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洞窟からの脱出

「で、でか……これも大型アニマ?」

 ハルが驚いていると、ユミが慌てたようにハルの口を押えた。

「ハルさん、言葉を選んで! この方は神の遣いの方です」

「神の遣い?」

「いやはや、無礼な人間もいたものだな。あの大型アニマと我を一緒にするのだからな」

「す、すみません。私もあなたみたいな方を初めて見たものですから」

 ハルも慌てて謝った。神の遣いは、はははと笑い出した。

「しかし、何故人間がこんなところに来たのだ?」

「私は、ユミちゃん……この子に会いたくてここに来たんです」

「ハルさん……」

「ほぅ……しかし、その少女はたくさんのアニマを殺した。だから罰としてここの番をしてもらっているのだ」

「でも、あのことはユミちゃんが悪いわけではありません! そうさせた人間が悪いんです!」

 ハルが声を荒げると、ユミがそれを制した。

「ハルさん、いいんです。私がやったことに変わりはないんですから」

「でも……」

「私はあの時ハルさんに救われました。だからその罪を背負っても構いません」

「そんなのだめだよ! それなら私も一緒に背負うから!」

 ハルは涙を浮かべた目でユミを見た。ユミは首を横に振る。

「だめですよ、ハルさん。あなたには待っている人たちがたくさんいるんですから。私の事は気にしないで」

「嫌!」

 ハルはユミの手をぎゅっと握った。

「やっと会えたのに、また別れるなんて嫌よ! 私は一度あなたの伸ばした手を握れなかった。だからもう離したりはしない!」

「ハルさん……」

 ユミの瞳には涙があふれていた。そしてハルは神の遣いに向き直る。

「お願いです。ユミちゃんを解放して下さい。この子の罪は私も一緒に背負います」

 ハルが頭を下げると、ユミも慌てて頭を下げた。神の遣いは、じっと二人を見つめていたが、ふぅーっと息を吐いた。

「そこまで言うなら我から言うことは何もない。少女を連れて早くここから立ち去りなさい」

 そう言われて、二人は顔を見合わせ喜んだ。

「「ありがとうございます!」」

 二人は一緒にお礼を言った。そしてハルはユミに抱えられて飛び立った。

「しかし、他の者たちがそれを許したならばな……」

「え……?」

 神の遣いがそう言うと、無数の影たちが襲ってきた。

「あの時の影だわ!」

「ハルさん、しっかり捕まっていて下さい!」

 ハルたちは影を振りほどくように飛び去って行った。

 その頃、マサとユキは影たちと戦っていた。

「ハル殿は一体どうなってしまったのでござるか」

「俺たちはまだ生きている。だからハルも大丈夫だ! 今は戦いに集中しろ!」

「言われなくても!」

 二人が戦っていると、割れた地面からハルたちが現れた。

「マサ、ユキ!」

「ハル殿! ご無事でござったか!」

 ユキが喜んでいると、ユミが慌てたように二人を促した。

「話は後です! まだ影たちが集まってきてます。とにかくここから逃げて下さい!」

「え、ユミ?」

「皆ここから離れよう!」

 そして四人は出口に向かって走り出した。影たちとも戦いながら走っていると、出口が見えてきた。

「もう少しよ! 皆頑張って!」

 すると、一つの影がハルを掴もうとした。

「え……」

「させません! かまいたち!」

 ユミの攻撃が影に当たりはじけた。四人が入ってきた扉を出ると、バタンと扉が閉まった。そして跡形もなくスーっと消えていった。

「消えた?」

「多分あの方がもう誰もあの場所に来ないようにしたんだと思います」

「そっか……許してはもらえなかったけど、また会えてうれしいよ」

 ハルとユミは微笑みあった。それを見ていた薫は喜んだ。

「すごい! 本当によみがえりはあったんだ。お手柄だよ、ハルさん!」

 そう言われてハルは少し俯いた。

「私は別にそんなつもりじゃなかったです。ただこの子に会いたくて……」

「それでも君は大したことをしたんだよ。ユミ、だったっけ。私の研究に付き合ってくれないかい?」

 薫がそう言うと、ユミは慌ててハルの後ろに隠れた。

「研究はだめです! もうこの子にひどいことしないで下さい!」

 薫はきょとんとした顔で、首を傾げた。

「ひどいことなんてしないよ。ただ身体検査するだけだし」

「検査?」

「そう。彼女はよみがえったわけだから、その体がどうなってるか調べるだけだよ」

「なら私も一緒に付き合います」

「まぁ、好きにしたらいいさ」

 そう言うと、薫はウキウキしながら洞窟を去っていった。ハルたちも後に続いた。すると、レンがハルに話しかけてきた。

「まさか、本当に連れて帰ってくるとは思わなかったよ。君はやっぱりすごい子だね」

「そんなことないです。今回はたまたまよかっただけですから……」

 ハルは俯いたまま、前に歩き出した。全員が洞窟を出て少し行くと、地震のような揺れが起き洞窟が崩れ落ちた。

「もうここには立ち入らない方がよさそうだな」

 イグが洞窟だったところを見て、ぼそっと呟いた。そしてハルたちはもう振り返らずにその場を後にした。


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