表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

捏造の王国

捏造の王国 その59 ジコウ党総裁選関係者巡り感想by地獄の書記官

作者: 天城冴

中秋の名月もすぎ、ジコウ党総裁選で右往左往のニホン国。総裁候補になぜか公共放送まで会見を開く中、地獄の書記官まで取材訪問に…

新型肺炎ウイルスがいまだ勢力を保ち、緊急事態宣言中の最中、古来?の伝統行事、美しく輝く秋の満月を眺めるという口実で団子や旬の果物、果ては酒を楽しむという、お月見をなんとか無事終えたニホン国民。しかし、彼らが避けては通れないあの世の入り口、賽の河原では、風雅とは縁遠い会話がなされていた。

「あー、まだまだ死者は多そうですねえ、奪衣婆さん」

「まあ、そうだねえ、結構来てるよ、書記官さん。新型肺炎ウイルスで。感染者が減少とかいってけど、聞いた話じゃ3000ぐらいしかPCR検査してないんだって、首都でもさ。まあ、それで感染者1000人以下とかになりましたって言われてもねえ」

「陽性率とかだとまだ高そうですしねえ。おそらく宣言解除のためでしょうね、総裁選とか選挙とかあるし」

「今の総裁はガースさんか、あのおっさんから変わるとなると、少しは減るのかね、死者も。ま、今総裁降りたってガースさんの余罪てんこ盛りだけど、地獄の刑期最長記録を狙ってるのでもなければ、早めに足を洗った方がいいよねえ」

「ガースさんに関しては、ちょっとはいいかもしれませんが、死者が減る、特に地獄行きが減少は無理そうですよ、奪衣婆さん。後釜の総裁候補さんたちのとこに、ちょこっと顔出ししてきたんですが、皆さん、なんといいましょうかねえ」

「あー、何、総裁になったら須らく書記官さんにつきまとわれ、もとい監視されるってわけ?ニホン国の亡者の増減、生前の罪の有無とか、確かに無関係じゃないけどさ。いずれ総理になるとはいっても一政党の総裁。総理になるとしても民主主義国のトップにそれはやりすぎじゃ」

「いやー、近頃のジコウ党についてはそうとも言い切れないんですよねえ。なにしろ公共放送とかいってるINUHKが一政党のトップを決める政策会見とか放送しちゃうんですから。もうジコウ党王国というか、隠れ独裁というか、1984だかを軽くこえてるというか、トクガワとかよりある意味ひどい状況ですから、多少の監視は必要ということで。本来政権の監視役であるはずのマスメディアが機能してませんし。新聞各社、とくに黄泉瓜新聞とか三径新聞などは総裁選一色でウイルス対策だの、国外の政変だの、値上げにインボイス政策などのジコウ党、現政権に不利なことは口をつぐみます、ですから。前からそういった傾向もありますが、アベノ前総理でもうどうしようもないほどになっちゃいましたからねえ。森羅万象不味いことはジコウ党が原因かもという話も」

「あー、新聞社連中とか広告の便通関連の死者とか、ジコウ党のヤバい話をばらそうとして消された議員さんとか秘書さんとか、文書改ざんを悔やんで悩んだ挙句自殺した人もいたっけ。確かに、あのあたりから変な死者増えたような。正確にはモンリとか言うサメ脳総理とか、オオイズミ元総理とかその前あたり?ダケナカとかいうわけわかんないオヤジが出張ってきたからかねえ」

「自殺ってことで地獄行き、もしくは煉獄かと思われたものの、学校での傷害まがいのいじめ、人権無視古代奴隷よりひどいパワハラ、ブラック企業の過酷労働などに耐えきれずの理由なんで本人に責任はナシ、現世ひどすぎだから極楽に変更、等の例が増えましたから、あのあたりから。君主制なしになって為政者の影響も減るかと思われたら、さらにこんがらがりました。そんなわけで有罪、地獄行きか否かなどの判断は浄玻璃鏡だけでなく霊的デジタル化というか液晶画面やらCPUなどにもアクセスすることを検討中でして、で、試しに各人のスマートフォンなどに出没したというわけで」

「あー、ガースさんなら、もう書記官さんに慣れただろうけどさあ、ほかの人はちょっと、ぶっ倒れたりしたんじゃない」

「倒れられはしませんが、あの元外務大臣だか、ワクチン担当のあの人は、挨拶もそこそこにいきなりブロックされまして。いや、気に入らない意見は耳を貸さない、すべてブロックのパワハラ体質って本当だったんですねえ」

「ああ、あの人か。振り回されて亡くなった人もいるからねえ。お父さんが偉大過ぎて、すごいことをやりたいと思いつつ滑るアレな人なんだろうね。脱原発と言ったり、いわなかったり」

「どうも思い込んだら周りが全くみえない、見ようともしない人らしいですからねえ。イシババさん他が推薦してるみたいですけど、経済界などの人気はいま一つみたいですねえ」

