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4-7 禁じられた小道・改

前話を読んで下さった方に感謝です

今話も引き続き温かい目で目を通していただけると嬉しいです

 「えっ?! お母さん、心当たりがあるの?」 日向は期待の眼差しを明美に向ける。

 「うーーん……何処だったかなぁ……あっ! これ、神社にある”撫でウサギ”にそっくり!」 明美ははたと手を打つ。

 「神社の、撫でウサギ?」

 「そうそう。 月宮神社にあるウサギの石像。 本殿のすぐ奥にあるの」

 「お母さん、凄ーーい! ひいちゃん、この絵日記帳、もう威力を発揮してるよ」 日向が喜ぶと、 「ひいかのアイデアがこんなに早く役に立つなんて……びっくりだよ」 火雷も驚きつつも喜ぶ。

 「月宮神社はお母さん、よく知ってるから、今度、連れてってあげるよ」

 (お母さん、神社に行くの?! この展開、私の時には考えられなかった。 だって、あからさまに行くのを拒んでた感じだったもん)

 ((火雷の行動が因果律を大きく変えたんじゃないかな))

 「ほんと? 何か発見がありそうで楽しみ!!」 日向は手放しで喜ぶ。 

 「あっ、それ、ひいかも一緒に連れて行ってくれませんか?」

 「もちろん! おばさん、サークル活動に協力できてホッとしてるよ」 明美は胸をなでおろしながら答える。

 「あっ、その……サークルの指導者の件、なんですけど……」 火雷はおそるおそる尋ねると、 「今、ひいかちゃんが活動する姿を実際に見て、ひむかの事、心から思ってくれてるんだなって。 私こそ感謝してるよ。 もちろん、喜んで協力するよ」 と、明美は笑顔で火雷に右腕を差し出す。

 「わぁーー、受けてくれてありがとうございます! よろしくお願いします!」 火雷はそう言って明美の手を両手で包み込むと、日向に向き直り、 「あっ、ひむちゃんはこのサークル、強制参加だからね、主役なんだから」 と、釘をさす。

 「あはは。 分かったよ、ひいちゃん。 私の為にそこまで一生懸命に付き合ってくれて、ありがとう」


 三人は玄関に向かう。

 「すっかり遅くなってしまって……長い時間、話を聞いてくださって、ありがとうございました」 火雷は深々と頭を下げる。

 「いえいえ、こちらこそ、ひむかの力になってくれて、ありがとう」 明美も深々と頭を下げる。

 「お邪魔しました。 おやすみ、おばさま、ひむちゃん」

 「おやすみ、ひいかちゃん」 「おやすみ、ひいちゃん」

 懐中電灯をかざしながら、火雷が元気よく、すっかり暗くなってしまった外へと踏み出していくのを見届けた後、 「……この日が来たのも、神様の思し召しなのかもね」 そう呟きながら、明美は書斎に消えていくのだった。


 火雷はサークルを立ち上げる事に成功したのだった。

 ーーサークルの名称:超常現象解明サークル

   参加者:ひいか、ひむか

   指導者:明美

   主な活動場所:ひむか宅


 翌日、学校で日向は火雷に一つのお願いをする。

 「ひいちゃん、私、もう少し絵心を……って思って。 何か、コミックを貸してほしいな。 それを真似して絵の練習をしてみようかなって」

 「あはは。 ごめん、昨日”画伯レベル”だって言ったのが刺さっちゃったかな。 でも、絵を描くのが上達したら、もっと活動が充実するし……分かった、一冊、選んで明日持ってくるよ。 練習用だったら、シンプルな絵のがいいね」

 ……火雷が貸してくれたのは、”トゥインクルな双子星”の第1巻だった。


 土曜日、授業の合間に、日向は火雷に声を掛ける。

 「ひいちゃん、明日、朝から時間ある? この前お母さんが言ってた、月宮神社に行けたらな、って思って」

 「明日? うん、大丈夫だよ。 けど、ママに相談しないといけないから、返事はちょっと待ってて。 いいよって言ってもらえたら、電話で連絡するよ。 それでもいいかな?」

