もふもふアニマル
「あぁ、ハル。ここにいたのか。すまないが、一緒に来てくれないか?」
ハルたちが話していると、レンがやって来た。レンに連れられて、ある部屋に辿り着いた。
「さぁ、中に入ってくれ」
「おじゃましまーす」
中に入ると、先にマサたちがいた。中は広く天井も高かった。
「へぇー、こんな部屋もあるんだね」
「さて、そろそろかな。後は薫から話を聞いてくれ」
「え? それってどういう……」
ハルが問いかけるのをレンは止めて、ちらっと時計を見た。時計は午後六時をさしていた。すると、マサたちの体が光りだした。
「え、何これ! 一体何が起こってるの?」
ハルが慌てると、猿渡がハルの足に抱き着いた。すると、ボンッと音を立てて目の前には動物たちが現れた。
「え、えぇ!? なんで動物がここにいるのよ」
ハルが呆然としていると、一匹の猫が足にすり寄ってきた。
「まぁ、可愛い! こっちにおいで」
ハルが猫を抱き寄せると、小さな虎も寄ってきた。そして肩にはインコがとまった。
「わぁ! ちっちゃな虎さんに可愛いインコ。そして、わー! 警察犬とワシだー!」
虎とインコまではよかったが、ハルは残りの二匹には驚いて後ずさった。
「何をそんなに慌ててるんだい?」
ハルの悲鳴を聞きつけて薫がやって来た。
「だって、マサたちがいきなり動物たちになってしまって……」
「あぁ、今日は新月だったね。それでこの姿になったわけだ」
「薫さん、何か知ってるんですか?」
「私もレンから聞いただけだけどね。とりあえず場所を変えようか」
それから談話室に移動して、薫は話しだした。
「彼らは新月になると、あぁやって動物の姿になってしまうんだよ。その間は、アニマの力は使えないらしい。一応彼らの思考はあるみたいだから、そうやって君に懐いてるんだね」
ハルは猫になったマサとインコになったユミを連れてきていた。
「じゃぁ、この猫がマサで、インコがユミちゃん、そして虎がユキで警察犬がレンさん、ワシがイグさんってことですね」
「あぁ、その通りだよ。人数が多いと大変だね」
薫が苦笑いを浮かべていると、ハルは隣にいた猿渡を見た。
「あれ? でも、さあちゃんは何ともないね」
「彼は人間とのハーフだから関係ないのかもしれないね」
「そうなんですね」
そう言ってハルは猿渡の頭を撫でた。
「あと、私たちはこの現象をアニマルモードと言ってるよ」
「あぁ、アニマだから」
ハルは笑いながら猫を撫でていた。
「あ、ユキも連れてくるの忘れてた! でもあの部屋に入るの怖いな……」
「なら、私が一緒に行きましょうか?」
ハルと薫が振り向くと、美人で青く長い髪の女性が立っていた。
「あの……あなたは?」
「私はアキナと申します。さぁ、行きましょうか」
「あ、はい! じゃぁ薫さん、ちょっといってきます」
「あ、あぁ。気をつけるんだよ」
そして二人は部屋を出ていった。残された薫は考えていた。
「なんであの子がここにいたんだ」
「アキナさんは、ここの人なんですか?」
「いいえ。でも、この近くに住んでるんですよ」
二人が話している間に部屋に着いた。部屋を開けると、子虎が近づいてきた。
「ごめんね、ユキ。さぁ、行こうか」
「ガウッ!」
「おーい! ハルさん、ちょっと来てくれ!」
「あ、薫さんの声だ」
「なら私が彼を連れていきますよ」
「本当ですか? ありがとうございます」
そしてハルはバタバタと出ていった。残されたアキナは虎を抱き寄せる。
「お父さん、これでよかったのよね……」
「ガウ?」
「うぅん、なんでもないの。さぁ、行こうか」
ハルは、薫に呼ばれて薫の研究室に来ていた。
「薫さん、何か用ですか?」
「実はあの子は、ユミ君が会った博士の娘なんだ。一度発表会で見たことがあるよ」
「え、でもなんでそんな人がここにいるんですか?」
「前に遊びに来たことがあるから、それを覚えていたんだろう。何かあるかもしれないから、気をつけるんだよ?」
「わ、わかりました」
それから二人は談話室に戻った。そこにはアキナがもう来て座っていた。
「アキナちゃん、久しぶりだね。お父さんは元気かい?」
「それが今は連絡がつかなくて……」
(なるほど。娘にも話してないのか)
薫がじっとアキナを見ていると、アキナが首を傾げた。
「父がどうかしたんですか?」
「いや、なんでもないよ。それよりなんでここにいたんだい?」
「実は近くに家を持ったので挨拶をと思いまして」
「そうかい。まぁ、ゆっくりしていくといいよ」
「ありがとうございます」
すると、ハルが薫を部屋の隅に引き寄せた。
「ちょっといいんですか? 研究所にいさせて」
「しょうがないでしょ? 女性をこんな遅くに外に放り出すなんてできないわ」
二人がぼそぼそ話していると、アキナはまた首を傾げた。
「あの、迷惑でしたらもう帰りますけど……」
「あぁ、なんでもないんだよ」
薫が苦笑いを浮かべていると、ハルがアキナに近づいた。
「じゃぁ、私の部屋に行きましょう!」
「は、はい」
そしてハルとアキナは談話室を出ていった。




