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モブ顔女子高生、異世界で何とか生きていく  作者: ソメイヨシコ
三章 新婚、後輩、ドラゴン
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3-2.ヤマト

ルッカに持って来て貰った材料でアレを作ります。

まず綺麗な飲料水に砂糖と塩を入れて溶かし、レモンの果汁を入れて混ぜます。終わり。

簡単手作り経口補水液の出来上がりだ。

分量?大体だよ、大体。


「脱水になってるかも知れないから飲んで」


「……どうも」


喚いて一眠りしてから起きたヤマト君は少し大人しくなっていた。


「……酸っぱい」


「気にしないで」


「気になるわ」


あ、初めてちょっと笑った。

落ち着いて来たみたいで良かったね。


「私達これからご飯食べるけど、ヤマト君は食べられそう?何日も食べてなかったんならスープにする?」


「食べる。腹減った……」


「じゃ一緒に食べよう。スープ飲んでからよく噛んでゆっくり食べてね」


ルッカが食堂で買って来てくれたサンドイッチとスープが入ったバスケットを受け取る。

私と大和君は言葉が通じるから、これは今はルッカにいるよね。

翻訳機を外してルッカの首に掛けた。

目が合ってにこっと笑い合う。


「……その人は?」


「ミオリの夫のルッカです」


ぶはっと吹いてしまった。まだ食べてなくて良かった。

驚いた!急に進んでる!


「正確にはまだ婚約者だよ」


「婚約者……?」


え、まじで?みたいな顔するのやめてくれるかな。


「顔面偏差値に差があり過ぎて驚くかも知れないけど事実なの」


私の人生最大の運を使い果たした結果とも言えるかも知れないね。


「そうなんだ」


あっさり頷いてヤマト君が起きあがろうとした。


「ゔっ…!いてぇ……」


押し殺した声で痛みに呻いて再び横になる。


「大丈夫?ベッドごとちょっと起こそうか」


治療に当たった医師によると全身に打撲があるらしい。頭部を腕で守っていたのか特に両腕は打撲に裂傷にと酷い状態だとか。

この世界にはゲームのように何でも治せる便利な魔法の呪文はない。

本人の回復力を高める程度の回復呪文はあるが、衰弱している人にかけると残された体力を怪我の治癒に回してしまう為に使えないそうだ。

致命的な酷い怪我をすれば助からない現実的で残酷な世界だ。


ルッカがベッドマットごとヤマト君の上体を持ち上げるとその下に布団を詰めて身体が斜めになるようにした。


「……すいません」


「怪我人が謝る必要ないよ」


ルッカがカッコいい。惚れないでね。


今日のメニューはとろとろオニオンスープとチキンと野菜をたっぷり挟んだボリュームのあるサンドイッチだ。美味しそう。


「腕キツいなら食べさせようか?」


「……いや、いい」


時々痛そうな顔をしながらもカップのスープをゆっくり飲み始めた。私も食べよ。

ヤマト君はぽつぽつと事情を話してくれた。


森の中を3日間ほど彷徨っていたらしい。

初日は遭難した時のルールに従って空から発見されやすそうな場所に座って待っていたそうだ。

偉いね。速攻で闇雲に歩き回った私とは違うね。

しかし夜になり空に上がった3つの月を見て救助が来ない可能性を感じて絶望感に襲われる。

2日目からは歩き回り、水溜まりの水でなんとか3日目の今日を迎え、そしてゴブリンの集団に遭遇してしまった。

脱水気味と疲労で逃げることも上手く行かず、囲まれてあわや殺されると思ったその時に助けられたそうだ。


「俺はこの春から大学に行く予定だったんだよ……必死に勉強して希望の所に受かったのに……!」


その顔は悔しさを滲ませて辛そうだ。目に少し涙が浮かぶ。

始まった一人暮らしの自室を片付けて昼食を買いにコンビニへ向かっていたらいつの間にか森に来ていたらしい。

コンビニ行くとこだったのだけ同じだね。


「クソな親父に中高一貫の男子校に入れられて青春も出来ず勉強漬けの日々からやっと開放されたのに……!!来週から女子がいる楽しいキャンパスライフが俺を待っていたのに異世界トリップだと!?求めてねーんだよ!!」


………それは可哀想!


大学を聞くと女子アナの出身率が高い有名な大学だった。益々気の毒だ。

ちなみに髪も先週染めたとこらしい。

大学デビュー目前で夢が散らされたことになる。

貰い泣きしそうだ……

妻子と永遠に引き離された渡り人とかのことを考えちゃうとマシな方かも知れないけど、やっぱり気の毒じゃないかなこれ……。


「慰めにはならないかも知れないけど、この村金髪の美女や美少女いるから元気出して……」


思わず言ってしまった私の言葉でヤマト君の目に一筋の光が差し込む。

まぁ歳の近い子って結婚してたり婚約してたりが多いんだけどそれは言わない方がいいか。


「ルッカ、誰かフリーの人……恋人や婚約者がいない女の子いないかな?」


「どうしたの。話の内容半分くらいわからなかったんだけど」


大学とか中高一貫とかこっちにはないもんね。


「つまり気の毒なヤマト君に可愛い女の子を紹介してあげたくて」


「こっちに来た事情からなんでそういう話になったのか理解出来ないんだけど……」


「そうだ、リリア!リリアはどうかな!?仕事したいから当分結婚とかしないって言ってたし!」


恋人もいらないって言ってたけどフリーではある!


「ミオリ落ち着いて」


渡り人の先輩として後輩が幸せになれるように協力したい!

それが私のヤマト君に対する気持ちだった。


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