も本当のことを伝えていないのだ。ブラメスの結婚式にはカインも王都へ一時帰還する。


きっと、すねているであろうカインに会ってから伝え、驚かしてやろう。


「本当の後継者はお前なのだ。」と。



しかし、歯車は狂いだす。



「何故だ!なぜ俺が後継者ではない!?」


カインは騎士として、武人として、レグルスの後継者となるのは自分だと考えていた。


まだ若く、実力もあり、周囲のうわさや評価を兄と比較すれば当然の事だろう。


しかも、父に代わり自分が最前線で大国を支えているのだ。


「ブラメスを後継者に。」という報告を受けてショックを受けない訳がない。



兄を見下しているわけではない。


しかし、実力も兵士の人望も父に継ぐものと自負している。後継者は自分だと。


しかも、太陽神のお告げだと?


自分は月の女神の加護を受けているのに?



そんな心の隙間に魔王が加護を与える。


「本当の後継者はお前だ。」と。


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