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小話 負けず嫌い2


ヤマトに負けた。


私が思うより早く初の敗北はやって来た。

想像していたよりショックで言葉が出て来なくて、背中を向けて逃げてしまった。

努力した相手を認められないなんて、なんてかっこ悪いの。

……そんなんだから負けるんだ。


駆け抜けた先にあった木に縋るように手と額を付けた。

悔しい、辛い……なんか違うな。

何だろうこの感情。

悔しいのは悔しいんだけど喪失感みたいなものを感じる。


「ミオリ」


呼ばれて振り返るとルッカが手を広げた。


「木の代わりにはなるよ」


「……うぅっ!」


ルッカの胸に飛び込むと涙が溢れた。

やっぱり悔しいぃー!

私だって頑張ってるのにこんな短期間で負けるなんて!


「悔しいのはわかるけどヤマトも頑張ってたからね。ちゃんと認めてあげないと」


「……わかってる」


ぐすぐすと泣く私を落ち着かせるようにぽんぽんと背中をさすって頭を撫でてくれる。


少し落ち着いて来るとわかって来た。

一回負けたことが辛いんじゃなくて、そのうちヤマトが私よりずっと強くなっていくことが寂しいんだ……

私にとって限界に近い場所が、ヤマトにはまだ成長途中なのだ。

肩を並べていられるのは思ってるより短い期間だとわかってしまった。


「そのうち『ミオリ?いたなぁそんな雑魚』って言われる日が来るんだわ……」


私の台詞にルッカが吹き出す。


「ヤマトそんな奴じゃないでしょ」


「知ってるけどそのくらい差が広がると思うと悲しい……」


何で私はこんな弱いのか……体質も性別も変えられないんだから仕方ないのはわかるんだけどさ。


「俺はミオリより強いけどずっと一緒にやって来たでしょ?ヤマトとだって変わらず友達でいられると思うよ」


「……そうだね」


ちゃんと負けを認めないとな。


「勝てるところ無くなってしまった……」


「まだ粗いから暫くはミオリ勝てるよ。時々は負けるかも知れないけど」


そう?それならまだ頑張ろう。


「あとさ、ヤマトがミオリより強くなったってミオリが何も勝ってないわけじゃないからね」


「……?」


「ミオリは他人のこと美化して見過ぎ。みんな駄目なところも持ってるよ」


ルッカは少し身体を離して私を見ると優しい目で笑う。


「優しくて可愛いところも、素直で人の良いところを見つける目もミオリの魅力のうちだけど」


……嬉しいけど恥ずかしいな。


「ありがとう」


「もっと自信持ってね」


「……うん」


さぁヤマトに謝りに行こう。


初めての敗北は苦くて寂しい味だった。


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