 「うん。 ギリギリになってしまってごめんね。 じゃぁ、電話、待ってるね」

 その後、火雷から電話があり、翌朝、ガゼボで待ち合わせる事になる。


 日曜日早朝、リビングで着替えを待っていた日向の前に、明美が現れる。

 「わぁ~~、お母さん、そんな服、持ってたの? かわいい!」 白色のワンピースを身にまとっている。

 「十年以上ぶりかな、このワンピ。 想い出の服だから、箪笥(たんす)に大切にしまってたの。 サイズが心配だったけど、着れて良かった~~」

 (そんな想い出の服を出してくるくらいだもん、お母さんにとって、神社って、ただのお出掛けとは違う、何か特別な思いでもあるのかな)

 「じゃぁ、出掛ける前に、いつもの儀式、しよっか」 

 靴も、いつも履くのとは違う、ヒールの低いのが用意されていた。


 外は五月晴れ。 遠くから運ばれてくる浜風が心地いい。

 家を出発し、ガゼボで火雷と合流した後、三叉路まで逆戻りしてくる。

 火雷は、赤系の色でまとめられた、カジュアルなお出掛けルックをまとっている。

 「ここを左に曲がるの」 明美は行き先を指し示す。

 「こっちって……小さい頃からお母さんに散々行くなって注意されてた道……神社に繋がってるんだね」 日向は心なしか、ワクワクしているように見える。

 「ここから先の道は大変よ。 二人とも、覚悟はいいかな?」 明美が冗談交じりで、二人をビビらせる。

 「お母さん、怖いよ~~」 日向は本気でビビったようだ。

 すっかり花が散り果てた、少し背の高い桜並木に挟まれた小道を進むと、小さな白い鳥居に差し掛かる。

 明美がその前で立ち止まり、ひと呼吸おいて深くお辞儀をすると、日向と火雷もそれに(なら)う。

 「さて、ここから本番よ。 二人とも、頑張って付いてくるのよ」 明美は更に二人に気合いを入れる。

 そこから数百段ある、そびえ立つような上りの石段を、明美は無心に、一度も立ち止まることなく上っていく。

 日向と火雷は、足元を確かめながら上っていくが、明美との距離は広がっていくばかり。

 「お母さん、ちょっと待って~~。 早過ぎるよぉ~~」

 「自分のペースを乱すと、どっと疲れが来るから、私は先に上りきるよ。 二人はゆっくり上っておいで」

 (お母さん?! そんなに運動、得意じゃなさそうって思ってたけど、何なの、この山岳部のきゆりちゃんもびっくりしそうなスピード!!)

 二人が石段を上りきり、小高い丘に着いた頃には、呼吸が乱れて大変な事に。

 一方の明美は、呼吸がすっかり整い、ベンチに座って涼しい顔で休憩を取っている。

 「おばさまの凄さ、身をもって体験させていただきました」 火雷は明美の前で、ひれ伏すような恰好をとる。

 日向に至っては、声すら出ない。

 「さぁ、二人とも、呼吸が整ったら、冷えた水を飲んで。 水筒に入れてきてるからね」


 しっかり休憩を取り、再び歩を進める先には、逆に数百段続く、転げ落ちそうな下りの石段が。

 途中から群青色の水平線が見えるようになり、 「わぁ~~、綺麗! これが海なんだね」 初めて海を見た日向は、感嘆の声を上げる。

 二人はへろへろになりながらも何とか石段を下りきり、明美が待つ大きな朱色の門に辿り着く。

 「ここが月宮神社よ。 二人とも、よく頑張ったね」

 「お母さん、凄すぎるよ……何でそんなにスイスイ歩けるの……」 日向は半ば尊敬の眼差しで明美を見る。

 それには答えず、 「ここから参道を歩いて、洞の中にある本殿の奥にそのウサギがあるんだけど、ちょっと先に行っててほしいの。 お母さんはちょっと社務所に立ち寄りたいって思ってるから」 と、明美は淡々と二人に告げる。

 「社務所に? ……分かった。 じゃぁ、先にウサギを観に行ってみるよ。 ひいちゃん、行こ」

 「じゃぁ、おばさま。 先に行ってます」

第一章との繋がりを持ち出したりして、自分で描写を複雑にしてしまってる気が……。


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