小話 絵を描こう
ヴァルドとの約束を果たす為、私は早速街でスケッチブックと芯が柔らかめの鉛筆を買った。
休憩中にヴァルドを写生しようと思う。
「……難しいな」
知ってたけど私にはあまり画力が無い。
「オタクなのに絵は下手だな」
後ろから覗いたヤマトが楽しげに笑う。
「オタク全員が絵を描けるわけじゃ無いから!」
見る専門だって沢山いるから!
「ちょっと貸して」
ヤマトは鉛筆を持つと私の下手な絵の上に描き足していく。
「足がもうちょい大きいのと、頭はもうちょっと小さいだろ」
おお、下手な絵がバランス良くなって来た。
「ヤマト上手だね」
「中学まで習ってたからな」
「そうなんだ。ちょっと別のアングルも描きたいんだけど」
スケッチブックをめくって説明すると丸で大体の身体のバランスを描いてくれた。
「凄いなぁ。絵本作る時また相談していい?」
「いいよ。絵本作りたいのか?」
「村の子供達にもヴァルドを好きになって欲しくて」
私がいなくなった後も歓迎してくれるような村にしたいと話すとヤマトは微笑んだ。
「ミオリのそういうとこ好きだわ」
「……どうも」
急にどうしたんだ。びっくりするじゃないか。
「俺もヴァルドに世話になってるし協力するよ」
「ありがとう」
3枚目の絵を指導を貰いながら描いていると戻って来たルッカが私の肩に手を置いた。
「距離が近い」
……すいません。目が笑ってないから怖いわ。
少し移動してヤマトと距離を開ける。
そういやルッカは絵は上手いのかな?
試しにヴァルドを描いて貰うと私と大差ない腕前が判明した。
「何でも出来る人じゃないんだね。安心したわ」
「俺も初めて勝てる部分見つけて嬉しい……」
「……2人とも妙に嬉しそうなのが嫌なんだけど」
嬉しそうな私達にルッカが拗ねたような顔をする。可愛い。
顔面力が振り切れてるんだから絵くらい下手でもいいんだよ。
2人の意外な一面を見つけて面白かったわ。
私は練習してもう少しマシな絵を描けるようになりたいと思います。




