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第十四章§月見里京雅


 携帯を確認すると、葉子からメッセージが届いていた。博信の安否を尋ねるものだった。どうやら、博信の家にまで訪問したようだ。

 すでに学校にいるという旨のメールを送ると、さほど時間をおかずに返事がきた。ずっと携帯を見ていたのだろうか。

 葉子は驚いていたが、連絡が取れて安心したようだ。続けて、今日は学校を休むように告げる。

 詳しい事情を話すわけにもいかないのですべて省いたのだが、葉子は一度だけ博信に確認を取るメールを送ってきた後、承諾した。


 葉子とのやり取りを終え、博信は小さくため息を落とした。

 葉子は聡い少女なのだが、なぜか博信の言うことは盲信するきらいがある。これがある為に、博信は迂闊に葉子に頼み事ができなかった。

 電車で乗り合わせた志築と蔵兼にも連絡を取ろうかと思ったが、二人の連絡先を聞いていなかったことを思いだす。

 時間はもうほとんどない。いまから彼女達に連絡を取るより、梶原を捕まえたほうが良いだろう。



 念のために屋上が無人であることを確認してから、校舎を出て中庭へ向かう。登校してきた生徒の姿を横目で眺めながら、ゲームへの思索を始めた。


 梶原は勝敗条件と時間制限だけを告げて、その姿を消した。

 懐中時計を見ると、すでに六時を向かえている。実際には十分も経っていないはずだが、そのうちに三時間ぶんは進んでいた。

 残り七時間として、現実での時間は二十分と言ったところだろうか。

 その時刻は博信が毎日通学に使っている電車に乗ってから数分後、すなわち、あの超能力者が暴れ出す前後の時刻であることを指し示している。

 やはり、あのタイミングが始まりであり、梶原が言うところのゲームが終了する時間のようだ。


 それまでに捕まえることができれば、志築達の安全も確保できるだろう。


 だが、現時点で、梶原がどこに行ったのかまるで見当がついていない。ヒントらしいヒントと言えば、彼女が蜷原に会いに来ようとしていたということぐらいだろうか。


 あと二十分では、行ける場所が限られている。少なくとも、学校の外を探しに行くことはできない。

 梶原もそれは折り込みずみのはずだ。


 無論、最初から勝ち目のないゲームである可能性はあるのだが、木岐原や梶原が事あるごとにルールにこだわっていることを、博信は重要視していた。

 彼らはやろうと思えば、超能力者のようなまだるっこしいやり方ではない、もっと大規模な出来事を引き起こせるはずなのだ。


 にも関わらず、彼らはそれをしない。彼らは神になる力を持ちながら、それを求めていない。


 木岐原は「正しい現実の在り方というものを知らしめる」と答えた。

 梶原は「みんなが思い描いた夢の世界になる」と答えた。


 彼らは、彼ら自身のルールに沿って、人の認識を変えようとしている。

 ならば、彼らが示したルールは、公平性を保っていると考えても良いはずだ。公平性に欠ける勝敗条件を作りだしてはいない。


 いま、個々人の認識は変化しつつある。

 博信と慎也という例外を除いたとしても、超能力の存在を知り、恐れ、憧れ、怯えという感情を抱くことで現実への認識を改めざるを得なかった人間がいるのだ。


 変化しつつある、しかし変わりきってはいない。

 木岐原、梶原の目的はまだ達成されておらず、進行中なのだ。

 であれば、木岐原が示したルールと梶原が示したルールは、いま同時に成立し、機能している。


 このルールの中で梶原に勝利する、梶原を捕まえる為に必要なものはなんだろうか。


 懐中時計の針はなおも信じられない動きをしながら時を刻んでいく。

 一定の流れではない時間の中に、彼女がいるということだ。ルールに従うなら、この針が動いている間は、彼女は時間を止めるか空間を移動している――つまり、博信には認識できない状態であるということだろう。

 博信が梶原を捕まえられるのは、この針が停まっている間だけということになる。


 彼女は目的をすでに達している。木岐原とのゲームに勝利した――彼女はそう確信したうえで、博信にこのゲームを持ちかけてきたのだ。そんな彼女がどんなゲームを繰り広げるのか。


