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モブ顔女子高生、異世界で何とか生きていく  作者: ソメイヨシコ
三章 新婚、後輩、ドラゴン
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3-1.夏の出会い

異世界へ来て3度目の初夏、私とルッカはラスタナ村へ帰って来た。


最初はルッカのご両親や村長のオリヴァーさんに婚約したことを報告したり新居の手配をしたりと忙しく過ごし、秋に新居に引っ越しという状態になった。

森の人は結婚する時に教会で式ではなく家族や親戚を呼んで小規模な宴会をやるらしい。


新居は空き家を改築中だ。

それまでルッカは実家で、私はまたオリヴァーさんの家にお世話になっている。

私は19歳、ルッカは16歳になった。

日本人的な感覚だと16で結婚決めるのって凄いなと思うのだけど、森の人は20前に結婚するのも珍しくないそうだ。


「秋が遠い……」


ルッカが私を抱え込みながら呟く。

最近また背が伸びて私とは体格に差が出て来た。


「もうすぐだよ。家も後少しだし」


今日はお互い仕事を休みにして改築中の家に来ている。

ルッカの実家のような石造りの二階建ての可愛い家だ。距離も近い。

骨組みや屋根の修理はプロにやって貰ったけど、内装は自分達でやるのがわりと一般的らしい。

壁材を塗ったり床板を貼ったりするのは楽しい。

ひと段落したところでお茶を飲んで休憩しているところだ。

ルッカの要望で後ろからハグされているような状態で床に座っている。

夏だから暑いんだけどね。外だと人目があるから。


「一緒に住み始めたら覚悟しといてね」


「何を?」


「そのうちわかるよ」


肩あたりに顔を埋めて嗅ぐのやめて貰っていいですか。

恥ずかしいし汗臭くないか気になるわ。


そろそろ昼だし食堂に行こうかと話していた時、ルッカの弟のレックが家に駆け込んで来た。

レックは今年で8歳になり前よりずいぶん大きくなった。


「大変だよ!ミオリ呼んで来てって言われたんだ!すぐに来て!」


何があったんだろう。

只事ではなさそうな様子に私とルッカはレックに案内されるまま駆け足で付いて行く。


「冒険者が森で人を見つけて来たんだ」


レックの言葉に心臓がどくんと跳ねた。


「怪我してるし弱ってるから診療所に運ばれてる。父さんがミオリ呼んで来てって」


まさかとは思うけどそれって………。


「意識はあるの?」


「今はない。運び込まれた時は少しだけあったけど言葉がわからなかった」


……私を呼ぶってことはそういうことかな。

でも頻度がおかしくない?


診療所前にはブルーノさんとオリヴァーさん、三人の冒険者が集まっていた。


「中で手当てを受けてるよ。たぶんミオリと同じ気がしたから呼ばせて貰ったよ」


「森でゴブリンに襲われてたとこでな。衰弱してるけど興奮状態でさ。言葉もわからねぇし歩けねぇから担いで来たわ」


「大変でしたね。ありがとうございます」


私がお礼を言うのもおかしい気はするけど人命救助に当たった男前な彼らに言いたくなった。


「目が覚めた時に男に囲まれていたら怖がらせてしまうかも知れないから頼んでいいかい?私は必要な魔道具の発注に行って来る」


「わかりました」


「数日で届く筈だからそれまでミオリのを時々借りていいかな」


転移の魔法を使って届けられるのかな。


「もちろんです」


オリヴァーさんが立ち去り冒険者達も食事に行くと去って行った。

あまり使われることがない村の診療所は小さい。

学校の保健室のような感じだ。


「俺はここにいるから」


運び込まれた人がいる部屋に入ると扉の前でルッカが言った。少し離れておくということらしい。

頷きを返してベッドに近付いた。


ベッドで眠っている人は茶髪の青年だった。

こちらの人のような自然な茶髪ではなくカラーリングでの茶色に見える。

顔立ちは日本人ぽいけどどこから来たかはまだ不明だ。

顔と腕しか今は見えないけど頭に包帯が巻かれていて、あちこちに怪我をしていて痛々しい。


治療用の服を着せられていて、汚れた服がベッド脇の棚に畳まれて置いてある。

洗っといてあげようかなと考えていると、青年が薄ら目を開けた。


「いってぇ……」


掠れた声で小さく呟いて首を動かす。


「俺死んだ……?天使がいる……」


扉前にいるルッカを見て言った言葉に吹きそうになった。


「……誰?」


もっと近くにいる私に後から気付くのね。これが存在感の違いなのか。


石川美織(いしかわみおり)って言います。ミオリでいいよ。あなたは?」


橘大和(たちばなやまと)……」


「日本人だね」


「……当たり前だろ」


「そうでもない場所にいるんだよね」


私の言葉に何かを思い出したように苦しそうな顔をする。


「あいつら俺を殺す気だった!!鈍器で何度も殴られてっ……!」


頭を抱えて興奮し出した彼の背中をさする。


「大丈夫だよ。もう安全だから」


「ふざけんなよ!どこなんだここは!!」


「落ち着いたらゆっくり話そう。大丈夫だから」


「なんも大丈夫じゃねーよ!いきなりわけわかんねーとこで遭難してたんだぞ!!気味が悪ぃ生き物に殺され掛けて!!」


「大変だったね」


「そんな簡単に片付けんなよっ……!!」


泣き声に近い怒鳴り声を上げる背中をさすり続け、再び眠りに落ちるまで見守った。


「まだちょっと時間かかるね。私今日は彼に付いとくよ」


「じゃなんか昼に食べる物持って来る」


「彼の分もお願い。何日遭難してたのか知らないからスープとかの方がいいかな?」


「そうだね。何話してたの?」


「名前教えてくれた。ヤマト君だって。同郷だわ」


「そっか。じゃあちょっと行って来るけど、何かあったら人呼ぶんだよ」


「うん」


どうやら後輩がやって来てしまったみたいだ。



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