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オンラインRPG「ファンタシースペースオンライン2」略してPSO2。 無料で始められる、と聞いて自分のキャラを作って始めてみた。  作者: 阿月
第三章 職場の先輩が、一緒にボランティアやオンラインゲームを始めてくれるお話。2023-2024
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第12話 お誘い。

 ちょっといい気分でいると、RINE WORKSにメッセージ。

 中原先生。


「最近調子いいよね。何か変わったことしてるの? ごはんご馳走するから、教えてくれないかな」


 お、お誘いだーーーーーっ。

 落ち着け落ち着け。


「はい、いいですよ」


 何事もなかったかのように返す。

 落ち着け。みっともないところなんて、絶対に見せるんじゃないぞ。


「どこがいいです?」


 とは言うものの、時間が時間である。

 お洒落な店なんて開いてないし、夜遅くまでやってる繁華街も近くにはない。


 ガストかバーミヤンかデニーズか。

 さすがに牛丼屋は選択したくない。


「ラーメンが食べたいなあ。」


 え?


「台湾ラーメンが食べたい」


 何ですと?


 台湾ラーメンとは、鶏がらベースの醤油風味のスープに細めの麺。唐辛子とニンニクを絡め炒めた挽き肉、いわゆる台湾ミンチとニラをどっさりと載せ、たっぷりの唐辛子を加える。

 口に入れた瞬間、激しい辛さが襲ってくるラーメンである。

 間違っても、男女のデートで食べるものではない。


「桃山町の味千でいいかな?」


 まあ、友だちか同僚を誘う程度、周囲に誤解を受けない店と言えばそういう店でもある。


 そう思えば気楽なものか。


「了解です。片付け終わったら出ますね」

「はーい。ビール開けててもいいからね」

「はい」

「じゃあ、また後でね」


 よし!

 場所はアレだが、お誘いなのは間違いない!

 行くぞ!


 慌てて片付けをして教室を閉め、自転車でダッシュする。


 到着すると、入り口で中原先生が手を振ってるのが見えた。

 や、早いな。


 二人で店内に入り、ラーメンの他、いくつかメニューを注文する。

 お酒はやめとこう。

 自転車だし。


「最近、調子いいみたいじゃん。小林係長、褒めてたよ」

「そうですか?」

「もともと言われたことはちゃんとやるタイプだったけど、最近、一歩突っ込んでくるようになったって」

「そうですかね?」

「ゲーム式、勉強嫌いな子たちに評判いいらしいじゃん」


 あれか。


「まあ、思いつきで試してみたんですけどね。意外とウケました」

「いいことだよ。勉強を楽しめるって。要は基礎練習を嫌がらせない感じでしょ」

「はい」


 あ、お見通しだ。


「それが一番難しいんだよ。子ども目線でいいね」

「いや……まあ」

「でも、どうしたの? 今まで、自分の時間使ってまでってタイプじゃなかったじゃん」

「いや……まあ、そうなんですけどね」


 そう。そうなんだ。

 今まで、何となくやってればいいと思ってた。

 ルール通りにそこそこやって。

 そこそこは意外とできた。

 そして、それなりに褒められて。


 だから、それでいいと思ってた。


「お姉さんの、一姫さんの影響?」

「う……ん、ちょっとはあるかも」


 姉さんと一緒にこども食堂をやってみて。

 勉強を教える以外の、子どもたちとの接点ができて。

 仕事以外のことを始めて、会社のルール以外のことをやって。


 それが意外と楽しくて。


 いや、楽しいのは中原先生がいるからでもあって。

 ちょっとはいいとこ見せようと思ってたら、何か仕事でもやった方がいいのかな、と思いはじめて。


 ああ、そうか。

 僕は。


 こども食堂で。

 ひさしぶりに同じ場所で働いて。


 僕が一生懸命仕事してると、この人が笑う。

 そんなことに気づいてしまった。

 だから、がんばってみて。


 仕事でもちょっとがんばってみようと思って。


 そう。

 この人のためにやってるんだ。


「うん?」


 右手にお箸を持ちながら、ちょっと小首を傾げて僕を見ている。

 その姿がとても愛おしくて。


 憧れじゃなくて、好きなんだ。

 好きになってしまったんだ。


 この人が。


 うわ、ヤバい。

 意識したら、ヤバい。


「どうしたの? 二郎君」

「い、いや、どうもしてません、どうも」


 台湾ラーメンに意識を向け、一気にかきこむ。

 口の中に唐辛子が充満する。


「……!!」

「ほら、何慌ててるのよ」


 差し出してもらった水で一息。


「どうしちゃったの?」

「い、いや。ちょっと挑戦したくなったというか」

「台湾ラーメンに?」

「頭をはっきりさせたいことがあったんですよ」

「だから唐辛子なの?」

「頭の中、はっきりしますよ」

「そんな、無理やり覚醒させるようなこと……」


 はっきりした。

 だけど、どうしよう。


 なぜなら、僕は、この年まで女の子と付き合ったことなどないのだから。


じろーくん、ようやく自分の気持ちに気づきました。


で、そう言えば、今日ってぷその日ですね。

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