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モブ顔女子高生、異世界で何とか生きていく  作者: ソメイヨシコ
三章 新婚、後輩、ドラゴン
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別視点 ヤマト

森の中を必死に走っていた。

後ろからはゲギャゲギャと不気味な声を出す気味の悪い生き物が追って来る。

うまく身体が動かなくなり、足がもつれて倒れるとそいつらは俺を囲んで鈍器を振り上げた。


「ーーーっ!!」


声にならない悲鳴と共に飛び起きた。

現実では身体中の痛みと激しい動悸が俺を襲う。

座った状態で身体をくの字に折り曲げて呼吸を整えていると、枕元にある物が目に入った。


丸いフォルムに頭部だけが少し上に伸びた形。つぶらな目と間抜けな笑顔。某ゲームの人気キャラクターのぬいぐるみだ。

昨日ミオリがタオルで作ったと自慢げに持って来た。前に作り方ネットでバズってたよな。


「……。」


ぬいぐるみを手に取ってじっと見ているとその間抜けな笑顔に動悸が治まっていくのを感じた。

よく見ると形はいびつだし、目の位置もちょっとズレている。

ふ、と笑いが漏れる。

男にぬいぐるみ持って来るってどうなんだ。


ミオリはここに来る時いつもうるさい。

けど最近あれは俺の気分を上げようとしてわざとやっていると気が付いた。

普段は誰にもそんな大声で挨拶していない。

怪我で熱を出して自分がしんどい時にも俺のところに可愛い子が来るように手配してくれていた。


……なんでそんな親切にしてくれんの?


俺お前に何もしてないよね。

最初会った時なんて関係ないミオリ相手に怒鳴り散らしたし。喚いてばかりの俺の背中をずっと優しくさすってくれた。

異世界転移の先輩だからって笑うけど、放っておくことだって出来るのに。


掴みかけたのに目の前で消えた夢はまだ胸を痛くするし、先のこと考えると真っ暗に感じてたのに。

ミオリ見てると何とかなるような気がして来るから不思議だな。


あーあ。

ミオリがフリーだったら良かったのにな、とたまに思う。

気を使わず話せて、横にいてくれると安心する。

恋とは少し違う気もするけど、昼飯が楽しみなのも事実なんだ。

イケメンで婚約までしてる恋人がいるんだよなぁ……結婚式ちょっと早くなってもうすぐだって言ってたし。

相手のルッカさんは俺がちょっとミオリ見つめてるだけで勘がいいのか冷たい目でこっち見てるんだよ。

すげぇ怖いんだけど。

取らないよ。てか取れるはずないだろ。

ミオリはそっちが好きなんだから。

俺は友達だよ、友達。


ここに来てからいろんな人に助けて貰っている。

退院したら少しずつ恩返し出来たらいいなと思う。


他の女の子とも話してみたい。

この前はアホみたいに話せなかったから今度こそ。

自分でちゃんと立って、地に足つけて歩いて行くんだ。

支えられてばっかじゃなくて、支えられるようになる為に。


金稼げるようになったら親切な友達に結婚祝いをまず買おう。

幸せそうな笑顔がこの先も続きますようにと感謝を込めて。


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