大型アニマ
公園の戦いから数日後、ハルたちは何事もない日常を過ごしていた。ハルとユキが家に帰ると、マサが夕食の準備をしていた。
「ただいまー。今日も疲れたわー」
「おぅ、おかえり。もうすぐ飯が出来るからな」
「やったー! 今日は何かなぁ」
「マサ殿、今日も異常はございませぬ」
「それにしては、あんたなんか疲れてないか?」
「それが……」
ユキが躊躇っていると、ハルが椅子に座りながら今日の話をした。
「実はね、私がバイトをしている間、ユキには待っててもらったんだけど、その時休憩してた子たちが、ユキに興味を持っちゃって……」
ハルのバイト先。ハルのバイトが終わるまで、ユキが部屋で待っていると、休憩していた子たちがユキに群がってきた。
「ねえ、君アニマってやつでしょ?」
「その耳触らせてよ!」
「ハルさんとはどういう関係なの?」
「あ、あの……」
現在に戻り、ハルははぁーとため息をつき、ユキはがっくりとうなだれていた。それを見たマサは同情の目を向けていた。
「ちょっと、そんな目で見ないでよ。私も心が痛かったんだから。その後、皆をごまかすのも大変だったー」
「まぁ、飯でも食って元気出せよ」
「それは俺も食べたいな」
ハルたちが声のする方を見ると、レンが窓に腰かけていた。
「ちょっと、そんなところに座らないでください! なんで玄関から来ないんですか」
「あぁ、すまない。これからはそうするよ」
そう言って靴を脱ぎ、中へと入っていった。
「それで、今回は何の用ですか?」
「なんだ、俺が来ると何か問題があるみたいじゃないか」
「だって最初に会った時もそんな感じでしたし……」
「ははは!これは厳しいな。まぁ、ご飯を食べに来た訳ではないんだがね」
「やっぱり……」
「一応テレビをつけてくれるかい?」
ハルがテレビをつけると、丁度ニュースが始まっていた。その内容は大型アニマが出現したというものだった。
「大型アニマ?」
「そう。ここ最近で現れた謎の生物だ。普通のアニマはそんなものじゃない」
「あの、普通のアニマって、マサやユキみたいに人型ってことですか?」
「あぁ、そうだね。実際あんなアニマが現れたとなれば、研究所が何かしたんだろう。君たちも気をつけてくれ」
「あの、レンさん。アニマってそもそも何なんですか?」
「アニマは、獣と人が合体した者だよ。そして、お互いに戦って誰が強いか決めるんだ。ルールは少し知ってるね。人間を攻撃してはいけないこと。契約者が死ねばそのアニマも死ぬこと」
「はい……」
「あと、その契約の指輪はすぐ外して契約を無しにできるんだ」
「そ、そうなんですか?」
ハルがじっと指輪を見ていると、ユミの顔を思い出した。
(なんで今あの子の顔を思い出したんだろう……)
ハルが考えこんでいると、レンが心配そうに見てきた。
「どうかしたのかい?」
「いえ……この前、ユミっていう子とその契約者の人がやってきて、研究所の人に追われてるって言われたんです」
「ふむ。その二人が来たのと、大型アニマが現れたことと、関連がありそうだな。俺も少し調べてみるよ」
レンはそう言ってまた窓から出ていった。
「だから、そこからじゃなく玄関から出て行ってよ!」
ハルはそう叫びながらテレビの大型アニマを不思議そうに見た。
(もしかして、どこかで会ったことある?)
とある路地裏。たかとたちはある大型アニマと戦っていた。しかし、ユリアはすでにボロボロで、イグは左腕を失っていた。
「なんなのよ、あんた……どうしてそんな力持ってるの。こんなのアニマの力じゃないわ……」
「それは私の研究が上手くいった証拠ですよ。これは私の傑作ですからね」
声のする方を向くと、大型アニマの後ろから博士が現れた。
「さぁ、あなたの獲物ですよ。終わらせてしまいなさい」
言われた大型アニマは、ゆっくりとユリアに近づいた。
「いや、待って。そうだ、あんたたちの仲間になってあげる! だから見逃してよ! お願いだから……!」
ユリアがぶるぶる震えて叫んでいると、その体をガッと握りしめた。
「ひっ……いやあああぁぁ!」
叫びとともにユリアの体はどんどん大型アニマの体の中に融合していく。それを見たたかとはがたがた震えていた。
「う、うわああああ! 俺はまだ死にたくないーっ!」
たかとは、はめていた指輪を投げ捨ててその場を逃げ出していた。
「あいつ、追わなくていいのかい?」
蛇のアニマが博士に歩み寄る。博士はくすくす笑いながら、残ったイグを見ていた。
「私はあんな者には興味ないですからねぇ。さぁ残ったアニマも取りこみなさい」
「くっ……」
イグは最後の力を振りしぼって、指輪を持って飛び去った。巨大なアニマはそれを目で追った。
「何してるんですか。早く捕まえなさい」
だんだんとイグの姿が小さくなるが、アニマは動かない。
「……まぁいいでしょう。一人だけでも取りこめたんですから。早く戻りますよ」
博士の言葉に、アニマは静かに従った。




