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モブ顔女子高生、異世界で何とか生きていく  作者: ソメイヨシコ
三章 新婚、後輩、ドラゴン
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3-7.森の奥へ

小雨が降る朝方の森の中を集団が進む。

調査団のメンバー7名と私とルッカの計9名だ。

撥水性のあるフード付きマントを着ているので雨は問題ないけれど、この先に待つ任務に緊張している。


ここから先はヒグマの生息地ですが、猟友会の皆様は一緒に来れません。自力で頑張りましょう。

武器は剣と爆発物です。


今の私の状況ってそんな感じよね?

ヤバいな……普通に怖いわ。

まだ普通のヒグマなら爆発物で何とかなるかもだけど、狂暴化してて理性ない状態のヒグマがいる可能性が高いですっていうオマケ付きだもの。


「段々と魔素が濃くなって来たな……」


調査団の男性が言う。


「……我々が一緒に行けるのはあと少しです」


私以外の人達の表情が段々と苦しそうになって来ている。隣のルッカも顔色が悪い。そろそろ限界なんだろう。


……どうしよう。

空気読めない感じで申し訳ないけど、全然なんともない!

私だけ何も感じない!

みんなと一緒にこれはキツいな……みたいな顔したい。仲間外れで寂しい。

まぁだから調査に行けるんだけども。


「この辺からは行けそうにないのでお任せします」


ポケットに入れた魔素探知の水晶を見るとオレンジ色に光っている。もっと魔素が強くなると赤色になるらしい。


「ルッカ大丈夫?」


「……頭痛いし気持ち悪いよ」


それは大変だな……早く離れないと。


「もっと離れた所で待っててね」


「嫌。ここで待ってるから、早く帰って来て」


嫌って……。


「余計に具合悪くなるよ」


「ミオリが俺から離れて危ない所に行く方が辛い」


こんな状況できゅんとさせるのやめてくれるかな。


「私はルッカが辛い方が嫌だよ。すぐ帰って来るから休んでてね」


私がそっと頬に触れるとルッカは私をぎゅっと抱き締めた。

調査団の皆様すいません。

新婚なので生暖かい目で許して頂けると助かります。


ルッカも他の人達も体調に異変が出るここで待機するつもりみたいだ。

早く行って戻らないとな。


「じゃあ、行って来ます」


抱擁が終わると私は1人で森の奥へと駆け出した。


手に持つ水晶のオレンジの光が少しずつ強くなっていく。

森で迷ってしまわないように微弱に光る魔力石を一定の間隔で落としながら進む。

この辺りの木はラスタナ村の近くの森より背が高く太い。

ラスタナ村から歩いて2日がアウロラ村、さらにそこから2日歩くとフォンス村へ辿り着く。

ルッカとフォンス村まで行き、調査団と合流して一夜明けたのが今朝だ。


獣の咆哮が聞こえて心臓が跳ね上がった。


思わず立ち止まったけど、どうやら少し離れた所で獣同士が争っているような感じの咆哮が聞こえる。

魔物が縄張り争いをしているのかも知れない。

構わず進むと水晶は淡い赤に変わり出した。

もっと濃い赤は何処だろう。


はっとして木の幹に張り付いた。

巨大な赤目熊が唸りながら通り過ぎて行った。


……うわー!怖いっ!


思えば今まで戦う時ってルッカかグレゴさんが一緒だった。

1人だとこんなに不安だし怖いもんなんだな。

けどずっと優しくしてくれた村の人達に恩返しする時が今なんだ。

魔力がないことにも意味があった。

たまたまかも知れないけどさ。

……よし、行かなくちゃ。


周りの気配に気をつけながら進んでいくと浅い沢があった。

ごろごろと転がる石や倒木、地面から飛び出す木の根が苔に覆われていて幻想的な風景となっている。

この歩きにくそうな場所の奥なのかな。

沢を少し登って行くと水晶の赤が少し強くなる。

進むの大変だぞこれ……。

苔は滑るし大きな岩は踏み越えるのが難しい。

あっと思った時には沢に転んでずぶ濡れになり、あちこちに擦り傷が出来た。


……まぁこの程度で済むなら全然いいよ。


そう思っていたらフラグが立ってしまったのか、獣の唸り声が聞こえた。

茂みからクロジャガーのような獣が姿を現した。

君は初めましての魔物だね。

沢に水飲みに来る動物待ってたのかな?

私は水飲みに来たわけじゃないよ!

ロックオンされちゃってるけども!


グァウッ!!


ひと声鳴いて私へ一気に駆け出す獣。

足場が悪いわー!走れない!

鞄から魔力石を取り出し投げ付ける。


ドンッ!!


鼻先で爆発しても足は止められたけれど逃げる気配は無い。

やっぱり通常の状態では無いらしい。

絶対殺ったるぞ的な異常な視線を感じる。


……じゃあ返り討ちにしてあげるよ。


私も息を大きく吸って気持ちを落ち着ける。

剣を抜いて石を数個手に持った。

群れるタイプじゃなくて良かった。

一匹なら何とか出来る。

吠える獣が再び駆け出した。


バヂィッ!!


激しい電撃音で炸裂する魔力石。

岩を蹴って飛び掛かって来た獣の胴体を薙ぐと、温かい血が飛び散った。

ドシャッと地に落ちた獣を数秒見つめてから、剣をしまって沢登りを再開した。


……こ、こ、怖いわぁーーっ!!


対応出来るくらい逞しくなったけど、何とも思ってないわけないからね!!



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