 梶原はいま、間違いなく勝者だ。彼女にとってこのゲームは自らの立場を危ぶませるものではなく、余興でしかない。


 その為、博信から見た自分ならこうするだろう、という想像は通用しない。

 なぜなら、博信はこの歪んだ現実の中で、一度足りとも勝者であったことがない。ただの人間相手でも、超能力者が相手でもだ。博信は、勝者の心情に触れたことなどなかった。


 考えるのは、彼らが示したルールが、彼らの動きをどう制限するか、だ。


 博信が偽のドリームキャプチャーのことを木岐原に訊ねた際、彼は「ルールに抵触する」という言葉を使った。

 では、今回のゲームにおいて梶原にも同様の「ルールに抵触する」行為があると仮定した場合、はたしてそれはどのようなものだろうか。


 一つ、時間、移動手段から考えて、博信が到達することが不可能な場所には行っていない。

 二つ、超能力者による妨害はない。

 三つ、梶原は木岐原が死んだときと同じ場所にいる。


「木岐原の監視……生物部、そしてあの玲実という少女」


 どこかの教室ではない。屋上でもない。


 しかし、この中庭、正門まで見渡せる場所。


 博信は勢いよく振りかえり、上方を見上げた。昨日破壊されたが、木岐原の力によって元に戻った渡り廊下がそこにある。


 そのまま後ずさり、目を凝らす。

 そこに、一人の女生徒の姿があった。こちらに気づいている様子はなく、ぼんやりと空を眺めている。

 梶原だった。


 時間はまだある。すぐに階段を駆けあがれば問題なく間に合うはずだ。


 校舎に駆けこもうと足を踏みだした、その時だった。


 横から勢いよく迫ってきた気配を感じ、博信は咄嗟に身を引いた。後ろに転がり、受け身を取る。

 すかさず起きあがり、博信は襲撃者を認めた。


「……なんのつもりだ」

「見たままだ」


 そこには、月見里京雅が立っていた。博信の行く手をさえぎるように、巨体で校舎入り口を塞いでいる。


「よけいなことをするな」

「貴様、まさか梶原の味方だとでも言いだすんではないんだろうな」

「梶原? 誰のことだ」


 月見里は見下ろしてきながら、博信の力量を推し量るとでも言うように鋭い視線を投げかけてくる。


「……なるほど、それがお前の言う黒幕、時雨を殺した人間か。だが、そんな奴はどうでもいい。取るに足らん。むしろ、お前のような奴が動くことのほうがよほど害悪だ。これ以上、よけいな干渉をするな。黙って手を引け」

