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5-4 全てのピースが繋がった!

前話を読んで下さった方に感謝です

今話も引き続き温かい目で目を通していただけると嬉しいです

 翌日曜日の朝、ガゼボに集合した日向と火雷は、月宮神社に向かう。

 「この前ので神社の朝が早いって事を知ったの。 だから、朝のお勤めが終わる頃を見計らって出ようかな、って思って」 日向は出発時間をゆっくりめにした理由を話すと、 「うん。 あの日は宮司さんをだいぶ待ったもんね」 と、火雷もそれに同意する。

 神社に着くと、まず本殿に向かい、参拝を済ませる。

 その後、崖の下にあるカヌーを覗き込む日向。

 「うん、岩の上にしっかり泊まってるのが見えるよ」

 「無くなってたらって考えると怖いよね。 あって良かった~~」 火雷もホッとしている様子。


 参道を行ったり来たりし、結局、安土の姿を見付けたのは、授与所の前。

 「おはようございます、宮司さん。 先週は挨拶もせずに帰ってしまって、すいませんでした」 日向は挨拶と同時に、非礼を詫びる。

 「おや、ひむかさんにひいかさん、おはようございます。 ようこそお参りくださいました。 いえいえ、あの後、巫女のちかねから、無事戻ってきたとの報告を受けて、安堵したのですよ。 今日はその報告で参られたのですか?」

 「それもあるんですけど、その時の事で宮司さんに訊きたい事が色々と出てきて……」 日向がそう言うと、火雷はリュックから絵日記帳を取り出す。

 「ここに、観てきた事を描き出したんです。 神社に関わる事が沢山あって……」

 「ほぅ、神社に関わる事、ですか。 興味がありますね。 ではどうぞ、こちらにお越しください」

 安土は二人を社務所に誘導する。


 「島には長森島という名前が付いてました。 そしてそこには、月宮神社奥宮という名前の神社がありました」

 「長森島……聞き覚えが無い名前ですね。 でも、気になるのは神社の名前です。 当神社に奥宮があるなんて話は聞いた事がありません。 奥宮があるという事は、当神社の主祭神は長森島、という事になりそうですが、天之御中(あめのみなか)主神(ぬしのかみ)という神様であり、子宝などのご利益はこの神様から戴いているのです。 あり得ない話です」 安土は語気を強めて、その事柄を否定する。

 「ありえない、ですか……でも、確かに、道案内にはそう記されたんです。 奥宮の話はこれ以上先に進めなさそうなので、次は……その神社の境内に、こんな輪っかがあったんです」

 日向は「輪っか」というタイトルを付けたページを安土に指し示す。

 「これは茅の輪ですね。 間違いないでしょう」

 「ちのわ?」

 「はい。 草偏にほこって書いて、ちがやと読みます。 それで編まれた輪です。 当神社でも年に二回、境内に組むのですよ」

 「ちがやの輪、なんですね。 年に二回って、何時と何時なんですか?」

 「6月末の夏越(なごし)大祓(おおはらえ)と、12月末の年越の大祓です。 半年の間に溜まった罪や(けが)れを祓い清めるのです。 くぐり方もあるのですよ。 茅の輪の前で礼をし、左足でまたいでくぐり、左回りに回って元の位置に戻る。 また礼をし、右足でまたいでくぐり、右回りに回って元の位置に戻る。 更に礼をし、左足でまたいでくぐり、左回りに回って元の位置に戻る。 最後に礼をし、左足でまたいでくぐり、ご神前へと進むのです。 またぐ時にそれぞれ、祓え給ひ 清め給へ 守り給ひ (さきわ)え給へ、とお唱えするのです」

 安土は動きを実演しながら、日向たちに説明する。

 「へぇ~~、特別な日に、特別なお参りの仕方があるんですね。 ここで一旦、考察欄にまとめる時間が欲しいんですけど、いいですか?」

 日向が書き込んでいる姿を、安土は優しく見守る。


 「すいません、書けました。 次なんですけど、本殿の中に置いてあった衣装がこれです」

 「何と……ご本殿の中に入られたのですか。 大胆ですね」 と、安土はちょっと声を荒げる。

 (この前、ひいちゃんにも同じ注意を受けたよね。 ま、普通はそう思うだろうけど)

