アキナ
「はー、お風呂気持ちよかったなー」
「そうですね」
風呂からあがったハルたちは、部屋に戻り寝る準備をしていた。ハルがふとアキナを見ると、アキナは少し大きなペンダントを見ていた。
「それ、すごくキレイですね」
「え? あぁ、これは父からもらった物なんです」
「へぇー……」
(ということは、博士からもらったってことか……)
ハルがじっと見ていると、アキナは慌てて寝るのを促した。
「さ、さぁもう遅いですし寝ましょう!」
そして全員布団に入った。
「助けて! もうだめ!」
ハルは長い触手のようなものに追われていた。そして締め上げられてしまう。
「いやーっ!」
ハルが目覚めると、マサとユミ、猿渡がハルに抱き着いていた。
(あの夢はこれのせいか……)
「なんだか寝苦しいとは思っていたけど、皆元に戻ってよかった」
「ハルさん、おはようございます」
ハルが顔を上げると、アキナはもう起きていた。その横にユキがまだ寝ていた。
「アキナさん、もう起きてたんですね」
「えぇ。あと私に敬語はいりませんよ? 私はハルさんより年下ですから」
「じゃぁ、アキナちゃんって呼ぶね」
二人が笑いあっていると、マサたちが目を覚ました。
「ふー、なんとか元に戻れたぜ」
「えー、動物姿も可愛かったのにー」
「ふざけるな。それだと力が使えなくて不便なんだよ」
ハルがふふふと笑っていると、アキナが立ち上がった。
「では私はこれで失礼します」
「え、もう行くのでござるか?」
「え?」
「少し庭でも歩いていきませぬか?」
「……そうですね」
そしてユキとアキナは出ていった。それを見ていたハルは、にやにや笑っていた。
「何にやけてんだよ」
「だってユキにも春が来たんだなって思って。アキナちゃん美人だし」
「あぁ……昨日もハルが寝た後、あの女が窓の外を見ていたから、ユキが気にかけていたぜ」
「え、そうだったの?」
「はい。私も見てました」
マサとユミの話に、ハルは少し考えた。
「……ユキ、大丈夫かな」
「ここの庭は広いでござろう? この間ちょっと壊されてしまいましたが、なんとかなおってるみたいでよかったでござる」
「そう……ユキ君はどうしてハルさんと一緒にいるの?」
「俺はハル殿に助けられました。だからついていこうと思ったのでござる」
「そっか、ハルさんてすごいんだね」
アキナは花壇の花を見ながら、ユキに話しかけた。ユキは、喜びながらアキナに近づいた。
「そうでござるよ! ユミ殿をこちらに連れ戻したり、マサ殿は最初に契約した時助けられたみたいでござるから」
「ふーん……」
ユキがはしゃいでいるのを、アキナは冷めた目で見ていた。
「これなら、もっと違う形で出会いたかった……」
「え……?」
ユキが振り向くと、アキナの周りに風が吹き荒れた。
「あ、アキナ殿?!」
アキナを風が包みこむと、目の前に巨大なドラゴンが現れた。
「これは一体……」
「グオォォォー!」
ドラゴンが雄たけびを上げる。ユキが呆然としていると、ハルたちが駆けつけた。
「ユキ! 大丈夫?」
「ハル殿! 皆どうしてここに……」
「庭の方から声が聞こえてきたから慌てて来たんだよ」
「まぁ、アニマがいるから、そんなに驚かないけど、これってどういう状況?」
ハルが苦笑いを浮かべていると、ユキがドラゴンの前に立った。
「これはアキナ殿なんです!」
「えっ! じゃぁまさかアキナちゃんも……」
ハルの顔が青ざめた。そしてユミと猿渡のことを思い出す。
「ハル殿! アキナ殿を助けて下され!」
ユキの叫びにハルは心を決めた。
「皆、とにかくアキナちゃんを元に戻そう!」
「あぁ!」
「はい!」
そして、騒ぎを聞きつけたレンとイグも駆けつけた。




