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生徒会の女王様  作者: 沙伊
生徒会の日常
12/29

雨の日は誰だってだらける


 今回短いです。







「暇」


 雪彦は肩を震わせた。

 キリナがそんなことを言うと、ろくなことが無い。

(あれ、このくだり前もあったな。あれ、デジャヴ?)

 雪彦は頭を抱えながら気にしないことにした。

「暇、暇、暇ったら暇!」

 生徒会室に設置されたソファーの上で、キリナはバタバタ暴れた。

「外は雨。湿気てるから何か肌がべたつくし、やること無いし、梅雨なんて嫌い」

「あー、はいはい。好きな奴なんていないっての」

 資料整理しながら、雪彦は適当に相槌を打った。

「春樹先生」

「あん?」

「椅子になって」

「なるかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 雪彦は全力で拒否した。

「そこはオッケーするとこだろ。空気読めないなぁ」

「読みたくないわ、そんな空気!」

 雪彦が肩を怒らせていると、芽衣がくるくる回りながら生徒会室に入ってきた。

 なかなか面白い登場方法である。必要性は解らないが。

「キリリィン♪ 頼まれた雑誌、買ってきたよん」

「……っておまえ、親友パシったのかよ」

 雪彦が非難を込めて言えば、キリナはむっと表情を歪ませた。

「芽衣をパシリに使うわけ無いだろ。お金はボクが出したし、芽衣が忘れ物取りに行くついでにって」

「そう! 思いやりによる結果だよっ」

 芽衣は胸を張った。

「にしても、雑誌校内に持ち込むなよな」

「一応許可されたものだよ」

 キリナは芽衣から雑誌を受け取った。

「あ! ボク一位だ」

「え! マジマジ? あーん、私は五位かぁ」

 ぷく、と芽衣の頬が膨らんだ。

「何だ? 一位とか五位とか」

 雪彦は興味を抱いて雑誌を覗き見た。

「……星座占い?」

「そうだよ。ほら、さそり座一位でしょ? ボクさそり座だもん」

 キリナが指差す一位のところには、確かに可愛らしいさそりの絵が描かれている。

「……つうかおまえ、さそり座だったのか」

「え? うん」

 頷くキリナに、雪彦は考え込む。

(何か……ぴったりだな。こう毒つうか針つうもの持ってるところが)

 深く納得してしまう。

「つうかよ、それ当たるのか?」

 雪彦が尋ねると、キリナは肩をすくめた。

「当たるも八卦、当たらぬも八卦だよ」

「そーそー」

 芽衣も賛同する。

「当たらなくても信じるのがオトメゴコロだよっ。心しておくよーに!」

「お、おう」

 芽衣に諭されてしまった。

「はー、疲れたー」

「本当に……」

 きゃいきゃい言う芽衣に付き合っていると、炎神と硝哉が入ってきた。

「あれ? 鷹雄は?」

 雪彦が尋ねると、炎神は疲れ切った顔でため息をついた。

「追試ですよ。ほら、この間中間テストあったじゃないですか」

「おう」

「鷹雄、ものの見事に全科目赤点取っちゃって。さっきまで勉強手伝いしてたんですけど、当事者は先生に引っ張られて行きました」

「なるほど……」

 そういえば自分のテストでも、マイナスを付けたくなるような酷い解答をしていた。

「あいつ高校上がれるのかなぁ」

「会長関連付けたら頑張るんじゃね?」

 硝哉の提案に、キリナ以外納得する。

 あいつはキリナをえさにしたら、実力以上の力をはっきするのだ(立証済み)。

「キリリン、タカタカ応援してあげてよ」

「やだ(即答)」

「断り早っ」

 硝哉が思わずそう呟いてしまうほどのスピードだった。

 哀れ鷹雄、彼はこれからも赤点を取り続けるだろう。

「はぁ……それにしても雨の日ってなぁんにもやる気おきないですねー」

 炎神はソファーに座って頭をかいた。

「そ-だねー。それにエンちゃん、雨の日とかは能力使えないしぃ」

 炎神の能力は『炎帝』。炎を操る能力だ。

 つまり、炎が使えない場所では無力なのである。

『ファースト』や『セカンド』が無くなるわけじゃないので、彼自身が弱くなるわけじゃないが。

「そうなんだよね。まぁ普段使わないんだけどさ」

 炎神はハァとまたため息をついた。

「ショウちゃんもいつも以上にテンション低いね」

 芽衣に言われ、硝哉はけだるげな顔で前髪をかき上げた。

「雨の日にテンション上がるのはカエルとカタツムリぐらいだろ」

「まぁねぇ~。私も気分はぐっだぐだぁ」

 硝哉は炎神の、芽衣はキリナの隣に座る。


『雨の日は何もやりたくない~』


 生徒会役員はだら~っとした声で合唱した。

「おまえら……暇なのは解った」

 雪彦は、肩を震わせた。

「だったら……だったらなぁ」

 びしぃっ、とばかりに事務机を指差す。

 そこには、積み重なった紙の束が。

「仕事しろおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


『いや~』


 またもや合唱する生徒会であった。


   ―――


 その頃――


「全然解んねぇ~」

「そこ! 喋るな!」

 鷹雄は数学の追試を受けていた。





 梅雨の生徒会でした。

 雨の日にやる気出ないのは皆共通かと思うのですが、どうなんでしょう。

 雨の日能力使えないって、某錬金術漫画の焔の大佐とかぶってしまった……(汗)

 次は何書こうかな~。


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