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はっぴーばーすでー!

3話です。1話の続きです。

最近自分の書いてる小説で、怯えたり泣きそうになったりします。

……どうでもいいですよねw

 私がまだ高校に通っていたころの話しだ。私は数学が得意で、必然的にパソコンの扱いにも慣れていた。高校に入る前からプログラミングを腐るほどやってきた。だから学校に居てもプログラミングのことで頭が一杯で、友達付き合いは少なかった。


 そのときクラスにはボス的存在であるSがいた。頭は良かったがいじめや恐喝など様々な悪事を働いていた。たぶん気味が悪かったのだろう。私には手を出さなかった。私に被害さえなければそれでよかった。


 1年生の夏休みが終わり2学期が始まった途端、私もターゲットになり始めた。確かな確証があるわけではないが、成績が原因だろう。私は商業系のクラスだったので主要3科目、数学、簿記、情報処理の成績が重要で他の教科はほとんど意味を持っていない。その3科目全てで私が1位だった。しかも2位はSだ。


 1学期中は付き合いが良く、頭もそこそこだったSに質問が集まっていたが、授業料として金をとったり、女子には体の関係を求めていたらしい。だが1位でないことが分かると周りが態度を変えた。私に質問が集まり出したのだ。そんなもの邪魔以外の何物でもない私は足蹴にしていたが、彼は面白く無かったのだろう。だから私を消すことで名実共に権力を取り戻そうとした。


 だがこの時既に彼は間違いを犯していた。


 私が執念深い男だったということ、私の知識はSなんかが追いつける程、中途半端なものでは無かったということだ。


 最初は気にならなかったいたずらだったが、ある時こいつを殺そうと決心した。だが普通に手を下してしまえば、私はすぐに捕まる。そっち方面の知識は皆無だ。


 そこで目を付けたのは、彼が無類のゲーム好きだと言うことだ。あらゆるゲームをプレイして、面白くないだの、エロくないだのと。だから私は彼を『インターネット・ゲーム依存症』という病気で殺すことにした。


 え? インターネット依存症なんて知らない? もう少し早く君に会っていればね……一か月で殺してあげたんだけど。


 インターネット依存症は覚せい剤依存症なんかと変わらない症状を示すといえば分かるかな? 少し調べればすぐ分かると思うから、割愛。


 覚せい剤依存症との違いはゲームに規制が掛かっていないから一度かかると抜け出しにくい。それに認知度が低い。海外ではインターネット依存症による事件・自殺が多くて規制が進んでいるところも多い。韓国、中国を筆頭に、アメリカなどが代表だ。日本ではまだ少ない。最近治療出来る施設が、出来たらしい。まあこれらの点がこっちにとっちゃ利点となる。


 主な症状は昼夜逆転。長時間座ることによって起こる身体的な障害、などだ。凶器となる症状は、孤立する。長時間座ることによって起こる急性肺血栓塞栓症。現実とファンタジーの境目がなくなる。


 これらの症状を確実に引き起こすには中途半端な嵌り方じゃダメだ。だから一から作ることにした。誰もが嵌り、抜け出せなくなる殺人ゲームを。


 まだ高校生だったが、技術は十分だった。幾つかのゲーム会社に匿名で企画を出し、返事をもらえたのが今の会社だ。私が高校生だと知ったとき担当は驚いていた。


 そんなこんなでゲームを配信することになり、見事三日でランキング一位を獲得。その後も順調にユーザー数を伸ばした。そしてそのうち、うちのクラスでも話題に挙がるようになった。


『超おもしれーのがあるんですよ。やりませんか? 招待コードは73gD29ですよ』


『ああ、悪い、今ケータイ電池切れだわ。家帰ったらやるわ』


 掛かった。招待コードが分かったのだから、あとはそのコードが使われたIDを追うだけでいい。次の段階はギルドで捕まえることだ。私の作ったギルドは無課金者が多い。だが数あるギルドの中でもトップクラスだ。もちろん少し手は加えている。


 ここで初心者であるSを捕まえるのだ。初心者なのにトップクラスのギルドにいる、必要とされているんだ。そんな感覚が彼を支配するのではないかと考えた。そして見事引き込むことに成功した。


 Sの村、アバターが成長するにつれ、現実はおろそかになっていった。最初は居眠り。遅刻が増えていき、友達もいなくなり、やがて学校に来なくなった。これで現実世界と隔離された。だがこれがゴールではない。


 現実世界と離れたことでギルドの中での順位も急激に上がるようになっていった。ギルドに無くてはならない存在。


 ――自分が生きていられるところはこのゲームだけだ――


 そう感じていたかもしれない。だが終わりは突然訪れた。ある日Sのログインが無くなり、学校ではこう告げられた。


『Sが亡くなった。死因はエコノミークラス症候群だそうだ』


 驚いた。覚悟はしていたし、勿論可哀想なんて感情は湧かない。だが私の作戦がうまく働いた、人を殺した、そんな言葉が私を支配した。


 本当は彼を裏切り者にでっち上げて、現実にもヴァーチャルの世界にも居場所がなくなった彼を自殺させるはずだった。だが結果さえ同じならどうだっていい。成功したことによる喜びともう一つの感情が浮かんだ。


 もっと、もっとコロシタイ――

ありがとうございました。

誤字、感想、ポイントなどお待ちしてます。


第一作「絶滅」もお読みいただけると、嬉しいです。

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