「脱原発だから?」

「それもありますけど、他人の意見をまともに聞かないことにかけてはアベノさんやらガースさんに勝るとも劣らずというか。ワクチン云々の発言もあるとおり、根拠のないことをつい言っちゃったりするみたいですねえ。周りの人たちは大変でしょうし」

「一番に名を挙げたおとなしそうなオッサンいたけど、あそこにも出たの?」

「あー、重鎮だのアベノさんたちにおもねる点では同じでしたねえ、国民のためにっていう覇気も熱意もなさそうだし。ある意味ガースさんと同じ、今回逃したら総裁になれないってことだけは気にしていて必死になっているだけみたいですねえ。無難な人でしょうが、特色なしというか。ま、部下の人には言いたい放題らしいですねえ、私も秘書さんに間違えられそうになりまして」

「まさか地獄の書記官とか、名乗ったわけ?」

「もちろん、名乗るのは礼儀ですから。そしたら途端に無視されまして。何を言っても話しかけても、完全にスルーです。あの人が総裁になったらつまりませんねえ、反応が薄くて。罪悪感やうしろめたさなどを感じていただけた方が人間味あふれていいんですけど」

「あー、世襲の坊ちゃんロボットみたいな、感じかねえ。都合の悪いことは存在しないことにして、シャットアウトなかったことにしますか。言葉とかうわっ滑りで、当たり障りがないけど、本当に市民が困っているようなことには動かない。それじゃ、ガースさんたちとあんまり変わらない、下手すると悪くなるかもか。ところであの女性たちはどうなのさ」

「アベノ前総理ご推薦のあの人のところに行きましたが、ある意味、味がありすぎましてねえ。なんというか、ネトキョクウに好かれるよう過激な発言をしまくった挙句、内外から極右認定されちゃったらしく、不機嫌そのもの。怖―い顔で全否定されました、私の存在」

「いったい何したの、書記官さん」

「応援ツィッターを印刷してご満悦のところに、顔を出したらギャーとか騒がれて、マトモに話もできませんで」

「いきなり、スマホから登場したら驚くよ、それは」

「“総裁候補者の皆様のところにご挨拶に伺ってます、ところで応援メッセージですが、結構支離滅裂ですね。ニホン国憲法が悪いとか主張されてる貴女を攻撃する人はハンニチって全く逆ですねえ。ニホン国の根幹をなす憲法否定のほうがよほどハンニチですねえ。憲法がそんなに嫌ならニホン国から出るなり、革命おこせばいいのでは”って至極真っ当な感想を言いましたら、いきなりハンニチだのと喚きだされまして」

「まあ、書記官さんのいってることのほうが理屈にはあってるとは思うけどさ。だいたいニホン国憲法にのっとって国会議員になり、総理決めてんだから、憲法が悪い気に食わないってのはないよね。それだったら、草の根で改正運動すればって感じだよね。革命ってのは最終手段かもしれないけど、そのほうが筋は通ってるし。だいたい議員は公務員だから憲法順守が当たり前なんだけどね。だけど、あのアベノさんのご推薦だからねえ。まともな理屈が通じる人じゃないでしょ。まあ、欧米のあの世でも危険思想擁護の危ない女、エバ・ブラウンとか、イメルダだとかの再来だ、とか言われるし。あんなのが出てくるなんてやはりニホン国はおかしい、緊急事態宣言とか言いつつ国際大運動大会やった〇チガイの国だ!今度こそ首都に原爆投下、再占領だ!なんて物騒な話まで出てるよ。あの人がなったら、今度こそヤバいんじゃないニホン、そうなったら地獄に来る人が増えそうで嫌だねえ。しかもしょーもない恨み節聞かされそうだわ、俺たちは騙された、なんていう老人とかおっさんとか。マスコミとかSNSの言動を鵜呑みにして、過去の記録とか言動とかの検証もロクにしないでアベノさんとかを支持したり応援したりしてんだから、自業自得なんだけどねえ。しかし、なんでアベノさんはあの人推薦なんだろうね、頭のベクトルが似てるからかねえ」

「どうも、あの“桜を愛でる会”再調査されると逮捕されかねないとか、国際大運動大会の使途不明金とか、便通とかダケナカさんとこのダソナに相場よりかなり高い払って仕事を回して儲けさせたとかいろいろ不味いとこがあるようですよ。あの人だけはその辺は一切触れてませんし、調査も蒸し返しもしないってことで、アベノさんが強烈に押しているらしく、アトウダさんもそれに乗っているのではとの話も。その件をアベノさんやらアトウダさんにも聞いてみようと思って」

「行ったんかい、あの二人のとこ」

「もちろんです。きちんと調査しなければ判断はできませんからね。しかしながら、やはり取材拒否です。アベノさんは液晶画面でご挨拶しようとした途端、スマートフォンを放り投げ秘書さんらしき人が電源を切りました。他からご挨拶しようとしたんですが、直接ご本人とつながらないので諦めました。SNSなどの発信は秘書さんらを通してというのは、あながち嘘でもなかったんですねえ」

