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4-6.魔物退治1

「お前達、ランクは何だ?」


とある街の冒険者ギルドに入った直後、知らない男に声を掛けられた。

街では泊まるだけのことも多いけど情報収集の為に時々ギルドに寄るようにしている。

声を掛けて来たのは30代程の鎧を付けたゴツい男だ。

山で出会えば冒険者ではなく山賊だと思ってしまうような顔付きをしている。


「ランクは?」


相手の意図がわからず戸惑う私達に苛立ったのか、2度目の質問は声音が低くなった。


「Aです」「Cです」「Dです」

ルッカ、私、ヤマトが順に答える。少し前の街で昇級テストを受けたところだった。


「私は冒険者ではない」


視線を受けてヴァルドも言う。

彼女が一番チートな存在なんですけどね。


「バランス悪いなお前達……まぁいい。Aが1人いたのは朗報だ。しかも魔法使いか」


そう言いながら私達を席に座るように促す。


「急で悪いんだが今人を掻き集めててな。魔物退治に参加してくれないか」


ゲラルドと名乗った男はBランクの剣士だった。


詳しく説明を聞くと、この街の南方に赤大蠍の巣が出来たのでそれを退治する為の人を集めているという。

赤大蠍とはその名の通り赤くて巨大なサソリのことだ。

体調は大きいものだと10mにもなるらしい。怖いわ。

巣から近い場所に街道があるので即刻退治する必要があるのだが、赤大蠍の巣の近くはゴブリンも多数出るという。

ゴブリンを餌にしようとして赤大蠍が来てしまった可能性が高いのでゴブリンもサソリもこの機会に一掃してくれという依頼があったらしい。


「それって依頼主は誰なんですか?」


「街の代表者だ」


「領主には?」


「知らせてある。だが国境付近が今はごたついていて騎士団をこっちに割ける状態じゃねぇんだと」


ゲラルドが苦い顔をしている。

危険な仕事なのに報奨金があまり良くないので人を集めるのに苦戦しているらしい。


「お前が入ってくれるなら戦力的には足りるようになるんだが……」


視線を受けてルッカがちらりと私を見たので頷きを返した。


「参加します」


「本当か!?助かる」


困った時は助け合うのが一番よね。

赤大蠍は火には強いが、物理攻撃と氷の魔法は有効らしい。

ルッカが入れば戦闘の危険度が下がるんじゃないかな。


「サソリはB以上の冒険者で当たるから、他の奴はゴブリン退治に当たってくれ」


「わかりました」


「既に依頼から日数が経過しててな。戦力が揃ったから明日にでも討伐に行きたいんだが……」


「構いません」


「悪いな。頼む」


ルッカの返事にゲラルドが軽く笑った。

笑顔も山賊の親方ちっくだった。いい人だけど。



「ちょっと寄り道になるけどごめんね」


「別に構わない。人がどのように蠍を退治をするのか見学させて貰おう」


「みんなが危なかったら助けてくれる?」


「無論だ」


良かった。それなら別行動でも安心出来る。


「ルッカ気を付けてね」


「ミオリもね。慣れてるからって油断しないように」


明日の出陣に向けての準備をしてその日は終わった。



◇◇


翌朝、街の入り口に冒険者が集まっていた。

赤大蠍班がルッカとヴァルドを入れた8名と、ゴブリン班は私とヤマトを入れて6名だ。

向こうよりランクが低いだけあってこちらは若者率が高い。


「サソリの巣から遠くない所にゴブリンが巣にしていると思われる洞穴があるらしい。そこを叩きに行くぞ」


こちらの指揮を取るのはバティカさんという20代半ばの紺色の髪をした青年だ。

年長という理由だけで指揮を任されたらしい。頑張れ。


「ゴブリンだろ?こんだけいれば楽勝じゃん」


「だなー」


およしなさい。誰だそんなわかりやすいフラグ立てるのは……死にたいのか。

言ったのは10代半ばの茶髪の少年と赤毛の少年だった。

茶髪がカロルで赤毛がディオという名前らしい。


「数がわからないし油断は禁物だよ」


笑顔で話し掛けるとムッとしたような顔をされた。

ゴブリン班には10代半ばの少女もいる。

赤紫の髪をボブにした大きなタレ目が可愛い子だ。

マリエルと名乗っていた。

ちなみに全員剣を腰に下げている。

私以外は魔法も多少使えるそうだ。


先程のフラグに不安を感じたまま出発となった。

1時間ほど歩いた後、サソリ班と別れてさらに進む。


「俺あいつらのせいで嫌な予感がするんだけど……」


「そうだね……私もだよ」


手練といえる人はサソリ班にしかいない。

一見危険が少なく見えるこちらは経験の浅い人しかいないので不測の事態が起きるとヤバいのだ。


「ゴブリンじゃない魔物が出るに銀貨1枚賭けるわ」


「俺も出ると思うから賭けにならねーじゃん」


「じゃあ種類で賭ける?私オーガ」


「それヤバくないか?じゃ俺は獣タイプ系で」


「種類多くてズルいよ」


「あのぉ……」


私とヤマトが話しながら歩いているとマリエルが遠慮がちに話し掛けて来た。


「すいません……ゴブリン以外にも何か出ると考えてるんですか?」


マリエルは不思議そうな顔で私達を見ている。


「うん、何かそんな気がして」


「油断してる奴がいる時ほど不測の事態が起きたりするからな」


「そうなんですか……」


「慌てない、勝手に逃げ出さない、変に張り切らない。この3つを守ってくれるとヤバい時も生存率は上がるよ」


フラグを立てないキャラでいてね。


「わかりました」


マリエルは笑顔で頷いた。

その後暫く歩き続けて、洞穴の前に到着した。


さぁ、ゴブリンだけかな?


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