「事情も知らずに――」

「見当など、簡単につく。あの男の本質を知りながらもなお殺そうなどと考える人間がやることに、想像がつかんわけがない」


 目の前の月見里から逃れ、反対側の校舎に駆けこもうかと様子を窺うが、逃げ切れる自信が無かった。

 おそらく、背中を見せれば後ろから叩きのめされて終わりだろう。どうやら、本気で妨害するつもりのようだ。


「……なら、何故止める、何故邪魔をする。お前の言う秩序が壊れるかもしれないということが、本当にわかっているのか。あいつは世界を変えると言っているんだぞ」

「世界が新たな法則を獲得しようが、秩序は崩れん」

「新たな法則でも、秩序が崩れない? ふ、どうやらお前の言う秩序とやらはよほど柔軟性が高いようだな。ゼリーにでもして売りさばいたらどうだ」

「秩序を崩せる人間など、そうはいないということだ。俺はいままで、そんなことをできる人間は、時雨と邑木、そしてお前しか見たことがない」

「……木岐原を殺せるような人間に、なぜそれが出来ないと考える」

「アレを殺せるのであれば、混沌程度であれば引き起こすことはできるだろう」

「それは秩序を壊すということではないのか」

「混沌には混沌の秩序がある。時雨を生かしておくよりは、よほどまともだ」


 話にならなかった。懐中時計の時間を一度だけ確認し、ポケットに仕舞う。ここで悠長に語り合う時間はない。

 制服の内側に仕込んだ棒を取りだし、伸ばして地面に打ちつける。月見里は棒に気を取られる様子もなく、博信を真正面から見据えていた。


 手加減する、という意識は最初から無かった。相手は間違いなく博信より格上だ。

 渾身の一撃を突きに乗せ、月見里の肩口を狙う。半ば不意打ち気味に放ったはずだったが、月見里は難なく反応してみせた。

 勢いよく回した腕を棒に打ちつけ、突きの軌道を外へと逸らす。そして、博信が棒を引く間もなく、力強く踏みこんできた。


 博信の身体を刈り取るように振ってきた拳を肘打ちで避け、即座に間合いを取る。月見里は息を吐く間もなくさらに踏みこんできたが、博信はそれを予見していた。

 棒を左手で一回転させ、右手で棒を打ち払い、突き上げる。月見里の死角、顔面下部を目がけた攻撃だった。

 当たる、そう確信した。

 しかし、棒はあっさりと空振っていた。月見里が上半身だけを後ろに反らしたのだ。


「阿ぁッ――」


 素早く棒を持ち替え、避けられないよう踏みこみながら打ち下ろしに掛かる。放った瞬間、それが悪手だとわかってしまった。

 月見里は棒を片手で受けとめると、空いた手で棒を巻きこみ、そしてあっさりと棒をねじ曲げて見せた。


 棒から手を放し、遠めに間合いを取る。ただでさえ体格差がある相手に、武器を失ってしまってはまともなやり方では太刀打ちできない。


 だが、月見里も当然のようにそのことを理解していた。

 武器を失ったと見るや、すぐさま間合いを詰めてきた。

 二、三撃を捌き、同時に反撃に移る――そのはずだったが、まったく反撃の余地がなかった。

 一撃があまりに重すぎる。捌ききれなかった攻撃が掠め、ただそれだけで痛みが身体の動きを鈍らせる。


「ちぃっ、鬱陶しい!」


 身体を落とし、顔面目がけて蹴り上げる。月見里が身を引いた一瞬を狙い、すぐさま側転で大きく間を取った。


「お前は、木岐原の友人ではなかったのか」

「……。その通りだ」


 月見里は必要以上の追撃をしてこなかった。どうやら、博信を妨害することだけを主眼に置いているようだった。

 走って逃げ込むわけにはいかないようだ。


「友人だからこそ、アレの危うさを知っているとも言える」

「なんだと」

「言っただろう、危険性の問題だと」


 ゆっくりと構えを解きながら、月見里は淡々と続ける。恐ろしさすら感じる抑揚の無さだった。なぜ、この状況でこうも落ち着いていられるのか。

 博信は苛立ちを抑えながら、耳を傾ける。


「相対的な危険性など、考慮に値せん。日常にも死人は転がっている。だが大半は計上することすらバカらしいほどの、ありきたりな死に様だ」

「下らん雑談なら他所でやれよ、月見里京雅。俺は貴様と与太話をするつもりは一切ない」


 月見里はわずかに目を見開き、口元を歪めた。


「クッ――いいだろう。……時雨、そしてお前はどのような状況下でも影響力が強すぎる。それが変化に傾倒していないうちは良いだろう。だがお前達は、あまりに強固すぎる。周囲に自分のルールを合わせるのではなく、自分のルールを周囲に適用させることができるほどにな」

「……ルールを適用させる?」

「人間と超能力者が、同じ土俵で戦えるか。人間が未知の力を相手に、立ち向かえるか。――否だ、本来そんなことはありえん。だが、お前は自らの力のみで、いともたやすくそれを為した。そして、時雨はその逆を為すことができる。超能力者を人間と同じ土俵まで叩き落とすことができる、そういう存在だ」

「……」

「だから、お前達はイレギュラーだと言うのだ。適用外のルールを振りかざす。そんなことを出来る人間を放っておいては、秩序は成り立たん」

「何者にも……弱者にも強者にも公正であることは、秩序を乱すと言いたいのか」

「その通りだ。相応の力を持つものが、相応のルールを持つべきだ」

「なら、あの化物共に殺された奴らはどうする! 超能力などという、理不尽きわまりない力に殺された人間達だ!」


 頭に血が昇るまま、博信は怒鳴り声をあげていた。


「死なせておけ」


 月見里は涼しい顔で答えた。思わず歯噛みする。


「現実に秩序というルールが存在するのであって、個々人にルールの所有が許されているわけではない。個々人の死に様など、俎上にあげるまでもない――」


 博信は気合いの一声と共に、月見里に飛びかかった。上段蹴りから畳みかけようとする。しかし、月見里は博信の二撃目よりもはやく、博信を蹴り飛ばしていた。


 受け身を取ろうとするが、身体がとっさに動かなかった。

 そのまま濡れた地面を数度転がる。すぐに地面に手をつき、身体を起こそうとする。腹筋に凄まじい痛みが走り、手が草の上を滑った。

 そのとき、やっと月見里の足刀蹴りが腹部に直撃したのだと気づいた。見えなかったのだ。超能力ではない、ただの蹴りだったはずなのに、反撃の瞬間を捉えることができなかった。


「くぅ、ッ」


 地に這いつくばりながら月見里を睨みつける。月見里は追い打ちをかける様子もなく、泰然と博信を見下ろしていた。


「折橋、だったな。お前は時雨の危険性を知らん、だから公正などと言える」


 木岐原のことなど知ったことではないと食ってかかろうと思ったが、上手く声が出せなかった。呻き声が口元から発せられるだけだ。


「アレはまず間違いようもなく、この世界を安っぽい盤面程度のものだとしか捉えていない。当然、そこに並べられた駒――人間については語るまでもない。わかるか? あいつが存在するだけで、この世界はゲームであることを強要される。奴がいかなる理由で正当化されたとしても、この世界に存在するべきではない。この世界に、ルール裁定者など必要ない」

