地獄温泉にて鬼姉と出会う〜温泉で舌づつみ!?〜
「それにしても、これは強くて上手い酒じゃのう!」
「満足頂けて何よりです」
ここで、用意しておいたジャガイモを確認するため串をさす。
抵抗なく刺さる、食べ頃だろう。
「こちらもどうぞ」
「なんじゃ芋かや…」
芋で悪かったな、俺は好きなんだよ。
「まあ、食べてみてくれ」
鬼姉は食べた途端に目をカッと開いた。
「な、なんだこれは!?」
良し!好反応!!
この後、用意してた調味料を色々と食べながら、全てのジャガイモを食べあげてしまった。
「もう、なくなってしまったのかや?」
「ジャガイモは、もう無いね」
「もう少し、食べたいのじゃがな」
僕は、用意しておいた卵を差し出す。
結局、1つも食べる事が出来ずじまいだった。
「主、今日は、野宿じゃったな?」
「そうですが…」
「ならば、わしの泊まってる宿にこい!一緒の部屋なら問題ないじゃろ」
問題大有りだ。
理性崩壊間違いなし、感情コントロール不可能。
「それはちょっと…」
「わしの言うことは聞けぬと言うのかや」
「はい」
そう言うと、お姉さんはこっちにもたれかかる…いや、倒れた。
のぼせたか、面倒くさい。
「宿は、温泉から出て1番手前じゃ」
え?宿なんてないぞ??
「はーやく、行くぞー」
とりあえず服を…あれ?脱衣所がある…
1着だけ浴衣が脱ぎ捨てられている。
このお姉さんの…あれ?頭に出来物?コブ?
何か凸?みたいなものがみられる…これ、角?まさか、鬼?
浴衣を着せて温泉を出る。
そこには、温泉街が広がっていた。
「え?」
閉じた口が閉まらないとは、このことか。
「1番近くの宿って言ってたな」
そこには、大きな宿があった。
なぜ、僕は今まで、こんな大きな建物があるのに気づかなかったのか…
あと周り見て気づいた。
人1人歩いていない、夜も遅いから仕方ないのかもしれない…
「ごめん下さい」
「はーい」
宿に入り、一言言うと奥から女将さんらしき人が出てきた。
「あらあら、帰ってくるのが遅いと思ったら…」
「この人、お願いします」
酔っ払いの相手は嫌だ。
さっさと引き渡して、テント張って寝よう。
「ごめんなさいね、今、手が空いてないのよ、悪いけど部屋までお願い出来るかしら?」
「部屋へはワシが案内するから連れて行ってくりゃれ?」
起きてたのか、正直、忙しくないように見える。
女将さんは、やけにニコニコしてるし…
「わかりました、部屋はどこです?」
「3階じゃ」
それだけ言うと、鬼姉の体から力ご抜けた。
「すまぬ、歩けぬ」
仕方がないので、抱っこした。
お姫様抱っこ。
鬼姉は顔を真っ赤にしながら、胸を叩いてくる。
少し脅す。
「暴れると落ちますよ?」
大人しくなった、運びやすい。
「お兄さん…部屋に送ったら、そのまま、寝ちゃって良いからねサービスしといてあげる♪」
女将さんは、そう言って宿の奥に消えた。
「は、早く部屋に…」
階段を上がり、部屋に着くなり
「あ〜れ〜」
とか言いながら帯回しみたいな感じで回り出した。
「わしも回るが部屋も回るぞ〜」
そんなことを言った途端倒れた…
なんとか受け止めた。セーフ。
「主が何人もおる〜」
ったく、酔っ払いが…
とにかく、布団に寝かす。
寝かせて気づいた、オールドパーの便が空になっていた。
それは、こうもなるだろう。
逆に一本をストレートで飲んでるのに、吐かないのか…
強すぎないか?
掛け布団掛けた所で大人しくなった…
窓から外を見る。
ここはどこだ、あの温泉周りにこんな所はなかったはずだ。
「まぁ、いいや」
持ち前の適当かつ大雑把を発揮し鬼にしないことにした。
「あら?早かったわね」
女将さんが寝巻きでてきた。
「ええ、帰りますから」
「またね、迷い人さん」
そう言われて、宿を後にした、僕はテントを張り、眠りについた。
翌朝
温泉の裏にあった宿と温泉街を見つけることは出来なかった。
綺麗さっぱり無くなっている。
証拠もなし、まぁ、夢を見ていたと言うことにするか…
僕はテント直し、宮崎に向けて走り出した。