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オンラインRPG「ファンタシースペースオンライン2」略してPSO2。 無料で始められる、と聞いて自分のキャラを作って始めてみた。  作者: 阿月
第一章 ナンパされて入ったチームの中で出会った人たちと、いろいろあったお話。2019-2021
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第7話 エンドコンテンツ

 PSO2のエンドコンテンツとして、スタジオクエスト機能が実装された。

 本来、アクションゲームのPSO2だが、豊富なキャラクリエイト機能のおかげで、その方向に一定以上の需要がある。

 twitterには、「#メンテの日なのでssを貼る」といったタグがあり、水曜日にはさまざまなスクリーンショットがアップされるという文化も生まれている。


 ちなみに、「エンドコンテンツ」とはゲームで、一通りストーリーなどをクリアした後のやりこみステージのことである。

 そのやりこみステージの一つかスクリーンショット撮影になってしまうこと自体、PSO2の特殊性といってもよかった。



 ちなみに、チームちょこころねでこの機能を一番喜んでいたのがゆみみさん。

 とは言え、同時に行われたグラフィックエンジンをはじめとする大量のアップデートで、愚痴ツイートも多い。

 特にエンジンアップデートにより、肌が褐色っぽくなったあたりは、相当頭に来たようで、せっかくの機能はあまり使いこなせてないらしい。


「チムマスはゆみみさんみたいにスクショ撮ったりしないんですか?」

「撮るよー。チームブログに載ってるからね。見てね」

「はい。見てます、見てます」

「でも、まあtwitterにはあまり上げないかなあ。キャラ愛にあふれた人たちが割とやるものじゃないかと」

「愛ないんですか?」

「あるよ。でも、ベクトルが多分違う」

「でも、あれがエンドコンテンツってみんな言ってますけど」

「エンドコンテンツというよりも、終わった後のおまけだよね」

「おまけ?」

「本当のエンドコンテンツっていうのは、人のことだよ」

「人?」

「オンラインゲームはね、友達とかチームとかがあって、初めてオンラインゲームなんだよ。遊び方は、その中でみんなが決めればいい。だから、うちはまったりチームで、それぞれが何をしていても何も言わない。だけど、週末の集会には出てきてほしいし、出てきてくれたら楽しんでもらいたいし」


 珍しく、パグさんがまともなことを言っていた。

「エンドコンテンツはおっぱい」みたいなことを言うかと思っていたが、この人もやっぱりサーバー最大規模のチームを率いるチームマスターなんだな、と思う。


「ころねのメンバーは家族みたいなもの。家族って、仕事も違うし、目的も違うし、趣味も違う。だけど、何となくいつも家に帰ってきて、そこに家族がいるのが当たり前。そんな居場所を楽しむことがエンドコンテンツじゃないかな」



 PSO2は半年以上も前にストーリーは大団円を迎えた。

 そして、実質上の新しいゲーム、ニュージェネシス(略称NGS)に移行することが発表され、すでに第一弾のクローズドβテストも実施されている。


 空白期、過渡期みたいなものだ。

 私は、実際初めて一年もたってないので、まだまだやり切った感があるわけじゃないけど、ベテランの人たちは、NGSリリースまで休止って言ってる人もたくさんいる。


「さて、りぼんさん、次何やりたい?」

「え」

 あ、う。

 何やりたいって言われても、そんなに゜「やること」を知らない……。



「やっぱり、みんなでクエスト行きたいですね」


「ふむふむ、クエストか……。うん、何か面白いこと考えてみよう」



 一夜明けて出勤すると、申し送りの書類がFAXで届いていた。


「山崎さん入院かー」

 そんな報告が訪問介護ステーションからやってきた。

 すでに、サービスストップの日程まで、いっしょに決まっていて、何か手配が万端。

 さすがである。


 む。スケジュールを見ると、モニタリングの予定日には入院している。

 病院は、医大か……。

 じゃあ、モニタリング早めにやっておくか。

 それとも、病室行ったほうがいいかな。


 あ、瀬田さん、たしか入院中だっけ。

 あの方も医大のはず。


 二件まとめて行きますか。

 私は電話の受話器を上げて、電話をかけ、日程調整を行った。




 そして予定日となり、私は医大病院に向けて車を飛ばす。


 瀬田さんとひとしきりお話をした後、山崎さんの病室へ。

 病室には、ジャージを身にまとった山崎さんがいた。


「おう、ケアマネさんか、来てくれたのか」


 目の前には、ノートパソコン。

「あら、パソコン買われたんですか?」

「NGSのβテストに参加するには、パソコンがないとダメだからなあ。一回目のときに決断しておけば、やれたんだけどなあ」

「そうでしたね。PS4とかじゃ参加できなかったですものね」

「ケアマネさん、ぷそやってるよな」

「え?」

「受け答えがスムーズすぎる。やってないと、そのリアクションはないな」


う。しまった。


「顔に出てるぜ。何、どこのサーバーでやってるかなんて、野暮なことは聞かないよ。初めてリアルで会ったアークスだしな」

「はい。バレちゃいましたね。アークスですよ」


 そこまで言われては嘘はつけない。

 ちなみにアークスとは、ゲーム中、プレイヤーが所属する組織のことだ。

 転じて、プレイヤーたちは、自分たちのことをそう呼ぶ習慣がある。


「ケアマネさんはパソコン?」

「PS4ですよ」

「じゃあ、テスト参加できないのか」

「ええ。あきらめました」


 ころねにはPS4ユーザーは結構いる。

 私もそうだし、ゆみみさんとか、チャンドラさん、刃都伊さんあたりがPS4ユーザー。あ、刃都伊さんは、PS5ユーザーだっけ。ちっ! うらやましい……。


 とは言え、そのあたりのメンツは、完全にあきらめるしかない感じだ。


 でも、そのために買ったのか。

 なかなかにハマっている人なんだなあ。


「PSO2の方はエンドコンテンツとして、スタジオクエスト機能が実装されましたよね。山崎さんは、そういう遊び方されるんですか?」

「エンドコンテンツかぁ。ケアマネさん、PSO2のエンドコンテンツは、チームやフレンドだよ」

「え?」

「スクショだって、人とつながる道具だよ。お互いに褒めて、褒められて。褒められると気分いいだろ」

「そ、そうですね」


 たしかにそれはそう。

 いや、「かわいいね」って言われると相当気分がいい。


「そして、また一緒にどこそこで撮ろう、とかになるわけよ」

「クエストだって、ひとしきりやった後の縛りプレイなんて、上級者じゃないとやらないけどな。でも、気の知れた相手となら、かなり楽しいものさ。だから、エンドコンテンツってのは人。とは言え、NGSまでの中継ぎみたいなのは仕方ないかな」

「そうですね」

「やりたいよなあ、NGS」

「大丈夫ですよ。春にはスタートですから」

「俺は春までもつかな? 何か聞いてるかい?」


 さらっと振られた。

 ステージ的には、あまりよくないことは知っている。

 だけど。

 それは言えない。


「次の手術がうまく行けば、またみんなと遊べますよ」


「そうか。そうだな。まずは、βテストで遊ばなきゃな」

「そうですよ。うらやましいなあ、パソコン」

「ケアマネさんも買ったらどうだ」

「ケアマネの給料、甘く見ないでください」

 そう言って笑った。


 笑ってから、ちょっと悲しくなった。


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