研究施設へGO!
ハルたちは、ある研究施設を訪れていた。
「ここが研究所かー。すごく広いね」
ハルが周りをキョロキョロしていると、マサが肩をポンと叩いた。
「あまり不審な行動をするなよ」
「不審て……ただ辺りを見てるだけじゃない」
「あらあら、仲がいいのね」
二人が言い合いをしていると、一人の女性が近づいてきた。
「はじめまして。私はここの研究員の薫といいます。今日は来てくれてありがとう」
「いいえ。レンさんから紹介されたので」
それは数時間前にさかのぼる。ハルたちがいつも通り食事をしていると、レンが窓から入ってきた。
「だからそこから入らないで下さいよ!」
「いや、すまない。ここが一番早いからな」
「全く……今日は何の用ですか?」
「そんなすねなくてもいいじゃないか」
「すねてません!」
ハルとレンが話しているのを、マサとユキ、そしてイグはつまらなそうに見ていた。
「おい、レン。一体何の用事で来たんだ?」
これではキリがないと思ったイグが、レンに話しかけた。
「あぁ、そうだった。ハルと遊んでる場合じゃなかった」
「遊んでたの?!」
ハルが驚いているのを無視して、レンは話しだした。
「実はある研究施設がハルたちに会いたいと言ってるんだ」
「研究施設?」
「そう。あの大型アニマを倒したということで、調べたいことがあるらしいんだ」
大型アニマの話を聞いたハルは、少し表情を曇らせた。それに気づいたレンは、ハルの手を取り優しく言った。
「大丈夫。その施設はアニマの研究をしているが、彼らに危害を加えることはしないよ」
「え……」
「君はユミのことを考えた。だから彼らが心配なんだろ」
「はい……」
「大丈夫だ、ハル。なんかあれば俺が全部ぶっとばしてやるよ」
ハルが俯いていると、マサが割って入ってきた。それに合わせてユキも言い始めた。
「そうでござるよ。何も心配はいりませぬ」
「……ありがとう。じゃあ安心だね」
全員で笑いあうと、レンが立ち上がる。
「これで話はまとまったな。では俺は、その研究施設の者に伝えるとしよう」
「お願いします。それでいつ行くんですか?」
「今日だが?」
「えらい急だな! もっと前に教えられなかったのか?」
(もし私が断ってたらどうしたんだろう……)
ハルが苦笑いを浮かべていると、レンはまた窓から出ていった。
「だからそこから行くなっての!」
そして今に至る。ハルたちは薫に案内されて施設をまわっていた。
「ここってすごい広いですよね」
「そうね。ここには病院もあるし、アニマの子たちに不便がないように色々揃えているのよ」
「へぇー」
ハルが呆気にとられていると、イグが薫に疑問を投げかけた。
「それで、調べたいこととはなんだ?」
「彼女のつけてる指輪のことだよ」
「え? これはただの指輪ですよ?」
「ただの指輪ではないよ」
そう言うと、薫はハルに近づいて指輪を指さした。
「それはアニマの子たちに影響するみたいだよ? あのユミって子の契約者の持っていた指輪は、大型アニマが死んだと同時にボロボロと崩れてしまった」
「そんな……」
「だから契約しているアニマが死ねば、その指輪も役目を果たしたように消えるんだと思うんだ。だから君の指輪を調べさせてほしい」
ハルが少し躊躇していると、イグが自分の持っていた指輪を差し出した。
「調べたいなら、これをあなたに預ける」
「おや、君のも少し崩れかけているね。まさか心変わりでもしたかい?」
薫がハルをちらっと見て、イグに笑いかけた。イグはそれを無視した。
「まぁいいか。じゃあこれは預かっておくよ」
それを見た薫は微笑みながら指輪を受け取った。
「大体案内したから、あとは好きに見てくれて構わないよ」
そう言って薫はハルたちと別れた。ハルは先ほどのイグと薫の話が気になり、イグに話しかけた。
「あの指輪、渡してよかったの?」
「あぁ、俺にはもう必要ないからな」
「でも……」
「いいんだ。それに俺は、今はハルたちと行動を共にしているから問題はないだろう」
「それはそうだけど……」
ハルが躊躇っていると、イグがハルの顔をじっと見てきた。
「俺が一緒だと嫌か?」
「そ、そんなことないよ! だってあれは前の契約者の人の物だし……」
「あいつは俺たちを見捨てて、指輪を外して逃げたんだ。だからもう必要ない」
「そんなことがあったんですね」
「まぁ、この話はもう終わりにして、他の場所も見てみたらどうだ?」
「そうですね。ここ広いから迷いそうですけど」
ハルたちが研究所を歩いていると、図書室があった。ハルは、マサたちと別れて一人入っていった。中にはいろんな本が並んでいたが、一つのファイルが目に留まった。
「よみがえり?」
それは研究者が書いたレポートだった。作者はあの薫である。ハルはユミのことを思い出し、そのレポートを読み始めた。
「これなら、またユミちゃんに会えるかもしれない……」
ハルは、そのファイルを持って薫の元へと走っていった。




