第3話 新たな部位と聖女の抵抗、そして剣さんの信用
~今日のでたらめは「ときめき力は部位で変わる」ってやつ?~
魔族との戦いの翌日、
宿の一室でリリアーナは未だ赤面していた。
「……わたくしが、そんな……
み、身に覚えのないことを……っ」
羞恥値は高止まり。可愛いな。
「いや、覚えてないのは気絶してたからだろ?
それより、俺の能力のことが大事なんだ」
俺は真顔で切り出した。
「どうしたのですか?」
リリアーナは警戒した目で俺を見る。
「あれから色々試したんだが、
どうも同じ場所だと、ときめき力が落ちるらしい」
俺は新たなデタラメをぶっこむ。
「は……?ときめき、力が……?」
リリアーナの顔が、さらに赤くなる。
心拍数は1.5倍に跳ね上がった。
「そう。だから、魔力効率を上げるには、
色んな場所に触れる必要があるってことだ」
俺はにこやかに、彼女の視線を受け止める。
「な、何を馬鹿な……っ!そんな、でたらめ!」
リリアーナは真っ赤な顔で抗議する。
「これ以上、わたくしの体に触れるなんて、
聖女として、絶対に許されませんっ!」
全力で拒否の姿勢だ。
「おいおい、そんなこと言ってる場合か?
このままだと、魔力不足で世界が滅びるんだぜ?」
俺はわざとらしく、魔力の出力を落とすフリをする。
身体から光の粒子が、わずかに弱まった。
「っ……!?ま、まさか、本当に……!?」
リリアーナの顔に、焦りの色が浮かんだ。
使命感が強いこいつには、これが一番効く。
その時、宿の外から魔族の雄叫びが聞こえてきた。
「グガアアアアアア!!」
リリアーナの表情が、一気に青ざめる。
「来、来ましたわ……っ!」
「だろ?見てみろよ、この魔力不足!
お前が俺に触れてくれねぇからだよ!」
俺は芝居がかった声で言う。
リリアーナは唇を噛み締めて、震えていた。
葛藤しているのが手に取るようにわかる。
「くっ……これも、神託のため……
この世界のため……仕方ないわね……っ!」
彼女は意を決したように、俯いたまま呟いた。
「よし!」
俺は待ってましたとばかりに、
リリアーナの隣に立つ。
「どこからでもいいぜ?
さあ、聖女様、世界を救うためだ」
俺はわざと挑発するように言った。
リリアーナは顔を真っ赤にしたまま、
震える指で、おずおおずと俺の太ももに触れた。
その指先が触れた瞬間、
彼女の体が小さく震えるのが伝わってきた。
「ひっ……!」
小さく息が詰まるような声が漏れる。
頬から耳、そして首筋まで、みるみる赤みが走る。
心臓がドクン、と大きく跳ねたのが、
俺にまで伝わってくるようだ。
(心拍数:100bpm、羞恥値は中程度を示す黄色に。)
俺の身体から、再び魔力がブワァアアアアと湧き上がる。
光の粒子が、勢いを増して渦を巻く。
「よし、この調子だ!もっとだ!」
「なっ……これ以上……っ!?」
リリアーナは羞恥に耐えかねたように、
引き攣った声を上げる。
だが、迫り来る魔族の群れを見て、
彼女は再び覚悟を決める。
今度は、俺の腰にそっと手を回してきた。
先ほどよりも、密着度が高い。
「あっ……っ」
甘い吐息が漏れる。
俺の腰に回された指が、わずかに震えている。
その体の柔らかさと温かさが、
俺の肌にダイレクトに伝わってくる。
心拍数は平時の1.5倍、羞恥値は危険域を示すオレンジ。
光の剣が、さらに勢いを増して降り注ぐ。
魔族は次々と倒れていく。
戦闘が終わり、魔族の気配が完全に消えた後。
リリアーナは、まだ俺の腰に手を回したままだった。
顔は真っ赤、瞳は潤んでいる。
「あんたのせいで……!」
彼女は俺を睨みつけるが、その瞳は怒りよりも、
羞恥と安堵に揺れていた。
「……でも、ちょっと……嫌じゃないかも……」
そう、小声で呟いた。
羞恥値は急降下、羞恥の快感変換成功だぜ!
その時、剣さんがひょいっと俺の傍に現れた。
光の剣の形をした精霊は、俺の周りを
ゆらゆらと旋回している。
「勇者様、魔力供給が途絶えると、
剣さんの存在も不安定になるんです」
俺はそう言って、剣さんを指差した。
「ほら、お前が側にいないと、すぐに消えちまうんだ」
俺はわざとらしく、リリアーナの手から少し離れるフリをした。
すると、剣さんの光が、ぷしゅっと小さくなった。
「あっ……!」
リリアーナが慌てて俺の手を握り直す。
すると、剣さんは「ピカッ!」と光を強め、
まるで「うまくやったな」と俺を見上げているようだ。
「そう、そうなんだ。だから、
剣さんもお前が側にいないとすぐに消えちまうんだ」
俺はたたみかける。
これで剣さんの存在をより信用し、
俺のデタラメに逆らいにくくなるはずだ。
リリアーナは、剣さんと俺を交互に見る。
「そんな……剣さんまで……!?」
彼女は完全に戸惑っている。
羞恥と驚きで、また顔を真っ赤にしていた。
(これで、聖女様は俺の掌の上だな!)
俺は内心ほくそ笑む。
気づいてるか?これはただの魔力じゃない──
お前たちの羞恥と愛が生み出す奇跡のエネルギーだ!!