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モブ顔女子高生、異世界で何とか生きていく  作者: ソメイヨシコ
三章 新婚、後輩、ドラゴン
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3-15.お使い達成

片道6日程掛けて、ようやく目的地の神殿に到着した。

思ってたより時間かかったな。

ヴァルドはのんびり飛ぶのが好きなんだな。


神殿って聞くとゲームのやつか、ヨーロッパの大聖堂みたいな壮大なのをイメージしてたせいで思ってたより小さめだった。

ちょっとした体育館くらいの大きさかな。

丈夫さを重視した感じの重厚感ある建物だ。

壁は薄茶の煉瓦で厚みがありそう。小さめの窓が並び、屋根は黒。派手さが全然ない。


「思ってたより小さい……世界遺産の大聖堂みたいなのイメージしてた」


「イメージのスケールがでか過ぎるだろ。世界遺産の大聖堂なんか何百年も掛けて作られてたりするぞ」


「この世界じゃそんな悠長に建物作れないか」


どこに世界樹があるのかな。

外側に普通の木はあるけれど、それらしい木は見当たらないな。


「木は中庭だ」


私の表情を読み取ったヴァルドが説明してくれる。


「ヴァルドここ知ってるんですか?」


「まぁな」


そう言ってそのままスタスタと神殿へと歩き出す。

ヴァルドが知ってたのは意外だったけど、神殿にもオリヴァーさんから連絡は行っている筈だ。

入り口で薄灰色のローブを着た神官の青年にヴァルドが通りすがりに声を掛ける。


「ローマンはいるか」


「ローマン……?ええと……カーヴェル様でしたら中にいらっしゃいますが……」


「あいつそんな上の立場になったのか」


なんか偉い人を呼び捨てにしたらしい。青年がとても戸惑っている。


「いるなら入るぞ」


「えっ!ご、ご案内します」


「知っているから必要ない。この者達は森からの使いだ」


状況が飲み込めず動転している青年を置いてヴァルドはそのまま中へ歩き出す。

なんかすいません。青年にぺこりと頭を下げてヴァルドの後に続く。

神殿の中は外側のどっしりした見た目と違い、白と青の装飾が施された美しい空間だった。

高い天井の身廊を抜けると主祭壇のある大広間に到着した。

中央にいた40代くらいの神官がヴァルドを見て驚いた顔をしている。


「久しいなローマン。枝を貰いに来たぞ」


「……ヴァルド様……ご無沙汰しております」


恭しく礼をした相手にヴァルドは面白くなさそうな顔をする。


「堅苦しいのは必要ない。それより枝を寄越せ。お前達が出し渋っているせいでここに2人も気の毒な異界からの落ち人がいるぞ」


「出し渋っているわけではありません!真実の依頼と虚偽の依頼を選別するのに時間がかかるのです!」


声のトーンを上げてからローマンさんは一度溜め息をついて困ったように微笑んだ。


「久々だというのに本当に貴女はお変わりがない」


「お前は堅苦しくなったな。10年ぶりくらいか?」


「……20年ですよ。20代だった若造がそれなりの役職を貰う程には時が経ちました」


「そうか」


「そちらの方々は渡り人ですか」


視線を受けて私とヤマトは頭を下げた。

日本人だからすぐお辞儀しちゃう癖あるよね。


「ウォルズ国の森からの使いだ」


「話は聞いております。遠路遥々お疲れ様です」


ローマンさんは細い廊下を通って私達を中庭に案内してくれた。

中庭の中央にその木はあった。

高さは5〜6メートル程度だろうか。森で見た木の方が大きかった。

幹もひと抱え程度の太さだ。


「ここに植わって三百年ですが、この大きさなのです。虚偽も多く混ざっている依頼の全てに枝を送っていては瞬く間に刈り尽くしまうのです」


時間が掛かっていたのには理由があったんだな。


「この枝は刈っても枯れないんですか?」


帰りも時間かかるから枯れたら困るな。


「神木なので枯れません。魔素に異常がある場所に植えて貰えれば根を張りその力を発揮することでしょう」


それは凄いな。さすが世界樹。

ここにあるのは分身で、本体は神様の世界にあるらしい。


高枝切り鋏的な物で切るのかと思っていたらローマンさんが手を出して木を見上げると枝が一つゆっくりと落ちて来た。

何それすごい不思議!

私もやりたいけど怒られそうだからやめておこう。


「どうぞ」


30cm程の葉が付いた枝をローマンさんからルッカが受け取った。


「あとはヴァルドに会った場所に私が植えて来れば問題解決だよね」


「またあの場所に一人で行くつもり?」


「……行ける人私しかいないんだから仕方なくない?」


ルッカからひやりとするような視線を受けて思わず目を逸らしてしまう。

怖いわー。


「私が送ってやる。心配するな」


その様子を見たヴァルドが笑いながら有り難いことを言ってくれた。

なんでそんなに優しいの。

思わずぎゅうっとヴァルドに抱き付く。


「ヴァルド大好き!」


「そうか」


ヴァルドは楽しげに笑っている。

絶対あの約束守るわ!ドラゴン大歓迎の村にして見せるからね!


「今も人に寄り添っておられるようで安心しました」


その様子を見たローマンさんが微笑んで言った。


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