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珍しく夢を見た。内容はもう殆ど覚えてない。ただ非常に悲しい夢だった。正夢にならに事を祈るばかりだ。魔神の復活なぞ起こしてたまるものか。
慶「さて、そろそろ行きますか。」
家を出る。学校までは徒歩だ。そして今日も4時間授業。来週いっぱいまで4時間授業だから非常に楽だ。それに再来週は学年末定期考査。少し遅めの設定となっているが特段文句があるわけでもないし良いだろう。約3分の2以下しか出席しないこの時期、まともな授業なんて1つもない。出席する必要もないらしくみんな図書室へいったり、食堂へいったりしている。何故か普段から授業が入っていない時間があるため誰も不思議に思わないのだろう。クラスにある人影は私を含め3人。
慶「先生、そこ3日前にやりませんでした?」
先「やったよ。復習という形でいこうか。」
慶「先生ゲームしませんか?」
先「ゲーム?怒られるの私なんだけど。」
慶「まあ大丈夫ですよ。ポーカーです。勝った方は負けた方のお願いを1つ聞く、って感じでどうですか?」
先「イカサマはしちゃ駄目だよ。それと、何でもは聞かないからね。交換は1ゲーム1回まで。カードが無くなるまでやるわよ。」
慶「交換は1回でいいですよ。じゃあやりましょうか。」
先「誰がディーラーをするの?」
慶「涼輝やってくれるでしょう。」
涼「いいよ。」
カードが傷つくシャッフルの仕方、ショットガンシャッフルでトランプを混ぜた後一枚一枚交互に配っていった。
慶「ところで先生、昨日までこれみよがしにしていた指輪とブレスレット、ネックレスはどうしたんですか?」
先「貴方、分かったうえで言ってるでしょ。また失敗したのよ。」
慶「何に?前回までと違い今回はプロポーズされた上に籍も入れたんでしょう。」
先「相手は公務員と付き合えればどうでも良かったんだって。2枚交換。」
慶「ふーん。」
涼「慶紀は?」
慶「私はしなくていいよ。」
先「悪いわね、ストレート。」
ハートの5ダイヤの6スペードの7クローバーの8スペードの9
慶「フラッシュ。」
クローバーのA、K、Q、J、4
先「まだ1戦目。油断はしないほうが良いですよ。」
再び涼輝がカードを一枚ずつ配っていく。
慶「全部交換。」
因みに手札はハートの4ダイヤの9ハートのKクローバーの3そしてジョーカーだった。
先「私は3枚。」
新たに回ってきたカードはダイヤの2、3、4、5、J。
先「10が3枚とジョーカーが1枚でフォーカードよ。」
ダイヤ、スペード、ハートの10とスペードのQそしてジョーカーだった。
慶「はい、またフラッシュ。次で決着ですね。」
先「あら、わからないわよ。」
慶「今現在先生が引いたわからないカードを含めずにあと、29枚。無くなるまでだとあと3戦しなければ決着は尽きません。しかし、枚数的に行うことは不可能。なので次で決着ですよ。因みに最大値はファイブカードですかね?」
先「なるほど。」
そして、涼輝が交互にカードを配っていく。
慶「私は交換しないよ。」
先「私は3枚。」
慶「ストレート。」
先「私の勝ちね。2のファイブカード。」
慶「先生、袖見せて下さい。涼輝は使ったカードの中を見てみな。このトランプ、さっき開けたばっかの新品なんですよ。」
先「何故そのようなことを?」
慶「だって、先程先生が一枚、その前に私が一枚ジョーカーを交換に出しましたから。」
先「なっ、そんなはずないわよ。」
慶「それは今から分かりますよ。どうだった?」
涼「あったよ2枚。そこにあるのを含めて3枚だね。でもやってることはカードカウンティングだろ。イカサマじゃないかい?」
慶「全部数えられると思うてか?それにお前だってイカサマしてたじゃないか。」
涼「えっ?」
慶「リフルシャッフルの時にカードの順番盗み見てちょこちょこ変えてたろ。私が負けるように。嫌いになっちゃうよ。」
涼「ごめん。その通りだよ。何でもするから嫌いになるなんて言わないで。お願い。」
慶「どうしよっかな?そもそもなんでそんな事をしたの?」
涼「どんなイカサマができるのか確かめたかったんだ。」
慶「私は一度使った手は二度と使わないけどね。マジックの種明かしほどつまらないものはないだろう。聞いたらその場にあった疑問が解消され興味をなくす。所詮は子供だましだからな。でも知りたくなっちゃうよね。分かるよそういう気持ち。だから教えてくださいよ。どうやってカードを入れ替えたんですか?先生。」
