小話 朝ひとこま2
畜舎の清掃をしながら私は一人で考えていた。
慌ただしく家を出る原因となる朝からの営みを回避するにはどうしたらいいんだろうか……。
夫の顔と声が良過ぎて夫婦の営みを断れないとか誰にも言えない。
スーパーうざい惚気だと思われるわ。
鼻メガネとかどうだろう?
ああ、ここに◯ンキがあれば!
……外すだけで元通りだから全く解決にならないか。
あの目がヤバいんだよね。
耳元で囁かれると背中がぞくってするし。
ルッカの見た目をどうにかするのは難しそうだから、やっぱり先に起きて捕まる前にさっと支度を始めるのが一番な気がする。
前夜の疲れがあって早起きもなかなか大変なんだけどさ。
うん、明日は早起き頑張る!
◇◇
よーし、先に起きれた!
眠い!まだ眠いけど!
油断すると再び夢の世界へ行ってしまいそうだけど何とか起きたぞ。
ルッカはまだ寝ているので抜け出すなら今だ。
寝顔が可愛いな……色気もあるのに可愛いって何なの……
…………はっ!意識飛び掛けた!
駄目だ!もう起きる!
そっとベッドを抜け出して服を着た。
ふっ今日は私の勝ちね。
朝ご飯を食べて余裕を持って家を出てやるわ!
意気揚々と部屋を出ようとすると呼び止められた。
「ミオリ……おはようのキスは?」
「今から朝ご飯です」
「キスしてから行って……」
ちょっと髪に寝癖が付いてて可愛い。
一回だけね、と近寄って上から軽いキスをしようとすると、ぐるっと視界が一瞬回った。
とさっと身体に軽い衝撃を受けてびっくりする私にルッカが覆い被さった状態で笑みを浮かべる。
「逃げようとしてたでしょ」
どこも掴まれた気がしなかったけど今のどうやったの?
「えっと……そういうわけでは」
朝ご飯食べて時間に余裕を持って行動しようとしただけですよ。
……まぁ朝の営みからは逃げようとしてたかも知れないけど。
「寝室から出れてないからミオリの負けだね」
えぇ……狡くない?
次から声掛けられても無視するぞ。
「不満そうだね」
私の頬から首すじをルッカの指が撫でていく。
こういう人を濃艶って言うのかな。色香が凄いわ。
もう朝ですよ。夜の帝王みたいな顔やめようか。
「今朝はやめよう!時間無くなっ……ちょっと待っ…!」
結局時間が無くなって、いつものような朝になった。
……次こそは勝ちたいと思います。