「フッ……」


 痛みに耐えながら、短く笑った。口の端をつり上げながら、月見里を見上げる。


「……なんだ」

「奴が死んでいるはずのいまでさえ、お前はそうしてあの男が生きていることを前提で話している。お前自身、まるで信じていないんだな、この世界の秩序とやらを」

「……秩序にも例外はあるということだ」

「例外を許す秩序など、捨ててしまえ。欠陥品だ」


 博信は肘をついて上半身を起こし、片膝をついて座りこんだ。


「俺は、完全な公正さだけを求めているんだ……公平ではない、公正さだ。力に左右されない、正しい現実、正しい認識……」


 木岐原の言ったことを思いだす。この現実が歪んでいるというのであれば、それを正しく認識することで矯正できるはずだ。彼は誰よりも正しく現実を見ている、そうも言っていた。


「お前も、求めてみたらどうだ。正しい現実にある、正しい秩序とやらを。俺、そして木岐原如きの存在で揺らぐ秩序など、それこそ、この世界に存在していいものではないだろうよ」

「利いた風な口を……ッ!」


 真横から飛んできた蹴りを頭を落とすことで避ける。中腰で立ちあがり、息を吐く。

 ふと周囲の人間がこちらに注視していることを意識した。どうやら、ケンカをしていると思われているようだ。もっとも、実際にその通りだろうが。


 月見里も気づいているようで、博信を視界から外さないようにしながらも、周囲に意識を向けていた。


「俺は、公正であるならば……、誰もが正しく現実を認識できるというのであるならば、たとえそれが盤面上で支配されるものであっても構わん。ゲーム? おおいに結構、判断するのは俺でも、お前でもない。ましてや木岐原でもない。それぞれが、それぞれの認識のもとでそれぞれの現実と相対する。それでこそ、公正であるということだ」

「なにが言いたい」

「木岐原は気に食わんが……、俺は、お前のほうがよほど気に食わん!」


 博信が吐き捨てると、月見里はくぐもった声と共に肩を震わせた。


「面白い。なら、好きなようにやってみろ。やれるものならな」


 ふたたび構えはしたが、数秒打ち合っただけでも、勝ち目がないことはもはやわかっていた。

 博信の技量では、真正面からどころか、不意打ちでも勝ち目はないだろう。博信では、月見里京雅には勝てない。


 しばらく睨みあっていると、猫の声がどこからともなく聞こえてきた。月見里の視線が動いたのを見て、博信もそちらに注意を向ける。


 そこにいたのは、いつぞやの猫だった。車に轢き殺され、木岐原の手によって蘇らせられた猫だ。

 木岐原の言葉を借りるなら、現実を塗りつぶすことによって、猫が生きている現実が認識されるようになったといったところだろうか。


 その猫が、どうしてこんなところに――。


 電撃のように、閃きが走った。


 先ほど拾ったMP3プレイヤーをポケットから取り出す。相変わらず、音楽は一曲も入っていない。ラジオの画面を表示する。イヤホンを片耳にさしてみても、なにも聞こえてこない。チャンネルはセットされているにも関わらずだ。


 博信はイヤホンをはぎ取り、MP3プレイヤーに向かって叫んだ。


「木岐原時雨! 俺に、この世界を塗り替えさせろ! お前の力を貸せ!」


 怪訝な顔でこちらの様子を窺っていた月見里が目を見開き、右方へと顔を向けた。


 小さく拍手が鳴った。


 博信は横目でその姿を確認する。


「いや、見事だ。よく気づいたな、博信」


 そこに、木岐原時雨が立っていた。


「俺が気づかなかったら、どうするつもりだったんだ」

「ククッ、ジョーカーを持ったままゲーム終了を迎えたらどうなるか、答えは自明だろう」

「こんな鬱陶しいワイルドカードを渡される身にもなってほしいものだがな」

「否定はせんよ。だが――」


 木岐原は月見里へと身体ごと向きなおる。


「使い所としては、ベストだろうな。そのゲームセンス、捨てたものではないぞ」


 月見里は憎々しげに博信と時雨をそれぞれ鋭く射抜いてきた。


「……そういうことか。時雨、よもや、お前自身がただの駒になるとはな」

「ルールを作り、守るだけではただの道楽者だ。俺の知る楽しみにはほど遠い。やはり、直接参加しなくてはな」


 木岐原はそう言って、渡り廊下を見上げた。博信は懐中時計を取りだした。もう時間は十一時半を回っている。いつ時間切れになってもおかしくない。


「時間がない。月見里を押さえろ。俺は梶原を捕まえる」

「ふッ、急いては事をし損じるぞ。最後まで持てる限りのカードは手にしておけ。捨てるにはまだ早い」


 先ほどの猫を指し示しながら、木岐原が言った。


「連れていけ。猫は探し物をなかなかに上手くやる」


 一々説明を聞くのももどかしかった。言われた通りに猫を拾いあげ、反対側の校舎へと足を向ける。しかし、博信は一度だけ振り返った。


「……月見里京雅」

「なんだ」

「次は、俺だけでお前に勝つ」


 月見里はしばらく真顔だったが、唐突にふっと笑い「やってみろ」と返事を寄越してきた。



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