先「簡単な手だよ。袖に前もって入れといたんだ。いくつかの手を。」
慶「ふーん。じゃあお願い聞いて下さい。」
先「何でもは聞かないぞ。」
慶「じゃあ2つの中から選んで下さい。1つ目はアクセサリーを付けてきたいなって思ってるんです。」
先「ん?お前ら結婚でもすんのか?校則上はそこまで高価でないものを自己管理ならってなってるが?」
慶「素が出てますよ。100万って高価ですかね?」
先「安心しろ。こんな姿を見せるのはお前らに対してだけだからな。お前ら金持ちの金銭感覚に任せるよ。ただ、取られるんじゃねえぞ。」
慶「誰だと思ってるんですか?」
先「ああ、中学生柔道都大会優勝者と入学早々、カツアゲされて上級生五人を捻り上げた奴らだったな。なら取られる心配はほぼない。だが油断だけはするなよ。」
慶「じゃあもう一個のお願いの方をやって下さい。」
先「内容は?」
慶「・・・・・・」
先「はっ?いや、絶対にできないというわけではないけど、ただ、ベトベトになりそうだし、それに生徒とやるのは良くないと思う。」
慶「しょうがないじゃないですか。他に何も思い浮かばなかったんだから。じゃあ準備しますね。」
慶「はい、先生咥えて下さい。」
先「やっぱりやめないか?」
慶「なにが何でもやりますよ。だって言ったじゃないですか。絶対にできないわけじゃないと。ならやりましょうよ。」
先「これで良いのか?」
慶「もうちょっと喉まで。そうそうそう。こっち向いて下さい。」
多分喋れないのだろう。かなり喉近くまでアイスが入っているから。
先「んっ。」
慶「あっ垂れちゃいましたね。」
先「よくも担任に『無駄にデカい胸の上にアイス乗っけて咥えてる写真を取らせて下さい。』なんて言ったな。私は知覚過敏なんだよ。それに牛乳感が強いものは嫌いなんだ。ミルクアイスなんか食堂で買ってきやがって。」
慶「でもよく取れてますよ。ほら。」
先「今すぐ消せ。そのスマホを貸せ。」
慶「クラスラインと学校ホームページに貼っときますね。」
先「何でもするから絶対にやめて。」
目を充血させながら制服の胸当たりを掴んでくる。女性として顔立ちは非常にいい。同性愛者じゃなかったら魅了されてたかもしれない。
慶「なら、説教して欲しい生徒がいるんです。それぞれいじめや器物破損等の証拠はあります。推薦先に送りつけ推薦取り消しを言ってあげて下さい。それと別で説教もお願いします。そろそろみんな帰ってくると思うので食べきって下さい。それじゃあ片付けをしときます。」
先「後で証拠とやらを送っておいてくれ。」
慶「普通は先生と生徒で連絡先をつなげるの駄目なんですけどね。まあもう少しで生徒じゃなくなるしバレなきゃ問題にはならないのでいいですけど。」
先「今更だな。もう3年目だぞ。なんで交換したんだっけなぁ。」
慶「どうしてでしたっけ?」
先「まっ、証拠を渡してくれれば後は先生に任せてくれ。生徒会として問題に上げといたらどうだ?」
慶「もう上がってますよ。後は新校則を公布し、試験運用。問題がなければ来年度から開始という形ですね。」
先「流石、歴代最高の生徒会だ。」
慶「煽ててもなにも出ませんよ。」
先「さて、終わるか。」
先「全員揃いましたか?揃いましたね。じゃあもう各自帰って良いですよ。さようなら。ただし、ちょっと待って、まだ座ってて。風紀委員、図書委員、報道委員、学年委員は集まりがあるそうですので少しの間、第一理科室で残ってください。それと、剣崎くん下田くん細山くん斎藤くん内藤くんは残って下さい。全員校長室です。大切な話があります。それじゃあもう皆さん帰って良いですよ。」
こっちを向いて軽くウインクしてきた。誰かに見られたら勘違いされるっつーの。それに私は涼輝一筋だから。さて帰ったら新イベだな。
慶「涼輝帰ろうか。」
涼「良いよ。」
慶「帰ってお昼食べたら新イベやろうか。」
涼「今日は帰さないよ。どうせ、栄養剤とチョコレート、野菜ジュースで済ませそうだから。君の母親からお願いされてるんだ。『使用人も口に出して言えないみたいだから私達が普段は言ってるけど今日はどちらも居ないから貴方の家で食べさせて』と。」
慶「それだけ?」
涼「勿論ゲームもするよ。一回家にVR機器等を取りに行ってから行こうか。」
慶「分かった。」