 「それが、独りでに扉が開いたんです。 まるで中に入るように、って言わんばかりに」 と、日向は慌てて弁解する。

 「そんな不思議な事が……やはり、貴女は特別な人、という事なのでしょうか。 それで、この衣装ですが……奉書紙こそ見当たりませんが、見たところ、これらは巫女の衣装で、しかも、千早(ちはや)が描かれているという事は、舞を舞う時のものです。 ただ、袴が紫というのに違和感を感じるのですが」

 「やっぱ巫女さんの衣装なんですね。 紫が違和感って、どういう事なんですか?」

 「通常、巫女舞は文字通り、巫女が舞うものなのですが、神職ではない彼女たちは緋色の袴を身に付けるのです。 この紫の袴は神職が身に着けるもの……この衣装の持ち主は、神職に就きながらも巫女舞を舞っている、という事になります。 あり得る話ではあるのですが」

 「という事は、違和感は残るけど、持ち主は神職に就いてる女性、って言えるんでしょうか」

 「はい。 これに関しては、後で巫女のちかねを呼んで、実際に着付けてもらいましょうか」

 「えっ?! 私、巫女さんの衣装、着れるんですか? わぁ~~楽しみ~~。 ちかねさんみたいに凛々しくなれるかなぁ。 あっ、すいません、嬉しくてつい……。 ここでまた考察欄にまとめさせてください」 日向は舞い上がりながらも、考察を書き綴っていく。


 「お待たせしました。 それで、最後にこのイラストなんですけど……小物が色々と置いてありました」

 「これは……さっきの衣装もひっくるめて考えるに、間違いなく巫女舞で使う採物(とりもの)ですね。 しかも、鉾先鈴が描かれているという事は、浦安舞を舞うためのものです。 鉾先鈴は三種の神器が象られており、神からそれらを借りて舞うという神聖な意味が込められていて、浦安舞専用の鈴なのです。 桧扇も用意されていますし、間違いないでしょう」

 「とりもの、って言うんですね。 ところで、浦安舞ってどういう舞なんですか?」

 「浦は”こころ”を、安は”安らぎ”を意味し、平和を願う為に作られた舞なのです。 大祓でも舞う事が多いのです」

 「平和を願う……どんな舞なんだろうなぁ」

 「これは巫女の本分の一つなので、ちかねに尋ねるといいでしょう」

 「はい。 あと、一緒に”おおはらえのことば”というタイトルの冊子が置いてあったんですけど……」

 「ああ、大祓詞(おおはらえのことば)ですね。 先ほど申しました大祓で、犯した罪や穢れを祓うために唱えられる祝詞で、 高天原(たかまのはら)神留(かむづま)()す、から始まります。 この冊子には振り仮名は付いていたのでしょうか?」

 「はい。 付いてたんですけど、読み方が難しそうで、すらすらとは読めそうにないです」 日向は自信無さげにうつむく。

 「確かに、聞き慣れない言い回しが多く、それでいて旧仮名遣いですから、お唱えするのには鍛錬が必要になりますね」

 「私でも鍛錬すれば読めるようになるんでしょうか……」

 「少しずつ慣れていけば、きっとお唱えできるようになると思いますよ。 それにしても……」

 「宮司さん、どうかされたんですか?」

 「貴女がその神社で観てこられた話は不思議な事ばかりですが、全てのピースが頭の中で繋がったのです」

 「繋がった?! それ、詳しく教えてください、宮司さん」

 「どうも大祓に関わるものばかりなのです。 茅の輪をくぐり、大祓詞を唱え、舞を舞うための巫女の衣装を着て、浦安の舞専用の採物を使う……それらがそこには予め準備されているように思えるのです」

 「うーーん……それらを私がこなすように要求されてる、っていう事なのかなぁ」

 「ひむかさんがこなす……と、言いますと?」 安土は日向の発言を飲み込めない様子で尋ねる。

 「はい。 実は崖の下にあるカヌーに手紙が置かれてたんですけど……あっ、そうだ! あの手紙の内容、一字一句正確に絵日記帳に書き直したいんですけど、また少し、あの洞穴を使わせていただけないでしょうか」

 「それほどまでに重要なメッセージが書かれているのですね。 分かりました。 では、授与所へ案内しましょう」

日向が長森島で行うべき行動を開示しました。

巫女体験がある方、そこは違うよ、っていう描写があれば教えてください。

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