3-5.新生活
傷が腫れて熱を出して3日も寝込む羽目になった。
狼が何かの菌とか持ってたんだろうな。悔しい。
ルッカは心配して毎晩様子を見に来てくれていた。
ようやく復活したので仕事とお見舞いも今日から再開だ。
「ほんとに悪かったな。今度からはあんま離れないように気を付けるわ」
出勤するとグレゴさんが再び謝ってくれた。
「私が弱いせいなんで気にしないで下さい。あ、でも一つお願いしたいことが」
「何だ?」
「毎回返り血で服が駄目になるんで経費にして貰えませんか」
「………わかった」
ちなみに魔力石も経費にして貰っている。
服代くらい危険手当てと思えば安いよね?
結構前から考えてたんだけど言ってみて良かった。
「高い服代請求されると困るから作業着を検討するわ」
えー……まぁいいか。
動きやすいやつをお願いしますね。
昼休みはいつものように食堂で買った昼食を持って診療所へ顔を出した。
「本日のランチです!ちょっと久しぶり!」
「声のボリューム直せないのか……体調治ったのか?怪我は?」
「熱は下がったし怪我は完治とはいかないけどだいぶマシだよ。ヤマトは?」
「俺もまぁまぁだな。それよりさ」
「うん」
「ミオリが来なかった3日間、何かすげぇ可愛い子が日替わりで昼飯届けに来てくれてたんだけど何あれ……何か手ぇ回した?」
「ふっふっふ。ラナさんに頼んでフリーの女子にお願いして貰ったよ!」
持つべきものは顔の広い素敵な義母さんよね。
「やっぱりお前か!急にこんな状態の時に来られても対応出来ないからな!?」
「弱ってるとこにキュンとしてくれる子もいるかもよ」
「ならねーよ!全部しどろもどろになって終わったわ!自分のコミュ力の低さ痛感しただけだわ!」
「その辺は私のせいじゃないと思うけど」
「わかってるから余計にキツいんだよ!」
ほんとに勘弁して……と両手で顔を覆う。
せっかく出会いを用意したのになぁ。
「じゃあ今度また会えるようにセッティングするよ。誰が一番好印象だった?付いてった方がいい?会話に詰まったらフォローしたげるよ」
「優し過ぎるだろ……やめて。情け無くて泣きそう」
俺にはまだ早いと断られてしまった。
恋の架け橋になるのって難しいんだな。
◇◇
秋というにはまだ早過ぎる時期だけど、とうとう新居が完成した。家具も入って準備は万端だ。
ブルーノさんの勧めで引っ越しも結婚の宴会も早めることになった。
「そろそろ限界だと思うから……。うちの息子貰ってあげてくれるかな」
「……?はい」
よくわからないけど承知しました。
当日はラナさんとナタリーさんが仕立ててくれた民族衣装っぽい赤と白のワンピースを着て、髪を綺麗に結い上げて花を飾り、メイクもして貰った。
うん、素材の普通さのわりには綺麗になったと思う。
「とっても綺麗ねミオリ。ルッカをよろしくね」
ラナさんが美しい笑顔で言ってくれる。
「おめでとうミオリ。2人でいっぱい幸せになってね」
ナタリーさんも優しく微笑んで言ってくれた。
ルッカも赤と白の衣装だ。眩しいわ。尊い。
どこかの貴公子みたいだね。
素材の良さが発揮されまくっている。
タキシードでも軍服でも何でも着こなすと思うわ。
「かっこいいね」
「先に言わないで。ミオリも綺麗だね」
笑顔でお互いを褒め合う。微笑ましく周りの人に見守られているのでちょっと照れるね。
場所はオリヴァーさんの家だ。
本来ならお嫁さん側の実家でやることが多いそうなんだけど、私ここに実家ないからね。
オリヴァーさんとナタリーさんが親のような役目をしてくれた。
「2人で支え合って行くんだよ。おめでとう」
オリヴァーさんからも祝辞を貰った。
挨拶をして、誓約書を書いて、後は食事やお酒を飲んで歓談するだけだ。
結婚式と呼ぶには控えめだけど盛大な式より私は有難い。緊張も最小限で済むからね。
「ミオリ、兄ちゃんをよろしくね!」
「おめでとう!」
「こちらこそよろしくね。ありがとう」
いつもよりちょっとお洒落な衣装のレックとニナもとっても可愛い。
私の弟妹でもあるって思っていいのかな。幸せだ。
みんなにお祝いして貰って隣にはルッカがいて、嬉しくて幸せな気持ちでいっぱいな1日になった。
「これからもよろしくね」
「こちらこそよろしく」
その日から2人で新居に移り住んだ。
……
……
……うん、初夜もあったよ。
初めてだから他と比べるとか出来ないけど、相性は良いと思う。
最初は丁寧に優しくしてくれたけど、初日にしては回数多くない?
もうギブ!もう無理!という抗議は全て無視された。
2日目も服着てる時間の方が短かったかも知れない。
着ると剥ぎ取られるを繰り返して服を諦めた。
スタートダッシュが過ぎると思うのだけど……覚悟しといてってこういうことだったらしい……。
元気だな16歳……私はもう疲れてるよ!
「今日はもう寝る!終わりです!」
「あと一回だけだから」
「それ何回も聞いたから!もう信じない!」
「じゃあと二回」
「正直に言っても駄目!寝ます!」
布団を頭から被って終わりを宣言する。
少しすると疲労から睡魔がやって来てうとうとする……
「……こら布団剥ぐな!ちょっ……!」
「まだ寝ないで」
「寝させてください!」
こんな感じで私達の新婚生活はスタートを切った。
……体力が保たない!




