キミに会えてよかった
博士が消えた後、大型アニマは突然光りだし、マサたちの姿に戻った。そして、研究所の中をハルたちは探っていた。
「アキナ殿は俺が見てるので、ハル殿たちは先に行ってて下され」
「ありがとう、ユキ。じゃぁよろしくね」
あれからアキナは泣き疲れて眠ってしまった。
「お父さん……」
アキナは寝言を言っていたが、ユキがアキナの頭を撫でながら優しく言った。
「大丈夫でござるよ。アキナ殿には皆がおりますから」
それを見たハルは微笑み、マサや薫たちと出ていった。
「でも、薫さん。なんで博士と一緒にいたんですか?」
研究所を歩いていると、ハルは思っていた疑問を薫に投げかけた。
「あぁ、それは私の研究を博士が知ってね、協力しないと猿渡君を研究材料にすると言われてしまって……仕方がなかったんだ」
薫はそう言って手を握りしめた。
「そうだったんですね……」
ハルが俯いていると、ユミが隣を歩いてきた。
「でも、薫さんがそうしたことで猿渡さんが助かったんですから、もう終わったことです」
「そうだね……終わったんだよね」
ハルはユミを見て薄く笑った。そうしていると、ある研究室に着いた。
「ここが博士の研究していた場所……」
「中には何があるかわからないから、ハルさんはここで待っててくれないかな?」
「いいえ。私も一緒に入ります。私も知らないといけないと思うから」
「知らなくてもいいこともあるよ」
「大丈夫です。これまで私は何も知らなかったんです。だから少しでも彼らを知りたいと思ったんです」
「……そうか。それなら止めないよ」
そしてハルたちは中に入った。机の上には資料がたくさんあり、棚にもぎっしり本やファイルがつめられていた。薫は資料に目を通していたが、少ししてため息をついた。
「やはり、彼の研究は危ないことをしていたようだね。これを見てくれ」
ハルは薫からそれをもらい目を通した。そしてどんどん顔を青ざめた。
「なんで、こんな恐ろしいことを……」
そこには巨大生物について書いてあった。そしてネイトレオを融合させた時の結果も記されていた。
「私はこの資料を持ち帰って、猿渡君やアキナ君を元の人間に戻せるように研究するつもりだ」
ハルが顔を上げると、薫は真っ直ぐに見つめていた。
「薫さん……」
ハルが資料を握りしめていると、マサたちが寄ってきた。
「薫に任せておけば大丈夫だ」
「そうです! もうこんなことは起きませんから」
「ありがとう、皆……」
そして全員はユキたちと合流して、研究所を出て山を下りた。空を見上げると、もうすっかり夕やけ空だった。
それから月日はたち、ユミは契約者だった高木と会っていた。
「久しぶりだね、ユミ」
「高木さん、会うのが遅くなりすみません……」
「そんなの気にしなくていいよ。元気そうで何よりだ」
ユミが頭を下げると、高木は手を振った。
「それよりも、今はあのハルさんって子の所に身を寄せてるって聞いたけど」
「はい……」
「俺はもう契約者にはなれないけど、あの子ならきっと君を幸せにしてくれるよ」
「ありがとうございます……」
そしてもう一度ユミは頭を下げた。それを見て高木は優しく微笑んだ。
アキナは薫の所で、薫の手伝いをしていた。
「アキナ君、すまないね。色々手伝ってもらっちゃって」
「あぁ、気にしないで下さい。私が好きでやってることですから」
薫に向けたアキナの顔は晴れやかだった。
「それに、薫さんは私たちのために研究してくれているのですから、私も何か出来ることはないか探してるところです」
「頑張り屋さんだねぇ。私も見習わないと!」
「薫さんは少しは休んで下さいね!」
アキナはそう言うと、薫の前にコーヒーを置いた。
「はーい、わかってるよ。ありがとう」
そして二人は笑いあった。それを猿渡は遠くで二人の絵を描いていた。
「ぎゃーっ! バイトに遅れる! なんで起こしてくれなかったの!」
「俺らは何度も起こしたぞ?」
「まさかあそこまで起きないとは……」
ハルはバタバタと支度をしていたが、マサたちは呆れていた。
「だって疲れてたんだもの!」
「だからって自分のセットした時間くらい守りなさい」
「もー、わかってます! じゃぁ、いってきます!」
そしてハルは勢いよく家を出ていった。それをマサたちは微笑みながら見送った。
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