第14話 年上の女性。
12月のこども食堂は、ビンゴゲームのおまけ付き。
賞品はあちこちからのいただきモノを100均の包装紙で包んだもの。
ビンゴゲーム自体は、webのアプリをそのまま利用。いつもBGM用に持ち込んでいる僕のノートPCを使っている。
「次の番号は………24!」
僕は大きな声で叫ぶ。
歓声。
それとブーイング。
当たれば天国、外れれば地獄、みたいなノリで騒ぐ。
「次の番号は………5! 5番!」
「ビンゴ!」
男の子が叫ぶ。
「はい! おめでとう!」
たかがお菓子の詰め合わせだけど、みんなは派手に盛り上がってくれた。
そして、今年のこども食堂活動は一旦の終わりを迎えた。
「さあ、また来年がんばろうね。あ、二郎は中ちゃん送っていくこと!」
ありがたいご指名を受けて、送っていくことに。
「二郎くん、車ないから私が乗せていけばいいかな?」
「すみません……」
送っていくはずが、どうしてこうなる、みたいな感じだけど。
「あ、以前ごちそうします、と言ってたのに全然ごちそうしてないんで、僕出しますんで、ごはんいかがです?」
今日は満員御礼で食事が余ることもなく。
なので、僕らはお昼を食べ損なっていた。
「わー、ありがと。じゃ、どこに行く?」
「そうねえ。お肉かなあ。あ、ことことキッチンって知ってる? オムライスのお店。あそこに行きたい」
「承知しました。仰せのままに」
僕らは中原先生の車でお店へと移動した。
中原先生の車は、ホンダの軽自動車。
渋めのメタリックグリーンに丸目のワゴン。
ちょっといいセンスだなあ、と。
でも、単に惚れた弱みなだけかな。
反省しておこう。
ちょうどお昼の混んだ時間が終わって、少しだけすいてる。
僕らは窓際の席でオーダーを入れた後、他愛ないおしゃべりに興じる。
「ねえ、フリューガルドって、何でこんなに出ないの?」
「レア武器っていいましてね」
「結局、フリューか出る前に、ファーから乗り換えないといけないんだよね」
「そうですね。ドレドスケイル溜まったと思うんで、メレクあたりで着実に。テスアでもいいんだけど、法術系はデメリット付ですからね。タクトだったら、メレクの方が使いやすいかと」
中原先生は、プレイした結果、結構な武闘派ガチ勢ではあった。
武器の強化は、正直僕以上に熱心だ。
ルシエルをぐるぐる回って、素材を確保。
その上でデュエルクエストやら常設ソウラスにまで挑んでいる。
僕も、まあ、やらないわけではないけどね。
それ以上にキャラクリもね、と言いたいところはあった。
だけど、本題はそれじゃなかった。
それじゃないんだけど。
せっかく、こうやって二人きりなのだ。
何か言うことがあるだろう。
こうやって話しているのは楽しい。
でも、当たり前のように話せる関係になりたい。
できれば、いつも。
贅沢なんだろうか。
中原先生のような人の人生を背負えるんだろうか。
いや、ちょっと待て。
何で、そこまで重く考えているんだ。
まずは、彼女が僕のことを好きになってくれるかどうかという大前提があるだろう。
そこをすっ飛ばしてとうするんだ。
僕のことが好き?
いや。
年下の、まだ学生のころの僕を知っている人だ。
頼りがいというものを感じてもらえるのか。
無理だろ。
でも、でもだよ。
嫌いだったら、こうやってごはん食べに来るなんてこともないはず。
そう、ないはず。
好きか嫌いかはともかく、一緒にごはん食べる程度の好意はあるはずだ。
だから、きちんと告白して考えてもらう。
多分、弟分か何かと思われているところから、一歩踏み出す。
ぐるぐる。
ぐるぐる。
思考は落ち着きなく巡る。
「どうしたの?」
「いや、あの、その……」
駄目だ。しどろもどろになってどうする。
言わないと、話さないと。
がんばれ。
言わないと。
そして。
今日も言えなかった。
ぐるぐる考えるじろーくん。




