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モブ顔女子高生、異世界で何とか生きていく  作者: ソメイヨシコ
三章 新婚、後輩、ドラゴン
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3-12.世界樹を求めて

「斬り付ける瞬間に飛んでくる方向を予測してさっと躱すんだよ」


グレゴさんが剣を持ちながら説明してくれる。


「こう斬ると刃の角度がこうだから返り血はこっちに飛びやすい。だから避ける方向はこっち。こう斬った時はこっちに避ける」


ふむ、なるほど。出来る気が全くしない。


「それ私に出来そうですか?」


そもそもグレゴさんと私では身体能力が違い過ぎる。


「たぶん無理だろうなぁ」


ですよね。


「この作業着、可愛いですね」


仕事で新しく支給された作業着は膝丈のパーカーワンピースだった。胸の辺りで色が切り替わっていて可愛い。


「血浴びても洗えばいけるように全部黒にする予定だったんだがな。嫁がミオリに着せるなら絶対こっちにしろって言うから」


今度サーラさんに会ったらしっかりお礼を言おう。

血が染み込んだ作業着を着続けなくて済んだのは奥様のおかげらしい。

返り血染み込ませ続けるってどんな呪いのアイテムなのそれ。


「あんまり返り血浴びるようなことがないといいんですけどねぇ」


「そうだな」


季節は秋になったが、昨年に比べると魔物が襲来する頻度は確実に上がっている。

やっぱり魔素の問題が解決していないからだろう。

羊を守る以外にも私に何か出来ることがあればいいのにな。


そう思っていた矢先、オリヴァーさんのところに朗報が入った。

ウルカニスという国に創造神を崇める神殿があり、そこにはユグドラシル……世界樹の分身となる木が存在しているという。

神の力が宿る木だ。その枝で世界の穴も塞げる可能性がある。

ただ簡単に譲って貰えるような物じゃない為やり取りに難航しているそうだ。


「ヴァルドにお願いがありまして」


その日、私はやって来たヴァルドにそう切り出した。

ヴァルドは月に数度の頻度で気が向いた時に会いに来てくれる。


「何だ。言ってみろ」


「ウルカニスという国に乗せて行って貰えませんか?世界樹の分身がある所です」


ヴァルドは何を言われるのかわかっていたかのような、にやりとした表情を浮かべている。


「ヴァルドの翼なら数日で行けると思うんですが、嫌だったら諦めます」


「構わんぞ」


え、ほんとに?


「いいんですか?」


「構わない。ミオリとヤマトなら乗せてやろう」


……なんでヤマト?


「私はあいつのいじらしい部分が可愛くて気に入っている」


「はあ……ルッカはダメですか?」


「置いて行けと言いたいがそれだとあいつは怒るだろうから仕方ないな。お前達3人なら乗せて行ってやろう」


「別にヤマトは要らないんですが……」


「酷いこと言うな。連れて行ってやれ」


酷いの?他所の国に交渉に行くのに付き合わせるのも何かと思うんだけど。


「私の気が変わらないうちに出るといい」


「あ、はい!ありがとうございます!」


ダメ元でも言ってみるもんだな。

私はグレゴさんに事情を説明して暫く休む報告をし、昼過ぎに仕事を切り上げてオリヴァーさんの家に向かった。


「……というわけで交渉に行って来ます」


「それは助かるけれど……乗せて貰えるのはミオリ達だけなんだね?」


「はい。私とルッカとヤマトの三名限定だそうです」


オリヴァーさんがちょっと残念そうにしている。

乗りたかったのかな。


「ヤマトは魔法を数種類覚えたけれどまだ実戦に行ける程ではないよ」


「夕方一緒に訓練してるので知ってます。どうもヴァルドのお気に入りみたいで」


私もなんで連れて行くのかがわからないんだ。


「ドラゴンのお気に入りなら仕方ないね」


オリヴァーさんが苦笑している。

何かと戦闘になってもヴァルドの側にいればヤマトは守ってくれるだろう。たぶん。

今はランニングに行っているらしい。

ここのところ朝昼晩走っているとか。やっぱり努力家だな。

私も頑張らないとすぐ追い付かれそうだ。


「ミオリもいい子だったけど、ヤマトもとってもいい子ね。あなた達の故郷は優しい子が多いのかしらね」


ナタリーさんがお茶を出しながらそう言ってくれた。

自分も含めて褒められると嬉しいようなくすぐったいような気分だな。


「ミオリ達が出掛けてる時は寂しそうだったから今回は一緒みたいで良かったわ」


ナタリーさんがヤマトのお母さんのようだ。

ヴァルドといいヤマトには何か年上の女性に可愛がられる才能があるのかな。

……ほぼ同い年だからわからないわ。


オリヴァーさん達とお茶をしながら話しているとヤマトが帰って来た。

赤い顔で汗をかいているので結構走り込んで来たらしい。


「お疲れさまー」


笑顔で手を振ると何故か眉間に皺を寄せられた。


「……何でいんの?」


「オリヴァーさんと話をしに来たのと、ヤマトを旅に誘いに」


「……どういうこと?」


「説明するけど先に着替えて来たら?冷えるよ」


「ああ、うん」


ヤマトが着替えから戻ると要点をかいつまんで説明した。


「行きたくなかったらヴァルドに断れば大丈夫だけど」


「行く。行きたい」


だけど、の部分と重なるくらい食い気味に返事をしてくれた。


「往復で結構かかるし降りたらゴブリンとか魔物に遭遇する可能性は高いよ」


ゴブリンと聞いてヤマトが苦い顔をする。殺されるとこだったもんね。


「……でも行く」


「大丈夫?無理してない?」


「ドラゴン乗りたいし……ゴブリンにも次は勝つ」


「そっか。じゃあよろしくね。明日の朝出るから今から必要な物用意しに行こう」


「急だな」


「ヴァルドの気が変わらないうちに行かないとだからね。ルッカに説明も今からだし、ヤマトの武器も見て来ないと」


「俺の武器……」


お、厨ニ心がくすぐられる?嬉しそうだな。

私もルッカに剣貰った時は嬉しかったな。名前付けようかと思ったけど流石にやめといた。



いつもはルッカと2人だけど今回はヤマトとヴァルドも一緒だ。これはこれで楽しそうだな。


さぁ世界樹がある国へ出発しよう。


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