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2-4 親友

前話を読んで下さった方に感謝です

今話も引き続き温かい目で目を通していただけると嬉しいです

 入学して初めての土曜日……授業は午前中の4コマで終わり。

 朝のHRホームルームが始まり、ベリーショートの女の子が教卓の後ろに進み出て、クラスメイトに向けて呼びかける。

 「保体委員の()()()だ。 再来週の土曜日、新入生歓迎登山が行われる。 全校生徒がここから西の、郊外にある神尾山に向けて登山し、山の中腹にある渓谷前の広場で歓迎会が催される」

 教室内ががやがやと騒がしくなる。

 「この行事は!」 きゆりは口調を強め、場の雰囲気を引き締めてから、 「上級生や同級生との親睦を目的に毎年行われるものだが、新入生の心身の鍛錬を兼ねてる、とのことだ」 と11人の同級生を見渡して説明する。

 「服装は体育の授業に準ずるものとする。 長袖、長ズボンのジャージ、ということだな。 この日は制服ではなく、家からその服装で登校しなさい、とのことだ。 学校出発は朝8時。 間に合うように準備、よろしく」

 「片道2時間ほどかかるから、当然、お弁当の準備を。 渓谷で昼食を摂ることになってる。 あと、水分もしっかり準備して欲しい。 虫よけ対策も」

 きゆりの説明が簡潔明瞭(かんけつめいりょう)だったからか、誰一人質問する人がいないので、 「まだ2週間ある。 追加情報があれば、その都度伝達するので、よろしく」 と、きゆりは締めくくり、ツインテールの女の子の隣にある自分の席に颯爽(さっそう)と戻る。


 「ひむかちゃーーん! ちょっとこっち来てーー!」 

 休憩時間中、窓の白いカーテンが風ではためいているのを、何気なく眺めていたところに、ひむかは声を掛けられる。

 視線を声がした方に向けると、その主は祐子の左隣の席に座る、ポニーテールの女の子だった。

 「うん! 東子(とうこ)ちゃん。 分かった~~、ちょっと待って~~」

 東子の左隣の席の男の子と、更にその左隣の席のツインテールの女の子もひむかの動きを目で追っている。

 「ひむかちゃんにも招待状、渡すよ。 ()()()の誕生日会、家でするから来て欲しいな」 東子が目の前に歩み寄ってきたひむかにそう訴えると、 「私も、ひむかちゃんに来てもらいたいなぁ~~」 と、横からツインテールの女の子も言葉をつなぐ。

 「東子ちゃん、朝子(あさこ)ちゃん、二人の誕生日会って、何時なの?」

 「来週の土曜日、お昼の3時からだよ」

 「学校が終わってからだね。 真っすぐ向かう事になって、服装は制服のままだけど……」

 「その方がいいよ。 着飾ったりは無しの方が、改まった感じがしなくていいかな」

 ひむかと東子がそうやり取りをしていると、 「ひむか、()()()()の家、知ってるのか?」 男の子がひむかに横から尋ねてくる。

 「うん、知っ……」 ひむかが答えようとした時、東子の表情が険しくなり、 「もーっ! 浩史(こうじ)君!! その呼び方、止めて!! そう呼ばれるの、私たち、嫌なんだ」 と、強い口調で浩史に訴える。

 「東子と朝子、それぞれ別々の女の子として見て欲しいんだ。 双子だからって、一緒くたにされるの、悲しいもん」 東子が目を潤ませているのに気付いた浩史は 「あっ……ごめん。 デリカシー無かったよな。 これからは東子、朝子って、ちゃんと呼ぶことにする。 今までずっとトーアサって呼んでた事、謝る」 と素直に謝る……こっちの件は一件落着したみたい。

 「知ってるよ、家。 学校から南東の方向に5分くらいのところにある一軒家だよね。 街の真ん中、うらやましいなぁ~~」 ちょっと遠慮がちに、途中になってしまった返事をつなげるひむか。

 「やったぁーー! クラスの一人一人に、私たちから直接声をかけるから、他の人には内緒にしといてね」 東子が右手の人差し指を口にあてがうと、 「うん、分かった。 お誕生日会、楽しみにしてるよ」 とひむかは右手でオッケーサインを作って答える。

 (楽しみだなぁー) ひむかは生徒手帳に、ピンクのボールペンで予定を書き込む。


 今日はひいかと、いつも朝の待ち合わせに使っているガゼボまで一緒に帰る事にするひむか。

 「一週間、あっという間だったね~~。 ひいちゃんは?」

 「うん! あっという間だった~~。 授業は長く感じるし、いきなり難しいけど、クラスメイトが変わってなくて、中学の延長みたいな感じがするから、変な緊張感はないかな」 とひむかの質問に答えたひいかは、ふと、ひむかのリュックを眺める。

 「あれっ?! ひむちゃん、ウサギが一匹増えてるよ? いつの間に??」

 「あははー、ばれちゃった。 やっぱ、気付くの早いなぁ、ひいちゃんは。 さすが、()()だよ」 ひむかは驚きながらも感心している。

 「親友、かぁ。 ひいかも、ひむちゃんが一番の親友だよ。 ひむちゃん、初めてひいかに声をかけてくれた時のこと、覚えてる?」

 「うん。 小学校に入学したすぐ後だったよね」 ひむかはちょっと遠い目をしながら、 「出席番号が私の前で……しかも、名前が一文字違いで……お互いに平仮名で……。 それが話すきっかけになったなぁ」

 「そう。 ひいか、お友達出来るかな、って凄く不安でびくびくしてた時に、ひむちゃんがさっと話しかけてくれて……それがひいかを助けてくれた。 小学校、楽しいところになるよね、って」 ひいかは目をうるうるしながら、 「あれから9年かぁーー、あっという間だよ。 二人一緒にこの道を数え切れないほど歩いたもん。 これからも一緒にこの道を歩いてね、ひむちゃん!」 と両手を胸の前で合わせている。

 「もちろん! こちらこそ、だよ、ひいちゃん!」 ひむかは、そのひいかの手を包み込むように、自分の両手を添える。

 親友という言葉に酔いしれる二人なのでした。

次話以降のイベント舞台を予告する手法を練習しました。

次話の展開がどうなりそうか、想像してもらえますように。


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