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小話 ヘアカット

休みの日の朝、ふと伸び過ぎている髪を切ろうと思い立った。

もう腰に届きそうだからね。

洗うのも大変だしいい加減重たいわ。

小さい村には美容室というものがないんだよね。

女性は基本長いし男性も長い人はいる文化なので散髪専門の人が必要ないんだろうな。

人族の街だと理髪店があったけど。

森の人の場合は男性で髪が短い人は家族が切ったりするらしい。

まぁ私も長いから自分で切れると思う。


いっそ鎖骨くらいまでいってしまおうかと鋏を握って鏡に向かっていると、起きて来たルッカが驚いた顔でストップを掛けた。


「ちょっ!何してるの?」


「髪切ろうと思って」


「え、綺麗なのに何で切るの?」


「いい加減長くて洗うのも大変だし」


「勿体ないよ。洗うのが面倒なだけなら俺洗うけど」


「いや、それは遠慮するけど……」


どこぞの令嬢でもなく怪我人でもないのに自分の髪を自分で洗わないって私の中ではあり得ないな。

切るの反対なのかな?


「まぁ生きてたらまた伸びるから」


「前向きに聞こえるけどそういう問題かなぁ……」


「この辺りまでだから」


「短くない?」


「じゃあこの辺り」


ちょっと譲歩して脇あたりまで下げてみる。

まだ不満そうだな。


「もう少し下がいい」


「うーん、じゃあこの辺り?」


胸の下くらいまで下げてみると納得したみたいだ。

私はもうちょっと切りたかったけどね。

シャキシャキと気持ちいい音を立てて髪に鋏を入れる様子をルッカがじっと見ている。


……疑われてるのかな。言った通りの長さにするよ。


腰から胸の下だから、わりと長めの髪が減って少し軽くなったかも。


「あんまり変わった感じはしないね」


そりゃね。超ロングがロングになっただけだからね。


「許してくれるならもっと切りたいけど」


「駄目。綺麗なんだからそれより短くしないで欲しい」


そうかなぁ?ただの黒い髪だよ。

綺麗だと思ってくれてるのは嬉しいけど。


「ルッカの金色の髪とか、村の人のきらきらした髪の方が綺麗だと思うけどな。ルッカも伸ばしてみる?」


その顔ならきっとロングも似合うと思うわ。


「俺はいいや。短い方が楽だし」


ええ……それわかってるんなら何故私にはロングを推奨するんだ。


「ミオリの黒狼みたいな髪が好きなんだ」


不満が顔に出たらしくルッカが困ったように笑う。

黒狼……烏の濡羽色みたいな意味だろうか。

褒めてるのよね?

たまに異文化を感じるわ。



◇◇


昼になり紙芝居の絵を一緒に描いて貰う為にヤマトがやって来た。


「あれ、ミオリ髪切った?」


「ああ、うん。よくわかったね」


長さ変わっただけで見た目殆ど変わってないのに。


「20cmは切ってるだろ?わかるよ」


ヤマトは将来彼女の変化にちゃんと気付く良い彼氏になりそうだね。


「ほんとはもっと切ろうかと思ってたんだけどね」


「勿体ないって言われただろ?ミオリの髪綺麗だし」


「……ありがと」


ルッカ以外の異性にそんなこと言われたの初めてだからなんか照れるわ。


「ヤマトは髪どうしてるの?」


「ナタリーさんが切ってくれた」


オリヴァーさんも短いもんね。慣れてるんだろうな。

出会った頃はカラーで茶色だったヤマトの髪は伸びて切ったので今は黒に戻っている。


「ヤマトも黒の方がかっこいいと思うよ」


「……どうも」


何か黙ってしまったから茶色気に入ってたのかな?

褒め方間違えたかしら。



後日リリアに聞いてみたところ、女性の髪を魔物に例える文化なんかないと言っていた。

ルッカ特有の感性だったらしい。

いいけどね。


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