大分県 別府市 〜温泉にて地獄〜
ガタガタガタ…
舗装の無い道をひたすら進む。
ジェベルはオフロードバイクなので、この位余裕である。
ひたすら進むと、段々と街は見えなくなり山々が姿を現わす。
谷に沿ってひたすら進む…
こうして走ると心が落ち着いてくる。
「山道を走るのは楽しいね、君もそう思わないかい?」
答えないとわかっていても、つい、話しかけてしまう。
寂しい心を紛らわすためだ。
車もそんなに通らないのだろう。
ある程度の道幅はあるが、道の上には落ち葉、草、等がお茂っている。
ハンドルを取られない様に慎重に進んで行く。
それから、しばらく経った頃だったろうか。
湯気が遠くに見え出した。
「鍋山温泉だ!」
主人公は、この時、気づいていなかったのである。
鍋山温泉は、もっと手前にあり、山奥に入り過ぎてしまったことを…
だが、そんなことを知らない主人公は温泉から出ている湯気を目指してひたすら進む。
そして、辿りついた…
「おお!まさしく秘境温泉、脱衣所すらない!!」
意気揚々と服を脱ぎ温泉に向かう。
日本の温泉マナーにのっとり、体を洗いそれから入る。
先に言っておくことが1つある。
僕は、近眼で眼鏡をかけていないと日常生活が難しくなるんだ。
視界は1.5メートル無いくらい。
つまり、この時は全く気づいてなかった…
僕が、本当の地獄で鬼に出会ったと気付くのは、かなり、後の話だった…