「アトウダのおっさんは?」

「桜を愛でるなんて関係ないだろう!とかアフガンがー!ウイルスは収束!などと喚かれまして、誠実な対応が望めないため中止しました。酔っぱらっていらっしゃるのかとおもいきや、どうもあの方普段から独りよがりといいますか、自分だけが納得できるが全く理屈が通らないお話の仕方をされる方のようですし」

「あのおっさんの言うことを書き出して並べてみたら、言動滅茶苦茶で筋が通らないことが大半だって、すぐわかりそうなもんだけどねえ。周りの記者とかが突っ込まないで、個性だーとかいってるから、さらに図にのるんだろうよ」

「ああ、太鼓持ちの部下にヨイショされる大会社の重役みたいなアレですか。それで経営が傾いて合併先で即座に追い出されるという」

「その手の連中もたまにきてしょーもない愚痴いうからねえ」

「そういう方々は閻魔様に滾々とお説教されてますけどね。ときには一年以上かかりますが、どうして、そういう論理的批判能力がないというか、マスメディアや政府の言うことや周りのオベッカを信じちゃう人が多いんでしょうね、ニホン国は、特に男性」

「いまだ残る男尊女卑とか、科学的証拠とか論理よりも大声を出す方に従うのがよしとする社会構造上の問題とか、教科書鵜呑み万歳で批判精神ゼロの教育方針とか、断定的に言った方がいいんだと思わせるマスコミの煽りとかいろいろあるんだろうけどね。さっき言った国民に直に関係ない一政党のトップ決めを税金で運営してるINUHKがよろこんで放映しちゃうっていう現政権すり寄りマスコミの態度も問題だろうし。この間、こっちに来かけた若い子がいってたけど」

「その通りですねえ。調べてみるとマスメディア関係者の罪も軽くはないですからねえ。黄泉瓜新聞とか三径新聞の政治記者さんとかガースさんとかと罪の重さを競いそうですよ。あ、地獄に来かけたって若い方は助かったんですか」

「閻魔様特例措置ってやつ?本来はまだ来ないはず、現政権の不備でウイルスで死にそうになったなかで、ネトキョクウとか現政権びいきでないやつに限り蘇りを認めてもいいってさ、本人希望で。なぜかアベノさんとか現政権びいきは戻りたがらないんだけどね」

「現実逃避で政権に過度にのめりこんでたって人も多いらしいですからね、国と自分を一体化することで自信を取り戻したっていう。現世に戻っても夢も希望もないんでしょう、本当は。高齢者も少なくないし、将来的不安ってやつですかね。望んで刑務所に行きたいって方もいるらしいし」

「現世からも死んで逃げたい、ついては異世界転生して今度こそウハウハな人生をっていう、いわゆるラノベ小説信じ込んだ奴も結構いるしねえ。死んだ方が希望があるとか言われて、最初はびっくりしたけど、そういうのがあんまり多いんで慣れちゃったよ、もう」

「そうですねえ、異世界転生どころか閻魔様に長々とお説教された挙句、地獄で下働き、亡者の世話からやり直して魂を叩き直されるってのが定番なんですけどね、実際は。異界に希望を持つなんて、どうしようもなくなってますねえ、ニホン国は」

「ジコウ党が今の路線でやり続ける、政権交代とかもないなら、そうなんだろうねえ。って、ところで、最後の女性候補は?」

「あ、そういえば、まだです。ギリギリで立候補したんで」

「え、早く行きなよ、総裁選終わっちゃうよ」

「そうですね、ついでにアメリカに行くとかいうガースさんとこにも顔を出さないと、最後のご挨拶に」

「それは、別にいいんじゃないの」

「そうですね、間もなく地獄で会えるかもしれませんし。では、さっそくいってきますね、奪衣婆さん」

「行ってらっしゃい、書記官さん。はあ、どうせ、最後の候補も似たようなもんかもしれないけどね、瀕死の子たちも言ってたけど。さてニホン国はどうするんだかねえ」

ニホン国の情勢によって仕事、すなわち死者の受け入れ他が増減する奪衣婆。しかし彼女にも地獄の書記官にも仕事の量や選り好みなどそうそうはできないのだ。

「まあ、ニホン国民だって、トップを直接決められないっていうからねえ、私らとおなじかねえ。しかし民主主義とかいってるわりには不自由だねえ、その辺、誰も不思議に思わないのかね。今度、死にかけの若い子が来たら聞いてみるかね。どうもおっさん達は死んでも頭固すぎてロクな返事が返ってこないようだし」

と水面下で増え続ける死者に対応しながら考える奪衣婆であった。


どこぞの国では与党の総裁候補記者会見が公共放送でやるという摩訶不思議なことになってますが、民主主義とか多党制とか、どこかに置き忘れているんでしょうか。非常事態に国際スポーツイベント開催の愚について、感動したんで開催はよかったんですといいわけじみた番組を制作するぐらいですから、仕方ないんですかねえ。放送料金取られるのは納得いかない気がしないでもありませんが。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