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第6話 アリシア、再会する

 私、イナミ

勇者パーティーから追放された魔法少女だ。


 追放されてから私に居場所はないと落ち込んでいたが、もう1人の魔法少女のシャノンに出会い新しい私の居場所を見つけた気がした。


 で、勇者パーティーのことから身を引いていたのにも関わらず彼女は私の前に姿を現した。


「今日はどの依頼こなそっか?」


「どれが良いかな〜?」


 いつも金を稼ぐのに利用させてもらっている街の掲示板を見ながらシャノンとどの依頼をこなすかどうかを話し合っている。


「じゃあ今日は…」


 私が依頼の紙を剥がそうとした瞬間だった。


「いたわね!イナミ!」


 聞き慣れた声の主が私の名を読んだ。


「この声…」


 そこにいたのはアリシアだった。


「探したわよ…そこにいたのね…」


 何故かアリシアは勇者パーティーにいたのにアリシア1人だけだった、

しかも理由は分からないが、服がボロボロで顔もいつもみたいに偉そうではなかった。


 忘れたい存在だったがアリシアに何があった?


「何しに来たの?次の街に行ったんじゃないの?」


 とりあえず私の前に来た理由を聞く。


「あんた…その子とサンダースパイダーを倒したって話は本当?」


 何故知っている?


「…そうだけど?」


 事実なので私は答える。


「やっぱりそうね!その子…まだ幼いのに魔法が使えるなんてきっと才能の持ち主よ。私のパーティーに相応しいわ」


 何を言っているのだろうか?

目的はシャノン?


 そしてアリシアが言う私のパーティーとは?


「私のパーティーって何?勇者パーティーにいたんじゃないの?」


 理由を聞いてみた。

アリシアだけなのは何かしらの理由がありそうだからだ。


「…された」


「え?」


 小声で聞こえなかったので聞いてみる。


「勇者パーティーから…追放された」


 まさかのアリシアは勇者パーティーから追放されていた。


「え?どうして?」


 アリシアが勇者パーティーから追放されたのには何かしらの理由があるだろう。

聞いてみる。


「私の魔法が突然弱くなったのよ!前はあんなに強かったのに…」


「あー…」


 思い当たる節がある。


「あんた…なんか知ってんの!?」


「多分それ変身した私の衣装…」


「あんたのあのキラキラ衣装?」


 そう。


 実はあの衣装は周りにいる仲間の攻撃力や魔法の力を上げる機能が搭載されている。


 上着を着たりするとその機能が発生しなくなるので私は皆の為に恥ずかしくても変身後、上着を着なかったのだ。


 シャノンも変身後、衣装を着ているので衣装の機能が私の衣装の機能と重なりより強くなったのでサンダースパイダーを倒せたのだろう。


「なんなのよ…」


 アリシアは勇者パーティーにいた頃、私の衣装を見て笑ったりしていた。

今になって衣装の機能を理解したのか。


「まぁその子は私のパーティーに入れるわ」


 何故そうなる?


「あんたには不似合いよ。その子は私が連れて最強に育て上げるわ。そして私が育てたと皆に言ってイケメンからモテまくるのよ」


 本性丸出しだ。

アリシアにはシャノンを渡したくない。


「嫌だよ。シャノンは私といるんだから。連れてかないで」


「はぁ?あんたはその子の親な訳?」


「それは…」


 言われてみればそうだ。

私はシャノンの親ではないけれどシャノンと一緒にいる。


「あんた単体だと何もできないじゃない?それならこの私と一緒にいた方がこの子の為になるわよ」


「…」


 シャノンと一緒に戦えばサンダースパイダー戦みたいに強くなれるが私1人だとどうなっていただろうか?


 しかし。


「アリシアこそ今ボロボロだけど?アリシアだって単体だとそんなに強くないんじゃないの?」


「なっ…」


 アリシアにとっては図星かもしれないが、私にとってシャノンをアリシアの元に渡したくはなかった。


「それにアリシアは私が同性愛者なの笑ってたりしてたよね?シャノンにはそんな子には育ってほしくない」


「何よ!」


 するとシャノンは私の足元に寄り添ってきた。


「喧嘩するイナミお姉ちゃん怖い…元に戻って…」


 シャノンはどうやらアリシアに対して怒りを見せたのが怖かったみたいだ。


「ごめんね?シャノン。元に戻るから…」


 シャノンから怖がられたら良くないので表情を意識して元に戻す。


「へっ。仲良しこよし?そんなのと一緒にいないで。ほら、シャノンちゃん。私と一緒に来るのよ!」


 アリシアがシャノンを連れて行こうとしたのだが。


「嫌!このお姉ちゃん嫌い!」


 シャノンはアリシアを嫌がった。


「えっ…この私に…嫌い…?」


 アリシアは固まった。

アリシアは誰かから嫌いと言われた経験がなかったからだろうか?


「イナミお姉ちゃんは優しいし好き!このお姉ちゃんは怖いから嫌い」


 理由は簡単ではあるが、シャノンなりの答えだろう。


「ありがとう。シャノン」


 シャノンは私を好きでいてくれる。

それだけで今は幸せだ。


 だからこそアリシアにはシャノンを渡したくない。


「ふ…ふざけるんじゃないわよ!イナミ、私と戦いなさい!」


「嫌なんだけど…」


「私が勝ったらシャノンは連れて行くわ!」


 アリシアはどうしてもシャノンを連れて行きたいらしい。


「…私が勝ったらシャノンは私が連れてって良い?」


「良いわよ。そうしなさい」


 アリシアは私が勝った場合はシャノンは私が連れてっても良いと戦いの後の話をしてくれた。


「…分かった。私、戦うよ」


「イナミお姉ちゃん!?」


 シャノンは心配している。


 だけれどこれは私とアリシアの最後の決別でもあるかもしれない。

だからこそ私は戦う意志をアリシアに見せる。


「大丈夫だよ。シャノン、私が絶対にシャノンを守るから」


 私はシャノンに安心してほしいので笑みを見せた。


「分かった…勝ってね!イナミお姉ちゃん!」


 シャノンは私を応援してくれている。

頑張ろう。


「さぁ、かかってきなさい!」


「いくよ。アリシア」


 私はマジックステッキを手に取る。

そしてこう言い放つ。


「マジックアンドチェンジ!」


 私は変身した。

アリシアと決別をするために。

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